16話
今日から3日間、王立アセンカ学院は午後の実技の授業がない。理由はクラス対抗戦が午後から行われるからだ。
俺達は今第3闘技場の控え室にいる。第1闘技場では3年生が、第2闘技場では2年生が、そしてここ第3闘技場では1年生がクラス対抗戦を行う。
クラスはA組〜H組までの8クラスで、トーナメント戦だ。チーム全員が気絶したら負けとなる。俺達の1回戦の相手はD組だ。
「緊張しますね」
「そうだなー」
「トーレスはあんまり緊張してなさそうだけど」
「そうか?」
「私にもそう見えるよ」
「まあ、俺は緊張ってしないからな」
「羨ましいです」
「本当だよね」
「レイはどう?」
「俺か?昔はよく緊張してたんだが、最近は全然だな」
「いいなー」
まあ、恐らく扁桃体が殆ど機能してないからだろうな。
コンコンコン。
「はい」
「1年A組の皆さん、そろそろ試合の時間ですので準備をお願いします」
「分かりました」
「よし、行くか!」
「始まるんだね」
「うん、そうだね」
「緊張します」
そんな感じで俺達は入場口に向かった。
「それでは、1回戦第3試合を始めます。両チーム入場してください」
審判役の人の指示に従い、俺達は入場する。
観客席には試合に出ない1年生が全員座っており、中々の盛り上がりを見せている。
向こうのリーダーがこちらに来た。
「よろしくな!」
「こちらこそ」
そう言って握手する。その後リーダーは戻った。そしてお互いに武器を出す。
「両チーム準備はいいですか?」
全員頷く。
「それでは、始め!」
「うおお!」
始まった瞬間、トーレスは盾を持った相手に向かって行く。
「行きます!」
アリアさんも剣を持った相手の所に向かった。
バン!バン!
シュウは銃を持った相手を牽制し、ミリーナはシュウをいつでも守れるように準備している。
そんな風に戦況を見つめていると、相手のリーダーと仲間が俺の所に来た。
「2人が俺の相手か?」
「そうだね」
リーダーは槍を持っていて、もう1人は籠手を装着している。
「なら、来い」
「いいだろう」
そうしてまずは籠手を装着した方が来た。
「ふっ!」
「はっ!」
相手は籠手で殴りつけてくる。俺はそれを刀で往なす。その隙に相手のリーダーが槍で俺を攻撃してくる。それをギリギリで躱す。その瞬間籠手での攻撃が来た。俺はそれを後ろに飛んで躱す。
「……中々の連携だな」
「まあな」
「かなり練習したからな」
そうだろうな。ここまでの連携は見事だ。
「それじゃあ俺も少し本気で行くぜ」
「来るか」
「油断するなよ」
俺は一気に籠手を装着したやつとの間合いを詰めた。そして袈裟斬りを見舞う。しかし、これは籠手で防がれる。その隙に槍が俺を襲う。今度は避けず、それを刀の柄で受ける。
「何!?」
「そこだ!」
俺は相手のリーダーの動きが止まった瞬間に攻撃を仕掛ける。しかし、そこに籠手を装着したやつが俺を殴ってきた。俺は攻撃をやめて、避ける。
「今のも避けるのか」
「いや、中々危なかったけどな」
本当に危なかった。全然隙がないな。
「さて、今度はこちらから行こうか」
「来い」
籠手を装着したやつが走ってくる。その後ろには相手のリーダーが追随し、槍を構えている。
そうだ、この前のあれで行くか。
俺は方針を決めるのと同時に、相手の籠手が迫ってきた。俺はそれをギリギリまで引きつける。
「今だ!」
その瞬間俺は飛んだ。そして相手の頭の上を超え、相手のリーダーの上に来た。
「何だと!?」
一瞬驚愕し、すぐに立ち直って槍を構えようとするが、俺の方が速い。
「はっ!」
「ぐわああ!」
俺の斬撃で相手のリーダーは倒れた。
「よくも!」
籠手のやつが殴り掛かってくるが、俺はそれを避け、刀を翻す。
「ううああ!」
これで2人とも倒した。
「他のみんなは」
見てみると、今トーレスが盾を持った相手にとどめを刺した。他のみんなも丁度終わりのようだ。
「試合終了!A組の勝利!」
歓声が上がる。
「やったな!」
「ああ」
「レイ君は大丈夫でしたか?」
「まあ少し手古摺ったけど、何とかなったな」
「すごいね」
「流石だね!」
「それじゃあ戻るか」
「そうだな」
俺達は入口に向かって歩き出した。
俺達はあの後、次の対戦相手となる試合を見ていた。
「試合終了!F組の勝利!」
「次はF組だな」
「ああ」
「あのチームは剣が1人、槍が1人、盾が1人、銃が2人だね」
「そうだねー」
「試合を見る限りでは、銃を持った2人が厄介そうでしたね」
その通りだ。やはり前衛と後衛がそれぞれしっかりと別れているので、チームとしては動きやすいんだろう。
「まあ、明日までに作戦を考えておくさ」
俺がそう言うと、みんな頷いてくれた。
「じゃあ今日は帰るか」
「そうだねー」
「試合も終わりましたしね」
俺達は闘技場を後にした。
次の日。
俺は午前の座学の授業中、ずっと今日の試合について考えていた。もうF組との試合での作戦は考えてある。しかし、その作戦では銃を持った2人をどうするかが鍵となる。今の俺達のチームではどうしても近距離型が多いため、遠距離武器を複数持つチームとは相性がいいとは言えない。と言うより悪い。昨日の試合を見る限り、銃を持った2人の片方はシュウと同じ拳銃で、動きながら相手を撃つタイプだ。もう片方はスナイパーライフルで、動かずに盾を持った人と一緒に後ろで狙撃していた。この2人をどう攻略するかが今回の試合の鍵だ。
そんな事をずっと考えていると、午前の座学の授業は終わった。
「……」
「おい、まだ考えてるのかよ」
「ん?ああ」
今は昼休み。教室でみんなと昼食を取っている。しかし、俺はその間もずっと今日の試合について考えていた。
「作戦は考えたんだろ?何をそんなに考えてるんだ」
「いや、それはそうなんだけどな。スナイパーライフルの相手をどうするかがまだ決まってなくてな」
「昨日の試合を見る限り、中々の腕前でした。味方のサポートも完璧でしたし」
「そうだねー」
「僕はもう1人の方を相手にするんだよね?」
「ああ。だからどうするか考えてるんだけど、仕方ないか」
「何が仕方ないんだ?」
「俺が相手をするしかないなと思ってな」
「でも相手は盾持ったやつと行動してるぜ?」
「昨日のジャンプする戦法は相手も分かってると思います」
「まあ、その辺は何とかするよ」
「レイがそう言うんだから任せようよ」
「そうだな」
そうして昼休みは過ぎていき、午後のクラス対抗戦が始まるのだった。




