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プロローグ

初投稿です。拙い部分は指摘お願いします。できれば優しい感想期待しています。

「くっ、どうすればいいんだっ」


 俺の名前は 小鳥遊 銀。超能力者だ。


 ──とついこの間まで名乗っていた。


 俺の本名は 佐藤 軽。ただの18歳、高校3年生だ。まぁ、もう卒業したが。

 もちろん超能力など使えるわけが無い。


「あー、もうおわったー」


 今日は3月15日、俺の18歳の誕生日である。

 そして、俺が覚醒した日でもある。


「くそぅ、なんでもっと早く気付かなかったんだ…」


 俺のいう覚醒とは、超能力に目覚めたとかいうイタい意味ではない。逆に、中ニ病から目が覚めたということだ。


 18歳になったこの日に俺は覚醒してしまった。

 気付いてしまったんだ青春は既に過ぎ去ったことに。








 俺は普通の生徒だった。ただただ普通、顔も性格も、名前も。

 それがずっとコンプレックスだった。

 だから、俺がサブカルにハマるのにそう時間はかからなかった。特に俺TUEEEE系の非日常モノが好きだった。


 普通の青年がある日特殊な能力に覚醒めて闘う。作品を読み漁っては妄想をふくらましていた。


 そして、それらの主人公にあこがれてしまった。


 その結果が昨日までの俺、中ニ病だ。

 12歳から始まり、ズルズルと結局17まで引きずった。


 これが俺の中ニ病を患った原因だ。


 こんなことに大切な1回きりの青春を使ってしまったことにかなり後悔している。


 まぁ、悔やんでも仕方ない、もう戻っては来ないのだから。

 それより今は先のことを考えよう。


 もともと頭も悪くなかったし、ちゃんとやるべき勉強はやっていたので、中の上くらいの大学には受かることが出来た。


 もうすぐ4月。

 新しい大学での生活が始まる。

 大学生活では、後悔しないようにリア充を目指して頑張るぜ!


 ………………



 2年後…


「はぁ、まぁそうなるよな…」


 もう既に2年も経っているというのに…


 しかし、当たり前といえば当たり前だ。


 中ニ病の時期は皆からヤバい奴扱いをうけていたため、まともに人と話すことがなかったのだ。コミュ力がある筈が無い。

 話す人がいないのに友達なんてつくれるわけがなかったんだ…


 いや、厳密に言うと話せる人がいないということもない。


「佐藤さん、どうしたのですか」


 それがこいつ。 鈴木、下の名前はしらん。


「いや、ちょっと考え事してただけだ」


 なぜか鈴木とだけは普通に話すことが出来る。

 家族以外では唯一話せる人だ。


「そうですか」


 今は昼休みなので、大学近くの店に昼飯を食べに行こうとあるいているところだ。


 ちなみに鈴木もかなりのコミュ障で、俺以外と話しているのをみたことがない。

 他人の前だと緊張して何もじゃべれなくなるそうだ。


 なぜお互い話せるのか不思議でならない。


 それでもどうして俺が鈴木のことを友達ではなく話せる人と言うのかというと、


「…」

「…」


 こうなるからだ。


 俺らは話すことはできるが、話を続けるのが下手くそなのだ。

 楽しく会話することが出来ない関係を果たして友達と呼んでも良いのかわからないため、今は話せる人としている。


 出来ればもう少し仲良くはなしたいのだがな。


「…」

「…」


 あーもうぅっ

 話題が見つからない。

 というかこいつの趣味とか何も知らないし。


 はぁ、こんな時小鳥遊 銀だったらどうするかな。


「えっ!?」

「ん?」


 びっくりしたなんで急にそんな声を。

 もしかして心の声出てたかな?


「もしかして、俺なんか言った?」

「うん、小鳥遊 銀のことを知っているの?」


 しまった。1番言っちゃいけないことを!


 ん?


