103話
俺はギルドから出て、北へ行く。
すると……
「あそこか」
そこには塀があり、そこに入口であろうドアがあった。そして、そのドアの上には『ダンジョン入口』と大きく書かれた看板があり、そこに男性が1人立っていた。
俺はそこまで行き、男性に声をかける。
「あの、ギルド職員の方ですか?」
「そうだ」
「すみません、ダンジョンに行きたいのですが」
「それでは、ギルドカードを見せてくれるか?」
俺はさっき貰ったばかりのギルドカードを、ギルド職員の男性に見せる。
「よし、大丈夫だ。それでは、ここから入ってくれ」
そう言って、ギルド職員の男性はドアを開けてくれる。
「ありがとうございます」
俺はそう言って、中へ入る。
すると……
「これがダンジョン……」
塀の向こうには、ダンジョンの入口があった。
ダンジョンの入口は、隆起した大地に穴が空いている形で存在していて、そこから下へ潜っていくようだ。
「行くか」
俺はそう言って、ダンジョンの入口へと入って行った。
「これがダンジョンの中か」
俺はダンジョンの入口から中へと入り、そのまま下りていく。
内部の通路は、人が2人程並んで通れるぐらいの広さしかなく、中々に狭い。
俺はその道を進んでいると、向こうから誰かが来た。
それは、冒険者のパーティーのようで、3人がこちらに向かって来る。
俺は通路の端により、3人とすれ違う。
特に言葉は交わさない。それでも、彼らがかなりの強さであるのは分かった。
俺はそのまま進む。
そして、遂に1階層へと到着した。
「ここが1階層か」
周りには何もなく、ただ通路があるだけだ。
「リベレイト」
ブンッ!
俺は刀を出し、そのまま進む。
そして……
「ギャッ?」
遂にモンスターと遭遇した。
「こいつはゴブリンか!」
そう、俺の前に現れたのはゴブリンだった。
「ギャッ!」
特に武器は持っておらず、そのままこちらに向かって走って来る。
俺は刀を鞘から抜き、正眼に構える。
「ギャッ!」
そしてゴブリンは殴りかかってきた。
「はっ!」
俺は刀を振るい、ゴブリンの肩から腹にかけて斬りつける。
「ギャッ!?」
そうして、ゴブリンは地面に倒れる。
しかし……
「ギャギャッ!」
再び立ち上がった。
何だ!?完璧に攻撃は決まったはず……そうか!
今までのように具現化した武器で攻撃しても、それではモンスターを倒せないんだ。倒すためには、恐らく武器の実体化が必要なんだろう。
「それなら……」
俺は一旦刀を消し、再度刀を出す。
「マテリアライズ」
ブワッ!
その瞬間、実体化した刀が出現した。
「ギャギャッ!」
ゴブリンは再び向かって来る。
俺は刀を鞘から抜き、そのままゴブリンに向かって袈裟斬りを放つ。
「ふっ」
「ギャッ!?」
そのまま、俺の刀はゴブリンの肩から腹を斬りつける。そしてゴブリンの体から血が吹き出し、ゴブリンはその場に倒れる。
そして、ゴブリンは消滅してしまった。ゴブリンが消滅した後には、直径10センチ程の綺麗な赤い石が落ちていた。
「これが魔晶石か」
俺はそれを回収する。
「成る程。こうやって戦闘を繰り返して、魔晶石を集めればいいんだな」
今回は生憎鞄を持っていなかったので、俺は魔晶石をポケットに入れる。
「これだと、あと数個でポケットが一杯になるな」
俺はそう思い、今日のところはあと数体モンスターを倒してからギルドに戻ろうと思ったのだった。
「はっ!」
「ギャギャッ!?」
俺はゴブリンに対し、上段に構えた刀を振り下ろして倒す。
そのままゴブリンは倒れ、ゴブリンが消滅すると魔晶石が落ちていた。
俺はそれを拾い、ポケットに入れる。
「もうポケットが一杯だ」
さっきのゴブリンで6体目だったのだが、もうポケットが一杯になってしまった。
「仕方ない。今日のところは戻るか」
俺はそうして、地上へと戻るために来た道を引き返したのだった。
「お、戻って来たのか」
ダンジョンの入口のドアを開けると、その横に立っていたさっきのギルド職員の男性が話しかけてきた。
「あ、はい」
「君、新人だろ?どうだった、ダンジョンは?」
「あまり深く潜れなかったので、何とも言えないですね」
「そうか。まあ最初のうちはあまり深く潜るなよ。じゃないと、いつモンスターにやられて死ぬか分からないからな」
ギルド職員の男性はそう忠告してくれる。
「分かりました」
俺は一礼して、その場を離れる。
そのまま魔晶石を換金するため、ギルドへと向かう。
ギルドへ戻ると、受付のところにローデンさんの姿は見当たらなかった。
俺は受付まで行き、他の受付の女性に声をかける。
「すみません、セリア・ローデンさんはいらっしゃいますか?」
俺はそう聞くと、女性は答えてくれる。
「あ、はい。少々お待ちください」
そう言って、女性はどこかへ行ってしまう。
暫く待つと、ローデンさんがやって来た。
「すみません、少し休憩をしていたもので」
「いえ、大丈夫ですよ。こちらこそ、休憩中にすみません」
「いえ、とんでもないです。仕事ですから、いつでも呼んでください」
ローデンさんはそう言ってくれる。
「ありがとうございます。それでは、この魔晶石を換金したいんですが……」
俺はそう言って、魔晶石を取り出す。
「はい、それでは少々お待ちください」
そう言って、俺の出した魔晶石を持ってどこかへ行くローデンさん。
再び待っていると、ローデンさんが戻って来た。
「これが報酬となります」
そうしてお金……日本円で600円が渡された。
「やっぱりゴブリンだと、こんなもんですか」
俺はそう聞くと、ローデンさんは申し訳なさそうに言う。
「すみません、どうしてもスライムやゴブリンから取れる魔晶石だと、この金額になってしまいます。魔晶石は動力源として有効活用されていますが、やはりスライムやゴブリンのものだと小さいので」
「いえ、大丈夫ですよ。すぐにもっと稼げるようになると思いますから」
俺がそう言うと、ローデンさんは驚き……
「駄目ですよ!最初の方からダンジョンに深く潜るのは!普通は何年もかけて、やっと20階層より下にいけるかどうかなんですから!」
そう言われてしまう。
「そ、そうなんですか。分かりました」
俺は頷いておく。
「……本当に駄目ですよ。じゃないと、死んじゃいますから」
そう悲しそうな顔で言うローデンさん。
恐らく、ダンジョンで死んだ人間を実際に見てきたのだろう。
「大丈夫ですよ。俺は死にませんから」
「約束ですよ」
「ええ。それでは、俺は帰りますね」
「はい。お気をつけて」
そうして、俺はギルドを後にする。
「深く潜っては駄目か……」
だが、ダンジョンに深く潜らないと稼げないし、何よりも強くなれない。
「それじゃあ意味がないんだよな……」
俺はこの世界に強くなりに来てるんだ。だから、ローデンさんには悪いが、明日からもっとダンジョンの奥深くに潜ろう。
俺はそう決めたのだった。




