24話
「はあ!」
「おっと」
実技の授業で俺はトーレスと対戦している。
「ふっ!」
「うお!」
俺は昨日読んだ本を参考に、初代国王の剣術を模倣しようとしている。しかし中々上手くいかない。現に今トーレスに避けられてしまっている。
「そこだ!」
「くそっ!」
トーレスに攻撃をされたので、仕方なくいつものように対処する。しょうがない、この辺で終わりにするか。
「お返しだ!」
「何!?」
俺はトーレスの攻撃を体を傾けて避け、短剣が空振りしたところを狙って背中を斬りつける。
「うぐっ!」
トーレスはその場で膝をついた。浅かったので気絶するまではいかなかった。
「ここまでにするか」
「……そうだな。はあまた負けたかー」
トーレスはそう言いつつ立ち上がる。
「まあそう簡単に負けないよ」
「そうかい。まあいつか絶対勝ってやるさ。それと、さっきのやつは何だ?」
「さっきの?」
「ほら、いつもと剣の振りが違っただろ」
「ああ、あれは昨日読んだ本を参考にしたのさ」
「本って、昨日言ってた初代国王の剣術ってやつか?」
「そうだ」
「そっか。でもまだ完成してないんだな」
「無茶言うなよ。昨日読んだばかりだぜ?」
「いや、レイならいけると思ったんだけどな」
「流石に無理だって。まあ頑張ってみるけど」
「そっか。じゃあもう一戦やるか?」
「大丈夫か?まだ5分ぐらいしか経ってないぞ」
「大丈夫大丈夫。ほら、さっさとやろうぜ!」
「分かった。じゃあ頼む」
「おう!」
そうして、俺は再びトーレスと対戦をしたのだった。
実技の授業が終わり、放課後となった。
「レイ、帰ろうぜ」
「悪い、今日も図書館に行こうと思うんだ」
「今日もか?」
「ああ。と言うより、1週間は図書館に通おうかと思ってる」
「そうなのか。じゃあ仕方ない、みんなと帰るわ」
「ああ」
「また明日な」
「おう」
そう言ってトーレスはみんなの所に行った。
「さて、俺も行くか」
俺は立ち上がり、図書館へ向かうのだった。
城には学院から歩いて10分もかからない。城も学院もこの国の中央に位置するからだ。そんな場所に位置する城は広大な面積を誇り、学院の3倍はあるだろう。
俺は再びその城に来た。俺は衛兵の人に話しかける。
「すみません」
「何だ、また来たのか」
「はい」
「入っていいぞ」
「ありがとうございます」
すぐに通された。昨日も来たからだろう。
俺は中へ入る。手入れの行き届いた庭を眺めつつ、城の方に歩いていくと、メイドさんがいた。
「本日もいらしたのですね」
「ええ。ここの図書館の本をもっと読んでみたくなりまして」
「そうですか。では、ご案内いたします」
「ありがとうございます」
メイドさんが歩き出すので、それについて行く。そして図書館に着いた。
「では、ここでお待ちしています。何かあった際やお帰りの際はお声をかけてください」
「はい」
「どうぞ」
「失礼します」
俺は中へ入る。相変わらずすごい量の本だ。
「さて、読むか」
俺は手前の本から手に取って読み始めた。
学院に登校して授業を受け、放課後は城の図書館に行き本を読み、帰宅後は修行をする。そんな日々を1ヶ月も過ごしていた。何せ図書館にある本の量が膨大すぎて、当初の予定の1週間では1割程しか読めなかった。これでも本を読むのは早い方なんだけどな。そして現在はやっと半分近く読破する事が出来た。
「ふう。この本も読み終わったな。次は……」
俺がそうして本を読んでいる時だった。
「レイ様」
「ラルカさん、どうしたんですか?」
俺の事を読んだのはメイドさんだ。俺達は1ヶ月間毎日会っていたので、大分仲良くなった。ラルカと言うのはメイドさんの名前だ。俺はラルカさんと呼び、ラルカさんは俺の事をレイ様と呼んでいる。
そしていつものように図書館の前で待機してくれていたラルカさんが、俺の事を呼んできた。
