106話
俺は今ギルドに来た。
中へ入ると、受付の所にローデンさんがいた。
「あ、難波さん、少し待ってくださいね」
ローデンさんは俺の事を見つけると、そう言ってどこかへ行ってしまった。
そのまま暫く待っていると、ローデンさんがやって来た。
「お待たせしました。それでは行きましょうか」
「はい」
そうして、俺とローデンさんはダンジョンへと向かったのだった。
ダンジョンの入口まで来ると、俺はギルド職員の人に確認を取らなくても中へ入れた。理由は隣にローデンさんがいるからだろう。
「さあ、行きましょう」
「はい……」
今日はあまりダンジョン攻略を進められそうにないなあ……
俺はそんな風に思いつつ、ローデンさんの前を歩いてダンジョン内を歩く。
そして、1階層へと到着した。
「ここがダンジョンの1階層なんですね……」
「ローデンさんは来た事がないんですか?」
「はい。実はダンジョンの未到達階層へと冒険者が行く場合は、ギルド職員が数人ついて行くのですが、ここ数十年はそれもなかったので、今のギルド職員はみんな入った事がないと思います」
マジか。それならローデンさんは貴重な経験をしてるんじゃ……
「って、もしかして、ダンジョンに来たかったから、無理矢理俺について来たんじゃ……」
俺がそう言うと……
「そんなはずありません!」
そう言われてしまう。
「ですよね……」
「出来る事なら、ダンジョンなんて来たくなかったですよ」
「それなら、今からギルドに戻ってもらっても……」
「何ですか?」
うおお!?ローデンさんがすごく睨んでくる。
「いえ、何でもありません……」
俺達はそれ以降、何も話さずにダンジョン内を進む。
すると……
「ギャッ!」
ゴブリンが現れた。
「ローデンさん、ここにいてください」
「分かりました」
「マテリアライズ」
ブワッ!
俺は刀を出し、鞘から抜いて構える。
「ギャギャッ!」
ゴブリンはこちらに来るので、俺は刀を振るいゴブリンを斬りつける。
「ギャア!」
そのままゴブリンは消滅した。
「さあ、行きましょう」
俺は魔晶石を拾い、ローデンさんにそう言う。
「え、ええ」
少し驚いていたローデンさんだが、そのまま俺について来る。
そうして、俺達は通路を進んだのだった。
「はっ」
「ガウッ!」
俺は今、狼のようなモンスターを倒した。
「これで4階層も終わりか」
俺とローデンさんは、1時間程で4階層まで来ていた。
「あ、あの……」
今まで話しかけてこなかったローデンさんだったが、ここで俺に話しかけてきた。
「何ですか?」
「もしかして、難波さんってかなり強いですか?」
いや、俺に聞かれても……
「まあ、ギルドの職員であるローデンさんが強いと思うなら、そうなんじゃないですか?」
「そ、そうですね」
「それで、ここから先は5階層になりますが、行ってもいいですか?」
俺がそう聞くと……
「あ、はい、どうぞ」
ローデンさんはそう答えた。
「それでは、行きますね」
そうして、俺達は5階層へと向かったのだった。
「そう言えば、3階層の犬みたいなモンスターと、4階層の狼みたいなモンスターは何て言うモンスターなんですか?」
俺は5階層へと続く通路を進む途中、ローデンさんにそう聞く。
「えっとですね、3階層で出るモンスターはラインドッグです。体に線がありましたよね?」
「そう言えばそうですね。だからラインドッグなんですね」
「そうです。それと4階層のモンスターはメインウルフです。鬣が特徴的なモンスターですね」
成る程。
「ありがとうございます。それで次の5階層で出てくるのが、アギトアントでしたね」
「はい、そうです。それと、難波さんはもっとモンスターについて勉強してください」
「あ、あはは……」
俺は笑って誤魔化す。
戻ったら本でも読むか……
そうしていると、もうそろそろ5階層へ着きそうだ。
「ローデンさんはここで待っててください」
「え、どうしてですか?」
「実は昨日、5階層に着いた瞬間にアギトアントに不意打ちされたんです」
「えっ、そうなんですか!?」
「ええ、だからここで待っててください」
「分かりました。気をつけてくださいね」
俺は頷いて、通路を抜けて5階層へ行く。
「……いないな」
周りを見渡すが、モンスターはいなかった。
「ローデンさん、大丈夫でした」
俺がそう言うと、ローデンさんもこちらへ来た。
「いなかったんですか?」
「はい。そうみたいです」
どうやら、昨日は偶然だったようだな。
「それじゃあ、先に進みますか」
「はい」
そうして、俺達は5階層の通路を進んで行った。
そして……
ガキィン!
「あれ、何か聞こえましたよね?」
「はい、何でしょうか?」
俺達が通路を進んでいると、何か音がした。
「こっちから聞こえたような……」
そう言って先に進むと……
「はああ!」
「カチカチカチッ!」
「そっち行ったぞ!」
「分かってます!」
「任せて!」
男女4人のパーティーが、アギトアントを7体相手にしていた。
これまでも何回か冒険者を見かけたが、今回のは少しピンチっぽいな。
「あれって、助けた方がいいですよね?」
「は、はい!お願いします!」
その瞬間、俺は走り出した。
「くっ!」
「くそ!数が多すぎる!」
「あ、マニー!」
「えっ」
マニーと呼ばれた女の子の後ろから、アギトアントが攻撃を仕掛ける。
させねえよ。
俺はその女の子の前に来て、アギトアントに攻撃する。
「心証流秘剣ー楔」
俺の繰り出した突きは、見事にアギトアントを串刺しにした。
そしてアギトアントは消滅して、魔晶石が地面に落ちる。
「え……」
女の子は呆然としていた。
「大丈夫?」
俺がそう聞くと……
「……あっ、はい!」
女の子はそう言って、頷いた。
「よかった。他の人も助けてくるから、ここで待っててくれ」
俺はそう言って、他の3人の元へ向かう。
残るアギトアントは6体。
一気に倒す!
俺はそう決めると、一気に剣技を放つ。
「心証流秘剣ー楔」
俺の攻撃でアギトアントは消滅した。
よし、次だ。
俺は次のアギトアントの所へ向かおうとする。
「おい、危ないぞ!」
その声の通り、俺の周りにはアギトアントが群がっていた。その数は4体。
さっき仲間がやられたから、俺の方が危険と思われたってわけか。
「「「「ガチガチ」」」」
そして、一気に俺に向かって来る。
「逃げて!」
さっきの女の子がそう叫ぶが……
大丈夫だ!
俺はその場で回転し、アギトアントを斬りつける。
「心証流奥剣ー旋風」
俺の遠心力を乗せた一撃は、アギトアントを一刀両断する。
そして、一瞬で4体のアギトアントを倒した。
「す、すげえ……」
「一瞬で4体とも……」
さっきまでアギトアント相手に苦戦していた2人は、そう漏らす。
「うおお!」
そして、最後の1体をパーティーの男の子が倒した。
これで終わったな。
俺はそう思い、刀を鞘に納めたのだった。




