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99話

「着いたぞ」

「ここは……」

俺は高台の下に来た。

周りは広場となっており、今も人通りが多い。

俺は高台に登る。そして上まで来た。

俺は設置されているメガホンを手に取る。

「住人の皆さん!」

俺がメガホン越しに呼びかけると、街の人達はこちらを見る。

「これを見てください!」

俺はそう言って、証拠の書類のコピーを上からばら撒く。

すると、それを見た人達は驚いている。

「こ、これって……」

「え、国家代表が!?」

「嘘だろ、魔族を攫っていた!?」

「え、魔族に襲わせるように仕向けたのは国家代表!?」

まあ仕方ないよな。

「ああ……私はこれで終わりだ……」

「自分達が今までやってきた事だ。それに、魔族の方はもっと酷い目に遭っているしな……もう、こんな事は終わりにした方がいい」

俺はそう言って、メガホンを国家代表に渡す。

「これで今まで自分達がしてきた事をみんなに伝えろ」

国家代表は、俺からメガホンを受け取る。

「……もう、こうなっては言い逃れ出来ないか……」

国家代表は大人しく言う通りにする。

「お、おい、あれって、国家代表じゃないのか!?」

「あ、本当だ!」

「これはどういう事なんですか!?」

「説明してください!」

みんなは国家代表に言う。

それから、国家代表は説明を始めたのだった。


その後、俺と国家代表は高台から下りると、沢山の人に囲まれた。

幸い、用があったのは国家代表だったので、俺は抜け出して帰った。

そして俺は家に戻り、アイリスとヨセリアさんに経緯を説明したところだ。

「あなた、無茶苦茶ね」

「まあ、無理矢理感はあったけど、こうする方が早く済むからな」

「ねえ、明日から大変なんじゃない?」

アイリスがそう聞いてくる。

「そうだな。俺は魔界に戻らないといけないし、他の国にも行かないといけないし……」

「え、また魔界に行くの!?」

「ああ。結果の報告もあるし、こっちに魔界から使者を連れて来ないといけないしな」

「そ、そっか」

「それで、2人には国家代表達が逃げないよう、見張ってて欲しいんだが」

「え、私達が!?」

「他に頼める人がいないんだよ。頼めるか?」

「……分かった。でも、出来るだけ早く帰って来てね」

「ああ、分かってる。」

「アイリスがやるなら、私もやるわ」

「ありがとう。それじゃあ、明日から忙しくなるけど、頑張ろう」

俺がそう言うと、アイリスも頷いてくれた。

「はあ……何でこんな事になったのかしらね」

ヨセリアさんは溜息を吐いていたが、嫌だとは言わなかった。

そうして、俺達は次の日から行動したのだった。


それから毎日忙しかった。

俺は先ず魔界に行き、魔王やパトリシア達に結果を報告した。パトリシア達はとても喜んでいたが、大変なのはここからだと説明すると、気を引き締めて頑張ると言っていた。

そうして、パトリシアを含めた数人の魔族を引き連れ、俺は人間界に戻った。

人間界では、俺が魔界に行っている間に真実が他の国にも伝わり、大混乱となっていた。

そこで俺が魔族を連れ帰ったため、セントメイルの住民はパニックになるかと思ったのだが、アイリス達が国立グロリア学園の先生達と協力してくれたおかげで、何とか事なきを得た。

後でアイリス達に話を聞くと、アイリスとヨセリアさんは俺が魔界に向かった後、メリス先生やユゼリア先生に話をして、手伝ってもらう事にしたそうだ。

最初は先生達も国家代表達の事や、魔族についての事で驚いていたそうだが、アイリス達の説明を聞き、協力してくれる事になったんだとか。

それから俺は先生達と会って話をした。そこで俺は今までの経緯を詳しく説明すると、先生達は驚いていた。しかし先生達から話を聞く事で、俺の方も驚いてしまった。

それは、学園長が次期国家代表となるという事だった。

元々、セントメイルの国家代表には国立グロリア学園の学園長がなる事が多いそうだ。

そのため、現在の国家代表であるラウリ・スドル氏が今までの責任を取り、他の部下達と退任した後、国家代表となるのは現在国立グロリア学園の学園長であるサリア・オスカーさんという事になる。