「国王陛下がお会いになりたいとおっしゃっていまして」
「え、どういったご用件でしょう?」
「私には伝えられておりませんので分かりません」
「そうなんですか。分かりました、国王陛下に会いに行きます」
「ありがとうございます。では案内いたします」
「はい」
俺は国王陛下に会いに行くため、図書館を出てラルカさんについて行く。そして庭を抜け、城のドアの前まで来た。
「では中へどうぞ」
そう言ってラルカさんはドアを開けてくれる。
「ありがとうございます」
俺は中へ入る。
「……すげえな」
中は白い壁に赤い絨毯が敷かれていて、高そうな絵や調度品があった。天井も高く、すぐそこに大きな階段がある。
「こちらです、ついてきてください」
そう言ってラルカさんは歩いて行く。俺もそれについて行き、少し歩いた所でラルカさんはこちらを振り返った。
「このお部屋でございます」
そう言ってドアをノックする。
コンコンコン。
「どうぞ」
そう返事があったので、ラルカさんはドアを開ける。
「難波レイ様をお連れいたしました。難波様、どうぞこちらへ」
「失礼します」
そう言われたので、俺は中へ入る。
「やあ、久しぶりだね」
「国王陛下、お久しぶりです」
俺は国王陛下にそう挨拶する。
「そこに座って」
「はい」
俺はソファーに座る。これふかふかだな。
「それではお茶をお持ちします」
ラルカさんは部屋から出て行った。
「急に来てもらって悪いね」
「いえ、とんでもないです。それで私に何かご用があったのでは?」
「うん。まあその話はお茶が来てからにしようか」
その後、ラルカさんが来るまで雑談をしていた。そして5分程でラルカさんがお茶を持ってきてくれた。
「では失礼します」
そうしてラルカさんは出て行き、また国王陛下と2人になった。
国王陛下はお茶を飲むと、口を開いた。
「では、本題に入ろう」
「はい」
「実は来月末に毎年行われる国際試合があるんだ」
「国際試合?」
「そう。5つの王国がそれぞれ国から1人を選出して、総当たり戦で戦うんだ。優勝すれば国から賞金も出る。そこで、今年は君に出場してもらおうと思ってね」
「私ですか?」
「うん。君なら優勝する事が出来ると思ってね」
「いえ、流石にそこまでの実力はないですよ」
「分からないよ。君には優勝を狙えるだけの実力があると僕は思う」
「そんな事は」
「それに、前回はメリー君に出場してもらったんだ。そして結果は2勝2敗。でも君はメリー君に勝った。ならいけるんじゃないかと思うんだ」
「でも私もメリーさんとは互角で、最後は何とか勝利できましたが、どっちが勝ってもおかしくない試合でした。それに、あれからダラスさんとメリーさんと再び試合をしたのですが、その時も何とか勝てたという試合でした」
俺はメリーさんとの約束で月に1度、学年代表で選ばれた3人で対戦をしている。と言ってもまだ2回参加していないが、いつもメリーさんには何とか勝てるという状況だ。
「ですから、そんな僕では優勝なんてとても」
「そんな事ないよ。メリー君を倒した君は、この国でもトップクラスの実力がある。それに、優勝出来なくてもいい。こんな事を言うのは本当は駄目なんだけど、僕は君が戦っている姿が見たいんだ」
「俺の戦っている姿ですか?」
「うん。君の戦い方にはどこか惹きつけられるものがある。だから、是非とも出場して欲しい」
……そんなに言ってくれるなんてな。俺はただ、力が欲しくて今まで修行してきた。もう、誰かを助けられないという事がないように。
でも、そんな俺の戦いを見たいって言ってくれる人もいるんだな。それなら、やってみるか。
「分かりました。出場します」
「ありがとう。楽しみにしているよ」
「はい」
その後は少し雑談をして、俺は国王陛下にお礼を言って部屋を出た。その後は図書館へは行かず、帰ったのだった。




