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11話

俺はあれから10回VRの世界に行った。ランダム生成される世界で、3回目以降は何と現代日本かそれに近い世界ばかりだった。それなので、俺は修行をしつつ、色々な職業に就いた。公務員や会社員、医者、パイロット、宇宙飛行士、教授、料理人など本当に色々な事をやった。それによって色々な事が身についた。

そして今は朝。俺はトレーニングルームにあるランニングマシンで走っている。最近は現実の方の体でも動きやすくなってきた。そのため、ランニングもまだ30キロを走るまではいってないが、半分の15キロは走れるようになった。

「ふう。今日はここまでにするか」

そして俺はトレーニングを終えて、クールダウンしてから朝食を食べた。


今俺はソムニウムに座っている。今からVRの世界に行くからだ。

「じゃあ今日も頑張ってね」

「ああ」

俺はそう言うと、意識を失った。


やはり始まりは一緒だ。森の中で意識が覚醒し、暫くするとシスターがやって来て俺を孤児院に連れて行く。ここまで12回もこのVRの世界に来ているが、世界は違えどいつもこうして俺の人生は始まる。まあそういう風に設定されているから仕方のない事なんだが。

しかし、この世界は3回目以降の現代日本に似た世界ではなく2回目、俺が師匠と出会ったあの世界と似ているようだ。この世界は5つの国が存在し、それぞれがソウル・リベレイターの育成に力を入れている。そのため、各国で育成期間があるようだ。そして、そんな国々に反抗する集団もいるようだ。こちらもソウル・リベレイターの集団だと聞いた。

そんな世界で俺はどこの国にも属さず、孤児院で修行の日々に励んだ。少しでも強くなる事、それがこれからの俺にとって必要になると思うから。

そんな感じで過ごしているうちに15年が経った。身長も伸び、筋肉もついてきた。それにより本格的に剣技の練習が出来る。体が成長途中で剣技の練習をすると感覚が違い、成長し終わった時に誤差が出てくる。それをなくすため、俺は成長が殆ど終わる15〜18歳になるまでは剣技の練習をしないことにしている。やっと15年経ったので俺は最近剣技の練習を始めたのだった。


「ただいま」

俺は孤児院に帰って来た。

「あら、おかえり」

そう言ってシスターは出迎えてくれる。

「今、夕飯の支度をしてるからちょっと待ってね」

「ありがとう」

そう言って俺は部屋に戻る。実はもうそろそろ旅に出ようかと思っている。シスターには今晩にでも言うつもりだ。

そんな事を考えながら、俺は部屋で剣技のイメージトレーニングをしていた。


「シスター、話があるんだ」

「どうしたの?」

俺はシスターに、この世界を見たいという理由で旅に出るという事を話した。

シスターは最後まで黙って聞いていた。そして俺が話し終わると口を開いた。

「レイは、本当にこの世界が見たいの?」

「ああ。俺はこの世界を見てみたい」

「それは世界の建築物や綺麗な自然を?それとも、強い人を?」

「……両方……いや、強い人を見てみたい。この世界にはどれくらい強い人がいるのか、俺は知りたいんだ」

「……それなら、ここに行きなさい」

そう言って1枚の紙を取り出し、俺に見せてきた。

「これは?」

「ミリアス王国にある王立アセンカ学院の入学試験のお知らせだよ」

ミリアス王国。それはこの世界にある国のうちの1つだ。王立アセンカ学院はミリアス王国にあるソウル・リベレイター育成機関だったはずだ。

「何でここに?」

「ここにはいろんな所からたくさんの人が来る。すごく強い人がたくさん。旅をする前にまずここで自分がどのくらい通用するのか試してみる。それからでも遅くないんじゃない」

成る程な。それは一理ある。それだと旅をせずとも強いやつに会える。しかも確実に。

「でも金は……」

だがここは孤児院。学校に通う金などないはずだ。

「それは何とかするわよ」

「何とかって……」

どうもならないんじゃ……

そんな事を思いながら紙を見ている時だった。

「……ん?これは」

「どうしたの?」

「いや、ここに特待生には入学金と学費を免除するって」

入学試験時に最も優秀な成績だった人には特待生制度が適用されるらしい。入学金、学費、生活費、その他の費用を支給されるみたいだ。しかし、学期末試験の時にトップの成績じゃなければ、その時トップの人に特待生制度が適用され、それまで特待生だった人は学費を払わないといけない。つまり試験ごとに常にトップが特待生枠として用意されていて、学期ごとに入れ替わることもあれば、3年間変わらないかもしれないという事か。中々面白いな。

「……シスター、この学院に行くよ。それで特待生を目指す」

「特待生じゃなくても行っていいのよ」

「いや、そんな金ないのは知ってるし、それにこの程度でトップになれないなら、そこまでだったって事になる。俺は自分の実力を試すためにやるよ」

「……分かったわ。頑張ってね」

「ああ」

そうして俺は学院の入試に向け、準備を始めた。


王立アセンカ学院の入学試験は筆記と実技がある。筆記は国語、数学、理科、歴史の4つとなっている。筆記の勉強は特に問題ない。俺には後天的な完全記憶能力があるから1度覚えたら忘れないし、今までの人生でかなりレベルの高い教養を得たので大丈夫だ。王国の歴史については本を読んだから問題ない。

そういうわけで俺は実技試験に向けた修行をしている。まあいつもやってることと変わらないが。

王立アセンカ学院の入学試験まであと半年。どんな強いやつが集まってくるのか楽しみだ。


時は流れて春。ついに王立アセンカ学院の入学試験の日が来た。

今は午前7時。俺は孤児院の前にいる。

「じゃあシスター、行ってくる」

「気をつけてね」

「ああ」

そう言って俺は歩き出した。

入学試験が始まるのは午前9時。孤児院からミリアス王国まで歩いて4時間かかる。ソウル・リベレイターは身体能力が高いので、3時間程で着く。しかしそれでは間に合わないので、俺は少し本気を出す事にした。

「リベレイト」

ブンッ!

そう言って、俺はリベレイトした。これにより走ればミリアス王国まで2時間もかからないだろう。

「それじゃ、行くか」

俺は走り出した。


「やっと着いたな」

今は8時40分だ。何とか間に合いそうだな。

俺は王国の門へ行き、門番の人に話しかける。

「すみません。ミリアス王国へ入国をしたいのですが」

「目的は何だ?」

「王立アセンカ学院の入学試験を受けに来ました」

「そうか、入国を許可する。頑張れよ」

「ありがとうございます」

僕はそのまま入国する。

「おお」

街並みは西洋風でとても綺麗だ。人も多く、とても賑わっている。

「さて、学院に向かうか」

王立アセンカ学院はミリアス王国の北に位置する。俺は今東側にいるので北に向かって歩き出す。

するとすぐに学院が見えてきた。

「さてと、気合い入れるか」

そうして、王立アセンカ学院の入学試験が始まる。

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