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245話

俺が寮に入ると、入口に柚葉がいた。

「柚葉?」

「あ、どこ行ってたの?」

「理事長に呼ばれたから、理事長室まで行ってたんだ」

「そうなんだ」

「それより、脚は大丈夫なのか?」

「うん。毒も抜けてるし、傷口も跡は残らないって言われた」

「そっか、それはよかった」

「……それで、レイが言ってた魔法について聞きたいんだけど……」

あー、そっか。

後で説明するって言ってたし、気になるよな。

「分かった。そんじゃ、部屋に来てくれ」

「ええ」

そうして、俺達は俺の部屋へと向かった。


俺達は部屋に入って話をする。

「それで、俺の魔法についてだけど……先ず、俺は魔法は元々使えていたんだ」

「そう……なの?」

「ああ。だけど、今まで危険だから使ってこなかった。だけど、今回は緊急事態だったからな。使う事にしたんだ」

本当はこの世界では使わない予定だったが、そうも言っていられない状況になってしまった。

まあ、出し惜しみして柚葉を死なせたなんて事になったら……

「それで、魔法って何なの?」

「うーん……魔法って何なのって聞かれるとちょっと困るなあ……まあ、俺の使える魔法は簡単だよ。ただ火や水を刀に纏わせるだけだから。それで攻撃したり、吸収したりって感じだな」

「吸収って、私の脚の毒を吸収したみたいに?」

「そうだよ」

「すごいわ!」

すると、柚葉がキラキラした顔でそう言う。

「そ、そうか?」

俺はあまりにも柚葉が食いつくので、俺は驚いた。

「ええ、そうよ!だって、その力があればどんなモンスターにも負けないじゃない!レイは変身も出来るし!」

そう言い終えると、キラキラした顔から一転。

肩を落として気落ちした様子となる。

「それに比べて私は……」

「ど、どうかしたのか?」

そう俺が聞くと、柚葉は俺が来る前のモンスターとの戦闘について教えてくれる。

「それで絶好のチャンスだったのに、結局私が失敗したから……」

「いやいや、それは仕方ないって!」

「でも、あの時レイが来てくれなかったら、私は毒に侵されて……」

その先を考えたからか、柚葉の顔が少し青ざめる。

確かに、あの時俺がいなかったら柚葉は毒に侵されて、結果的に死んでいたかもしれない。

いや、その可能性が高いだろう。

でも……

「でも、そうはさせない」

「レイ?」

俺は柚葉の目を見て言う。

「俺が絶対に柚葉を死なせない。どんなピンチに陥ろうと、俺が柚葉を助けてみせるよ」

少し恥ずかしいが、これは本心だ。

柚葉は絶対に守る。

「レイ……ありがとう。でも、私も助けてもらうばかりじゃなくて、レイを助けられるぐらい強くなるわね」

「そうだな。まあ、柚葉は今でも十分強いと思うけど。それに、そんな状況にならないのが一番いいんだけどな」

「そうね」

俺達は揃って苦笑する。

そこで時計を見ると、もう午後7時となっていた。

「晩ご飯は食べた?」

「ううん、まだ」

「じゃあ何か作るから、柚葉は待っててくれ」

「あ、それなら私も手伝うわ」

「そんじゃ、頼むな」

そうして、俺達はキッチンへと向かったのだった。


俺達は晩ご飯を食べ終えた。

「そろそろ部屋に戻った方がいいんじゃないか?」

もう午後8時半となっている。

そろそろ部屋に戻った方がいいだろう。

だが……

「……今日はここに泊まってもいい?」

「え!?」

柚葉の言った事に、俺は心底驚く。

「いやいや、流石にそれは……」

「今日は一緒にいたいの……何だか、今になって怖くなってきちゃって……」

見ると、柚葉の手が少し震えていた。

今頃になって、昼間の出来事の恐怖が襲って来たのだろう。

「……分かったよ。今日は泊まっていいから」

俺はそんな柚葉を1人にさせるのはどうかと思い、結局は了承してしまった。

「ごめんね。ありがとう」

柚葉は少し笑った。

「そんじゃ、風呂に先に入っていいよ」

「え、レイが先でいいよ?」

「いやいや、柚葉が先でいいって」

「いいから。レイが先に入って」

頑として譲らない柚葉。

俺は仕方なく先に入る事にする。

「分かった。じゃあ、俺が先に風呂に入るな」

「うん」

そうして、俺は先に風呂に入った。


「はあ……」

俺は今、風呂に入ってゆっくりしている。

それにしても、疲れたなあ。

本当に大変な日だった。

モンスターが2箇所で同時に現れるなんて、本当にどうなってんだ?

ガチャッ。

「……お邪魔します」

「……え?」

ゆっくりと疲れを癒していたところ、突然開かれる風呂場のドア。

そして入って来た柚葉は、一糸纏わぬ姿。

一応タオルで前は隠しているものの、そんなのは関係ない。

俺はあまりにも突然の出来事に、驚いて固まってしまう。

「……えっと、あまり見ないで」

「いやいや、何で入って来てんの!?」

「えっと、レイと一緒に入ろうと思って」

どういう事だよ!?

「ほ、ほら、体洗うからあっち向いてて!」

「え、ええ!?」

「早く!」

俺は仕方なく後ろを向く。

すると、シャワーの音が聞こえ始める。

それから暫くの間、俺は壁の方を向いてじっとしていた。

そしてシャワーが止まった。

「あ、もうこっち向いてもいいよ」

「あ、ああ。分かった」

すると、柚葉が浴槽に入って来る。

俺は柚葉の体を見ないように視線を逸らす。

幸い、浴槽は少し大きめなので、2人で入っても大丈夫だ。

「って、そうじゃねえ!」

「どうしたの?」

「何で俺が入ってんのに、柚葉は入って来たんだよ!?」

「だから、一緒に入りたかったんだって。それに……」

「それに、何だよ!?」

「レイはあまり私に対して、その……欲情とかしないなって思って」

「欲情って……俺が柚葉の事をそういう目で見てないって事か?」

「うん。だから、こういう風にアプローチしてみて、確かめてみようと思ったの」

何だよそれ……

俺は思わず溜息を吐いてしまう。

「それで、やっぱりレイは私の事をそういう風に見てないのかなって……」

「彼女としてはその方がいいんじゃないのか?体目当てで付き合ってるよりよっぽどいいだろ?」

「それはそうなんだけど……でも、あんまり求められないのもどうなのかなって……もしかしたら、私って魅力ないのかなって思って……」

そうか……確かに、俺の接し方だとそう取られても仕方ないか……

ここはちゃんと言っておかないといけないな。

「俺は別に、柚葉が魅力的じゃないからそういう目で見てないわけじゃないんだ。ただ……」

「ただ?」

「そういうのって、嫌だろうなって思ってたから。柚葉は特に、そういう事嫌いそうだから」

「……確かに、他の人なら嫌だよ。だけど、レイなら……レイになら、いいよ」

そう言う柚葉の瞳は潤んでいて、風呂に入っているせいで頬は少し上気している。

そして俺にならいいというのは嘘ではないと、その潤んだ瞳の奥に強い覚悟を感じ取れた。

……ここまで言わせて、それで断るのは流石にないよなあ……

「……それじゃあ、風呂から上がろう」

俺がそう言うと、柚葉も感じ取ったのか少し目を見開いて驚いたが、それも一瞬ですぐに真剣な顔で頷いた。

そうして俺達は風呂から一緒に上がったのだった。

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