19話
俺達は試合に勝った後、控え室で待機するように言われた。
「勝ったな!」
「そうだね!」
「やりましたね!」
「まさか本当に優勝するなんてね」
みんなが口々に感想を述べている。
「それにしてもレイはすげーな」
「本当だよ!あの2人を相手にして勝つんだから!」
「まあ、偶々だよ」
「それでもすごいと思うけど」
「私はそうは思いません」
「アリア?」
「あの時、レイ君は本気で勝とうとしてましたよね?」
「そうだな」
「だからですよ。誰かが諦めてたら、勝てなかったかもしれない。でも、みんな本気で勝とうとした。だから勝てたんですよ」
「……そうだな」
「まあ何にせよ優勝したことに変わりないんだ!」
「そうそう!」
「そうだな」
俺達は優勝した、今はそれでいいだろう。
トントントン。
「はい」
「表彰式の準備が出来ました。A組の皆さんは私に付いて来てください」
「分かりました。みんな、行こう」
「おう!」
「おー!」
「はい!」
「うん!」
俺達は控え室を出た。
「君達の栄誉を讃え、ここに賞する。おめでとう」
「ありがとうございます」
俺は校長先生から賞状を受け取る。
「これにてクラス対抗戦は終了とする」
終わったなー。
「しかし、まだ一部の人には試合が残っておる」
ん?
「その一部の人とは難波レイ君、君だ」
え?何?
「どういう事ですか?」
「君には学年対抗戦に出てもらうよ」
「学年対抗戦?」
「そう。教師陣が各学年から1人ずつ選出して、戦ってもらう。それが学年対抗戦だ。君はそれに選ばれた。頑張ってくれ」
「……えー」
マジかよ……
「かんぱーい」
カンッ!
俺達は今商店街にある焼肉店で祝勝会を開いている。
「このお肉美味しいねー」
「だな!」
「こっちも美味しいよ!」
「本当ですね!」
みんな楽しそうで何よりだ。
「レイもお肉食べなよー」
「まだ学年対抗戦の事考えてんのかよ」
「まあなー」
そう。俺は今言われた学年対抗戦に出る事になった。何でも教師陣の選出だと言うが、急な話だ。
「どんなやつが出てくるのかなと思ってな」
「あー、それは気になるな」
「何か聞かされてないんですか?」
「何にも。まあどんなやつが相手でも、全力でやるだけなんだけどな」
「そうだよな」
「レイ君なら大丈夫ですよ!」
「ああ。まあ頑張るよ」
「ほら、レイ君もお肉食べなよー」
「このお肉美味しいよ」
「ああ、そうだな」
俺は考えるのをやめて、みんなと一緒に焼肉を食べ始めた。
2日後。今は座学の授業中だ。俺はいつものようにイメージトレーニングをしている。昨日はクラス対抗戦が終わったという事で休みだった。俺はその休みを利用して修行していた。それにしても2年生と3年生の代表が分からない。どんな人が代表になっているのか、武器は何なのか、全く分からない。条件は2年生と3年生も同じだが、全く情報がないと言うのは怖い。まあ1年生より強いとは思うが、どの程度なのか……
そんな事を考えていると、気づけば昼休みになっていた。
「……」
「おい、まだ考えてんのかよ」
「ん?ああ、まあな」
「考え過ぎるのもどうかと思いますよ」
「そうだな」
「試合って明日だっけ?」
「ああ」
「急な話だよね」
「確かにな。まあその方が情報戦もないし、フェアな状況で戦えるんじゃねーの」
「いや、そうでもないと思う」
「ん?何かあるのか?」
「恐らく2年生と3年生は両方、若しくは片方は昨年の代表と同じだと思う。余程の事がない限り、前の年に選ばれた実力者が外されるとは思えないからな」
「それは考えられますね」
「それなら情報があるんじゃねーの?」
「ああ。だから放課後に図書館で調べようと思ってな」
「そっか。俺達も手伝おうか?」
「いや、俺だけで大丈夫だ。みんなは先に帰っててくれ」
「いいのか?」
「ああ」
「そっか。じゃあ今日は俺達だけで帰るか」
「そうだねー」
「分かりました」
「オッケー」
その後はみんなと話しながら昼食を取った。
「どこかに資料がないか……」
放課後、俺は図書館に来ていた。明日俺は学年対抗戦に出るので、昨年の試合の資料がないか調べていた。
「……もしかしてこれか?」
俺は1冊の本を手に取った。それはどうやら毎年の行事に関して記録したもののようだった。
「これに何か書いてないかな」
俺は中を開いてページをめくっていく。すると目当てのページが見つかった。
「これだな」
読んでみると、昨年の1年生はメリー・マガルという人、2年生はダラス・ニデラという人が代表だったようだ。メリーさんは剣、ダラスさんは槍が武器のようだ。そして昨年の優勝は1年生のメリーさんだったようだ。この記録を見る限りとても強いみたいだな。
「成る程。恐らく今年もこの2人が選ばれてると考えた方がよさそうだな」
俺はその後も少しの間記録を見て、どう戦うか考えていたのだった。
夜。俺は家に帰ってきてから、明日の試合をどう戦うかを考えていた。
「俺の最初の相手がどっちか分からないが、剣技を使う事になりそうだな」
まあこれまで焔、雫、歪の3つを使ったからな。出来ればこの3つで今回の試合も何とかしたいもんだ。
「どうなるかなー」
まあ何にしろ、全力でやるだけだな。
俺はそう思い、早めに寝ることにしたのだった。
俺は今学院に来た。今日は1日かけて俺達が試合をするので授業はない。しかし、みんな試合を見るために登校している。俺が教室に行くと、トーレス達はもう来ていた。
「お、来たな」
「おはよー」
「おはようございます」
「おはよう」
「ああ、おはよう」
挨拶を交わすと、トーレスが黒板を指差した。
「レイ、あれ見てみろよ」
「何だ?」
俺は黒板に張ってある紙を見てみると、今日の試合の組み合わせが書いてあった。
「お、組み合わせが発表されてるのか」
見てみると、1回戦がメリーさんとダラスさん、2回戦が俺とダラスさん、3回戦が俺とメリーさんか。そしてインターバルに1時間あるのか。まあどっちか気絶するわけだからな。
「昨日図書館に行くって言ってたけど、何か見つかったか?」
「ああ。記録があってな、昨年もメリーさんとダラスさんが代表だったみたいだ。それで優勝したのがメリーさんらしい」
「マジかよ」
「そんなに強いんですか?」
「分からねえ。けれども代表なんだ、弱いわけがない。それどころか昨年よりも強くなってるはずだ」
「まあ普通に考えてそうだよね」
「レイは大丈夫なの?」
「まあ全力でやってみるよ」
「頑張れよ!」
「おう」
まあ折角だし楽しみますか。
そんな感じで、いよいよ試合が始まる。




