22話
昼休み。俺はみんなに先に昼食を取ってもらうように言って、1人で校長室に来た。
コンコンコン。
「どうぞ」
返事があったので、俺はドアを開けた。
「失礼します」
「おお、来てくれたか」
「はい。それでお話とは何でしょうか?」
「そうじゃな。その事についてなんだが、君は学年対抗戦で優勝した。それによってある権利が与えられた」
「権利?」
「ああ。その権利とはこの国の国王と謁見する権利だ」
「国王との謁見!?そんな事が可能なんですか?」
「ああ。これは毎年優勝者に与えられる権利じゃ。もちろん君にも与えられる」
「そうなんですか」
王立アセンカ学院ってすげーんだな。
「それでどうする?もし謁見するなら明日、この学院に国王が来る事になってるんだが」
「明日って、急ですね」
「まあ国王もいつ予定が空くか分からんからな。それに関してはすまんな」
「いえ、そういう事なら謁見させてもらいます」
「わかった。国王にもそう伝えておこう」
「ありがとうございます」
「用件はこれだけだが、何かあるか?」
「いえ、ありません」
「そうか。時間を取らせて悪かったな」
「いえ、それではこれで失礼します」
俺はそう言って校長室を出た。
「国王との謁見……」
今まで経験した事ないから、何か面白い話が聞けるといいな。
俺はそんな事を考えながら、教室に戻った。
「明日は国王との謁見か」
俺は家に帰って修行している。この前のメリーさんとの試合は危うく負けそうだったので、しっかり修行して剣技を磨かないといけない。
「どんな人なんだろう」
まあ頭の中は明日の謁見の事で一杯なのだが。
「どんな話が聞けるのか楽しみだな」
俺はそんな事を思いつつ、修行を続けたのだった。
次の日。今日は休みの日で学院に登校する必要はない。しかし俺は学院に登校している。理由はもちろん国王との謁見のためだ。
「着いた」
そう言えば、どこに行けばいいのか知らないな。校長室に行けばいいのか?
そう思って校長室に行こうとした時だった。
「あなたが難波レイさんですか?」
「え?」
声のする方を向くと、メイドさんの格好をした女の人がいた。
「難波レイさんではないのですか?」
「あ、僕が難波レイです。あなたは?」
「私は国王陛下に仕えるメイドでございます」
「あ、そうだったんですか。失礼しました」
「いえ。ではついて来てください。ご案内いたします」
「はい」
そう言って俺はメイドさんについて行く。そうして暫く歩くと普段は使われていない部屋の前に来た。
「こちらで国王陛下はお待ちです」
そう言ってドアをノックする。すると中から返事が返ってきた。それを確認すると、メイドさんはドアを開ける。
「それでは中へどうぞ」
「ありがとうございます」
俺は礼を言って中へ入る。部屋の中は高価そうな調度品が沢山あった。
「君が難波レイ君だね」
そう言って俺を見てくるのは、金色の髪に端正な顔立ちで優しそうな笑顔を浮かべる男の人だった。この人が国王か。隣には護衛の人がいる。
「はい、私が難波レイです。お初にお目にかかります」
俺はその場で跪く。
「ああ、そんなに畏まらなくていいよ。さあ、座って」
「はい。ありがとうございます」
俺はそう言って国王の対面のソファーに座る。
「難波君、学年対抗戦優勝おめでとう」
「ありがとうございます」
「実は僕も試合を見ていたんだ」
「あの日、学院に来ていらっしゃってたんですか?」
「うん、そうだよ。だから君の試合も見ていたよ」
「そうなんですか」
「それで君が試合で使っていた剣術って、誰かに習ったのかい?」
「はい」
「そうか。東の国では流派というものがあるらしいんだが、君のもそうなのかい?」
「はい。私の剣術は心証流と言います」
「心証流か。試合を見る限りとても力強いものを感じたよ」
「ありがとうございます」
褒められるのに慣れてないから、何か変な感じがするな。
「僕も昔はこの国の初代国王のようになりたいと思って剣術の練習をしていたんだ。君を見ていると、その頃の事を思い出すよ」
「初代国王も剣を使っていたんですか?」
「そうだよ。僕は元々この国の生まれで、父親から聞いたんだ。そしてこの学院に入学してね。実は僕も学年対抗戦で優勝した事があるんだよ」
「そうだったんですか。国王陛下がこの学院の卒業生なのは、この国の歴史を勉強した時に知っていたんですが、学年対抗戦に出て優勝していたのは知りませんでした」
「そうなんだね。まあ僕は残念ながら武器は剣じゃなく槍だったんだけどね」
「それでは、初代国王のようになるのは諦めたんですか?」
「まあそうなるね。でも剣ではないけど、今度は初代のような戦い方をするようになったね」
「剣術から戦術に切り替えたんですね」
「そう。それで学年対抗戦で優勝したら国王から褒美が与えられるんだけど、僕はこの国の城にある図書館の出入と本の閲覧の許可をもらったんだ。あ、君にも後で褒美として欲しいものを聞くからね」
「分かりました。それで、図書館へ行ったんですか?」
「うん。そこで初代について書かれた文献を見つけてね。それを読んで初代の戦術を覚えたんだ」
「そうなんですか」
図書館か、俺も行ってみたいな。
「随分と話をしてしまったね。それで、褒美についてはどうする?」
「そうですね……国王陛下と同じ、城の図書館への出入と本の閲覧の許可をいただいてもいいですか?」
「君も何か気になる事があるのかい?」
「私も国王陛下と同じで、初代国王陛下について興味が出てきたんです」
「そうか、分かったよ。城の図書館への出入と本の閲覧の許可を与えよう」
「ありがとうございます」
「うん。僕には出来なかった初代の剣術を、君が使えるようになってくれたら僕も嬉しいよ」
「ありがとうございます、頑張ります」
「うん。それじゃあそろそろ時間なんだ」
「はい。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」
「僕も君に会えてよかったよ。それじゃあ部屋を出ようか」
「はい」
俺と国王陛下と護衛の人は部屋を出る。
「それじゃあね」
「はい」
そう言って国王陛下は行ってしまった。
「俺も帰るか」
俺も帰るため、歩き出した。
今俺は家で今日の出来事について考えていた。
「初代の剣技か……どんなのなんだろうな」
早速明日の放課後にでも、お城の図書館に行ってみるか。
「何だか楽しみだな」
俺はそうしてこの日は寝たのだった。
次の日。俺は放課後、みんなに事情を話して1人で城の前まで来ていた。みんなはとても羨ましそうにしていたな。
「よし、行くか」
俺はそう言って歩き出した。




