1話
俺の名前は藤本ユウキ。普通の高校2年生だ。今は8月24日で今日から学校が始まる。
「ふう。何とか間に合ったな」
「おい藤本。初日から遅刻ギリギリはどうかと思うぞ」
「すみません」
まあ昨日ゲームをやり過ぎたからな。少し寝坊した。これからは学校があるから気をつけよう。
「それじゃあ今から体育館に行くぞ」
こうして、夏休み明け初日の学校が始まった。
「それじゃあ気をつけて帰れよ」
今ホームルームが終わって帰るところだ。
「おーいユウキ、明日どうする?」
俺の友達の近藤大河が話しかけてきた。
「ああ、明日はカラオケでいいんじゃない?最近行ってないだろ?」
「そうだな。じゃあカラオケで!」
「そんじゃ帰るか」
「そうだな」
そのまま俺と大河は帰路についた。
次の日。
今日は大河とカラオケに行く約束をしている。カラオケは久しぶりだから楽しみだ。
「次のニュースです。長野県の中学生男子が行方不明になり……」
「何か最近多いなー、この手のニュース。誘拐かな?」
「最近どころか、10年ぐらい前からあるわよ」
「あ、母さん」
「あんたも気をつけなさいよ。今日遊びに行くんでしょ?」
「うん。まあ俺みたいなのを攫っても何もなんねーよ」
「分からないじゃない。とにかく気をつけなさい」
「分かったよ」
俺はそのまま出かける準備をした。
「そんじゃ、行ってくるわー」
「いってらっしゃい」
そうして、俺は家を出た。
「よう!早いな」
「おーっす!そうでもねーよ。俺も5分くらい前に着いたんだ」
「そっか。じゃあ早速カラオケに行くか」
「そうだな。何うたうよ?」
「うーん。そう言えば、今期のアニメのアニソンが入ったって聞いたな」
「マジか!早速うたってみるか!」
「そうだな」
そんなことを話しながら、俺達は歩き出した。
「あー、うたったなー!」
「そうだなー。結構最新のやつ入ってたな」
「そうだよな!今期のアニソンはいいのが多いからなー」
「だよな!いやー来てよかったぜ!」
「そんじゃ、そろそろ帰るか」
「そうだな。じゃあ俺こっちだから」
「おう。じゃあまた学校でな!」
「ああ!じゃあな!」
そのまま大河とは別れた。
「あ、そうだ。新しい漫画が昨日発売したんだった。本屋に寄って帰ろう」
そのまま近くの本屋に寄った。えーと漫画は……あった!
「これこれ!早く買って帰ろう!」
そのままレジへ行き、会計を済ませた。
「ありがとうございましたー」
さあ、早く帰って読もう。
そう思った時だった。
「やめて!」
うん?何が聞こえてきたような……
「離してよ!」
やっぱ聞こえるな。こっちか?
そのまま声のする路地裏へ歩いて行った。
「おい、大人しくしろ」
「いや!離して!」
「めんどくせえなあ、大人しくしろや!」
うわぁ……女の子が襲われてる。どうしよう。警察を呼んだ方がいいよな。
「おい、このまま口を塞いで車に乗せるぞ」
「分かった」
やばいやばい。警察が来る前に逃げちまう。どうする……
「離してよ!誰か助けて!」
……くそっ!このままじゃあの子が連れて行かれる!こうなったら、もうやけだ!
「おらっ!」
「うわあ!?」
「何だ!?」
俺はさっき買った漫画を投げた。それが偶々もう一人の方にも当たった。
「こっちに!」
「!?」
「早く!」
その隙に女の子をこっちに呼んだ。何とか女の子はこちらに来て、僕はその手を取って逃げた。
そのまま人気のないところに来た。
「はあ、はあ、はあ」
「大丈夫だった?怪我はしてない?」
「はあ、はあ……うん、大丈夫。助けてくれてありがとう」
「いや、偶々通りかかって見つけただけだから。気にしないでいいよ」
「ううん。本当にありがとう。私、あの人達に捕まってたら、今頃どうなってたか」
「まあ無事で何よりだよ。それより、大通りまで送ろうか?」
「え、いいの?」
「もちろん」
「ありがとう。それじゃあお願いできる?」
「うん。それじゃあ…痛っ!」
「え、どうした…きゃあ!」
「手こずらせやがって」
「俺達から逃げられるわけないだろ」
あの二人だ!もう追ってきたのか!
「くそっ!その子に触るな!」
「お前は黙ってろ」
「ぐふっ!」
ドサッ!
「ちょっと、やめてよ!」
「お前も静かにしろ」
「きゃっ!」
「こいつはどうする?」
「俺達のことを知ったんだ。そのまま返すわけにいかねえ。こいつは俺が連れて行く」
「じゃあ俺は予定通りこの女を連れて行くぜ」
「ああ」
そのまま一人の男は女の子を連れて行き、もう一人の男はユウキを連れて行った。