「え?なんで俺のこと知ってんの?」

「え?」

「え?」


 あ、またやっちまった。口がすべった。


「もしかして、銀くん?」

「っ!?」


 俺のことをそう呼ぶのはあいついかいないはずだ。


「まさか、お前、ベ…」


 ベル、そう言おうとした瞬間身体の右半分に強い衝撃が走った。


 薄れゆく意識のなか見えたのは、泣きそうな顔で俺に何度も呼びかける鈴木、いやベルの姿だった。






 ─────────






「あぁ、いってーな」


 目が覚めると真っ白い天井が目に入った。どうやら病院のようだ。

 右腕にギプスと包帯がぐるぐる巻きにしてある。折れてるっぽい。それと、頭にも包帯が巻いてある。

 点滴とかが伸びていてさらに動きにくくなっている。


 車に轢かれたのかな。


 横断歩道だったとはいえ、青だったはずだから俺たちに非は無いはずだ。鈴木を轢かなかったのはまだいいが。


 てか、鈴木…は轢かれなかったので多分大丈夫だと思うが、まさかあいつが、ベルだっとは。


 ベルとは、俺が小鳥遊 銀だった頃、中学時代の中二病仲間だ。高校になって会わなくなったが中学ではかなり仲が良かった。

 お互い他に話す相手がいなかったとも言うが…


「てか、変わりすぎだろあいつ、全然気付かなかったわ」


 ──ガラガラァ

 病室の扉が開く音がした。

 そして同時に足音も病室に入ってきた。


 俺のベッドの前まで来ると、足音の主がわかった。鈴木だ。


「よお、すず…」


「佐藤さんっ!」


 俺を見るなり急に抱きついてきた。

 え、えぇ?こいつこんなキャラだったっけ?


「お、おぉ、どうした鈴木」


「佐藤さん、佐藤さん、よかった…」


 力強く抱きついてきた彼女をどうしていいか分からず、とりあえず無事な左手で背中をぽんぽんとしてみた。


 鈴木が落ち着いてから、あの後の話を聞いてみよう。


  ─────


 鈴木が落ち着いたのを見計らい、事故のあとの事を聞いてみた。


「佐藤さんが轢かれたあと血を見て私パニックになっちゃって…何も出来なかったんですけど、周りの人が救急車を呼んでくれて…そのおかげで佐藤さんは一命を取り留めました。

 でも、手術が終わってから3日も意識が戻らなくて…」

「それで今日、俺を見て飛びついちゃったと…」

「はい、すみません」

「いや、いーよ。鈴木はなんも悪くないし。余計に心配かけたな、ごめん。それと、心配してくれてありがとう」

「いえ、そんな」

「…」

「…」


 あぁ、また来た、この沈黙はきつい!

 聞きたいことはたくさんあるのに、言葉が出てこない!とりあえず、何か話さなければ!


「えーと、てか、なんでそんなに俺のこと心配してくれたの?」


 会話を思い起こして疑問に思ったことを聞いてみた。


「え、その…大学で唯一の友達ですし…それに、聞きたいことがあったから…

 あの、佐藤さんって本当に小鳥遊 銀くん、なんですか?」


 お、俺の事を友達…だとっ!

 いやいや、そんなことより!


「あぁ、そうだ。お、お前は、ベル…なのか?」

「本当に銀くん、なんですね……………やっと、会えました…」


 ベルはそう言うと俺の手をギュッと握り締め、いつもの無表情を少しだけ崩して、小さく微笑んだ。


 可愛すぎる!破壊力強すぎだろっ!

 てか、今まで意識してなかったが、こいつ可愛いな…

 透き通るような白い肌に昔と違って短くなった綺麗な黒髪、顔立ちも端正で、怜悧な雰囲気が漂う。ヤベぇ。


「ふぅ、とりあえず無事で良かったです。話したいことはたくさんありますが、頭がまとまりません。また明日、お伺いします」

「えっ…あぁ、うん、わかった。なんか…急に雰囲気かわった?」


 もともと無表情だったが、さらに表情がなくなり、口調も少し堅くなった気がする。


「いえ、佐藤さんが銀くんだとわかったので、外行きの口調をやめただけです」

「あ、はい、そうですか。でも、それが素の口調なんだよな?」

「はい、嫌でしたら戻しますが…」

「いや、そのままでいい」


 外行きの口調やめて、素に戻すとか…優越感ヤベぇ!


「じゃあ、また明日な」

「…?、はい、また明日」



 鈴木が帰ったあと、1人で悶々といろんな事を考えていた。

 昔のことや、大学での日々、そして、これからのこと。

 あぁ、事故の手続きとかめんどくさいな…

 てか、どのくらいで退院出来んのかなー?はぁ、早く治んねぇかな。

 もういいや、めんどくさい事はそんとき考えればいいか。

 とりあえず今日は疲れた。もう寝よう。


「ははっ、銀くん、か」


 ステータス、オープン!


 ──────────

 小鳥遊 銀


 体力 10/10

 魔力 1000/1000


 スキル

 超能力

 ──────────


「はぁっ!?」


 あ、しまったここ病院じゃん。

 いや、そんなことより、なんなんだこれ!

 昔思い出して適当にやっただけなのに、本当にでてくるとは…


 本当に今日はいろんな事が起こる日だな…


「もう、寝よう」


 考えることを放棄した俺はそのまま深い眠りについた。

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