そうなれば俺としても話がしやすいので、早速アイリスが住んでいる家で待機してもらっていた魔族達とともに学園長に会いに行く。

そして、俺は魔族達と一緒に学園長と今後の事について話した。結果的には、今後魔族とは関係の見直しを図っていく事になった。

そして俺の方はと言うと……


「俺は明日から魔族の使者達と一緒に、人間界を回る事になった」

「ええ!?」

「あなたって、本当にじっとしていないわね」

現在、アイリスの家で俺、アイリス、ヨセリアさん、パトリシア、メイリー、ノセレさんの6人が集まっている。

そこで、俺はこれからどうするのかを、アイリスとヨセリアさんに伝えた。

「まあ、こればっかりは仕方ないさ。俺とパトリシアが始めた事だしな」

俺がそう言うと、アイリスは怒る。

「またそういう大事な事を勝手に決めて!」

「おいおい、魔界に行く前も言っただろ。他の国にも行かないとって」

「それはそうだけど!」

「アイリス、それならあなたもついて来たらいいじゃない。もちろんケーナもね」

そこでパトリシアがそう提案する。

「そっか!それはいいわね!」

「私も行くの?」

「いいじゃん!ここまで一緒だったんだし、これからも一緒にいようよ!」

「はあ、仕方ないわね」

そう言いつつも、ヨセリアさんは嬉しそうだった。

「ね、レイもそれでいいでしょう?」

俺は考える。

「何よ、もしかして駄目って言うつもり?」

アイリスがそう言う。

「いや、そうじゃない。ただ、ここまで来たらアイリスとヨセリアさんに頼むのもいいかと思ってな」

「頼むって何を?」

「俺の秘書をさ」

「秘書?」

「ああ。これから俺とパトリシアは、人間と魔族との間を取り持つ役割をする事になると思う。そうなると、パトリシアにはノセレさんがいるが、俺は1人だからな。秘書が欲しいと思ってたんだ」

「それで私達ってわけ?」

「そうだ」

「私で出来るかな?」

「出来るさ。俺が教えるよ」

俺がそう言うとアイリスは少し考え、そして頷く。

「……分かった。それならやってみる!」

「ありがとう」

「ケーナも一緒に頑張ろうね!」

「もう、仕方ないわね」

何だかんだで、ヨセリアさんもノリがよく、秘書になってくれるようだ。

「ありがとな、2人とも」

「私もレイ様のために頑張りますわ!」

メイリーもそう言ってくれる。

「ありがとう、メイリー」

「レイ、頑張りましょうね」

「ああ」

「パトリシア様、私も微力ながらお手伝いをさせていただきます」

「ええ、頼りにしてるわ」

「はい!」

ノセレさんもやる気だ。

「そんじゃ改めて、これからもよろしくな!」

「うん!」

「ええ!」

「よろしくね」

「よろしくお願いします!」

「はい!」

そうして、俺達は人間と魔族との関係をいいものにするため、奔走していくのだった。


30年後。

「何とか人間と魔族の共存も、俺達が生きてる間に実現したな」

「ええ、これもレイのおかげよ」

「いや、俺がパトリシアと会わなかったら、もしかしたらやってなかったかもしれないからな。そう考えると、パトリシアとの出会いがきっかけだったのかもな」

「それなら、私がレイにセントメイルへ行こうって言わなかったら、そんな事になってないよね?」

「それもそうだな。思えばアイリスと出会って、パトリシアと出会って……どっちかと出会っていなかったら、俺はここにいなかったんだよな」

「私もそうだよ。レイと出会わなかったら、多分セントメイルには行ってないし」

「そうなったら、私もレイと出会えずに、人間との共存なんて夢のまた夢だったと思うわ」

2人はそう言ってくれる。

そう言ってもらえると、本当にありがたい。

アイリスなんて、両親を魔族に殺されたのにも関わらず、俺やパトリシア達と一緒に人間と魔族の共存を目指して頑張ってくれた。

本当に、2人ともありがとな。

「でも、まだまだこれからだよな」

「うん、そうだね」

「ええ」

「そんじゃ、これからも頑張っていこうな」

「うん!」

「ええ、もちろんよ」

2人はそう言って、俺に同意してくれた。

俺はそんな2人に対して嬉しく思いつつ、高台からセントメイルの街を、人と魔族が入り混じって生活している様子を眺めていたのだった。

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