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250話

遠征に向かう日。

俺達はバスに乗って、防衛会の本拠地があるカラリアへと向かっていた。

今回の遠征からより実戦的な訓練となるという事が、正式に先生から伝えられた。

みんなどんな内容なのか推測し、この間のモンスターが出て来ても大丈夫なようにしっかり訓練しようと意気込んでいる。

俺もそうだ。

この間は何とか勝てたが、いつもっと強いモンスターが出て来るか分からない。

強くなるに越した事はないからな。

そう思っていると、カラリアに到着した。

もう少しで防衛会の本拠地がある場所へと着く。

「ねえ、レイはあの事をどうするか決めたの?」

そこで、隣に座る柚葉が俺に聞いてきた。

「あの事って言うと……推薦の話か?」

「そう」

俺は推薦という形で防衛会から誘いを受けていて、その返事を保留にしている。

柚葉はその事について聞いてきているようだ。

「もう答えは決まったの?」

「ああ……俺は推薦を受けるよ」

結局、推薦を受けて防衛会に入る事にした。

まあ、最初っから防衛会に入るんだろうなあとは思っていたから、丁度いいかなと思ったんだ。

「そっか。じゃあ私も防衛会に入るわ。レイと一緒に働きたいし」

「同じ進路か……でも、同じ場所に配属されるとは思えないんだけど……」

俺がそう言うと……

「私、八神よ?四神は大体防衛会の本拠地に配属されるの」

マジか……流石四神というか……ただのコネというか……

「まあ、何にしろ一緒ってわけか」

「ええ」

そっか……柚葉と一緒か……

俺はこれからの未来を想像して、頬が緩む。

「どうしたの?」

それを見た柚葉が、不思議そうに聞いてくる。

「いや、何でもない」

俺が笑ってそう誤魔化した時だった。

ドガアァァァァァンッ!

突如、前方から大きな音が聞こえてきた。

「え、何!?」

「どうしたんだ!?」

バスの中はパニックになる。

「え、何が起こったの!?」

隣にいる柚葉も驚いている。

「みんな落ち着け!運転手、バスをここで止めてくれ!」

理事長がそう言うと、バスは止まる。

「みんなはここで待ってろ!私達が見てくる!」

そう言って先生達がバスから降りて行く。

……俺も見に行った方がいいよな。

何か嫌な予感がするが、ここで何もしないというのもどうかと思うので、俺は立ち上がる。

「レイ、どこ行くの?」

「先生達について行って、様子を伺って来るよ。柚葉達はここで待っててくれ」

「待って!それなら私も行く!」

柚葉も立ち上がる。

止めても無駄だという目をしているので、俺がここで何と言おうとついて来るだろう。

「私達も行きます!」

「ご一緒しますわ!」

有紗と英玲奈までそう言いだす。

……仕方ない、ここは了承するか。

「分かった、行こう」

3人とも頷く。

そうして俺達は先生達の後を追うためにバスを降りる。

すると、バスから降りた所で先生達がいた。

先生達は空を見上げて呆然としている。

「あれ?様子を見に行ったんじゃ……」

そう言いつつ、先生達の視線を追っていくと……

「え!?何あれ!?」

柚葉達も空を見上げ、驚いた声を上げる。

かく言う俺も同じ気持ちだ。

なぜなら……

「……ドラゴン」

俺はそう呟いた。

空にはドラゴンがいたのだ。

大きな両翼を広げ、空を飛んでいる。

体は大きく、長い尻尾まである。

そんなドラゴンとしか形容しようのない存在が、今俺達の前に現れた。

「あ、あれは何ですか!?」

「分からん!だが、恐らくあれもモンスターだ!お前達、気をつけろ!いつ攻撃されるか……」

その時だった。

ドラゴンがこちらを向き、大きく口を開けたかと思えば、口元に光が集まる。

まさか、こっちに向かって!?

俺はそう思った瞬間、動き出した。

「みんな!伏せろ!」

俺はそのまま前に出て、みんなを庇う。

「リベレイト!」

そうしてソウル・ウェポンである刀を出した瞬間だった。

一条の閃光が走った。

それは光線となり、真っ直ぐ俺達の元に向かって来て……

「くあぁぁぁぁぁ!」

俺は刀を鞘から抜き、刀の腹で光線を受け止める。

だが、それも一瞬の事で……

「ぐはっ!」

俺は勢いよく吹き飛ばされた。

そしてバスに激突する。

「レイ!?」

柚葉の声が聞こえるが、俺は吹き飛ばされてバスに激突した衝撃でそれどころではない。

肺の中の空気は吐き出され、内臓が傷ついたのか血まで出て来る。

意識も朦朧として、今にも意識が飛びそうだった。

「レイ!しっかりして!」

俺が一身に受けたため無事だった柚葉達が、俺の元に走って来る。

「これは……早く救急車を!」

理事長がそう言うと、先生の1人が電話をかける。

「レイ!大丈夫!?」

俺を支える柚葉の声を聞き、何とか意識を保って閉じそうになる瞼を開ける。

「っ!?」

すると、そこには再び光線を放とうとしているドラゴンの姿があった。

「ゆず……は……に……げ……」

俺はそこまで口にするが、もう間に合わない。

柚葉達も気づいたようだが、ドラゴンはすでに光線を放つ準備を終えていた。

そしてドラゴンはすぐに光線を放つ。

それが俺達の元に到達しようという時だった。

「うおぉぉぉぉぉ!」

そう叫びながら俺達の方に向かって来る人物。

その人物は俺達の前に立つと、盾を構えてドラゴンの光線を盾で防いだ。

だが、完全には防ぎきれずに吹き飛ばされる。

それでも、俺みたいにバスに激突する事なく、何とか受け身をとって最小限のダメージで済ます。

そして、その人物とは……

「くっ……お前ら、無事……ではなさそうだな」

防衛会最強の黒瀬さんだった。

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