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冒険譚:ダンジョンズ:  作者: 深宮マサ
第1章 冒険のスタート
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第1章1-5 力の目覚め

展開早すぎてネタが尽きそうです。

まずい。


レインは船上から落下した。


「レイン!!」

バルガが叫ぶ。

しかし、レインの影はない。


「どうしてこうなったんだよ、レイン!

 夢を終わらせてよかったのかよぉぉぉぉ!!」

バルガが絶望に叫ぶ。

しかし、何の返事もなかった。



――――――――――――――――――――――――――――――


レインは深い、深い深淵に沈んでいく。

―――俺、死ぬのかな。

―――ここで死ぬなら、もっと色々やっておけば良かったな。


ここで死ぬなら、両親に親孝行しておけばよかった。

ここで死ぬなら、村のみんなと思い出つくっておけばよかった。

ここで死ぬなら、もっと皆に感謝しておけばよかった。


さらに、こんな後悔も頭を過る。


もっと早く出発すれば、こんなことにならなくてすんだのに。

もっと鍛えておけば、負けることはなかったのに。

船を使わなければ、おっちゃん達に迷惑がかからなかったのに。


後悔してもしきれないほどに頭を過る。


―――諦めたくない。

―――何でここで終わらなくちゃならねぇんだよぉぉ・・・。


そして、何も考えることが出来なくなるくらい意識が遠退いていく。

手を伸ばしても、救いの手は誰も差しのべてくれない。

どんどん意識が遠退いていく。

何もかも諦めて、自分の運命を受け入れ、目を瞑った。


その時だった。


―――キミ、諦めていいのか?

何処からか声がした。

自分と同じくらいの年の少年の声。


―――こんなところで諦めていいのか?

少年は聞き返す。


「い、いやだ。こんなところで諦めるのなんていやだ。

 でも、もう、どうしようもないんだよ。

 自分にもっと力があれば、こんなことにならなかったんだって後悔してる。

 だけど!もう、遅かったんだよ。自分の選択が一つでも違ったら、

 きっとこんなことにはならなかった!

 それが悔しくて、悔しくてたまらないんだ!!」


薄れゆく意識の中、見えない何かに怒りをぶつける。


―――そうか。分かった。ひとつだけ方法がある。

   でも、これは失敗すると命に関わる。

   それでもやる覚悟はあるかい?


「ああ。どうせこのまま死んでいくよりはマシだ」


レインは覚悟を決めた。


―――じゃあやるよ。キミに俺の力を分け与える。

   後はキミしだいだ。


謎の影は、そう言うと、レインの前に紅い十字剣を出現させる。

剣としては使えそうにない短い刀身に短い柄。

色は他の光を通さない深紅。

見るほどに引き込まれていくような美しさがある。


―――この剣をキミの胸に突き刺すんだ。

   何が起こるかはキミしだいだ。

   

「分かった」

そう一言だけ言って、唾を飲み込む。

そして、ひと思いに剣を胸に突き刺す。


刹那、

「ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

あまりの痛みに声をあげる。


―――痛い。

―――痛い。

―――痛い。

―――痛い。

―――苦しい。

―――苦しい。

―――つらい。楽になりたい。

―――どうせ何も守れない。


そんな感情が頭を支配する。


―――そこで諦めるのか?

自分の声がする。


まだ終われない。終わらせない。

自分で決意したからには簡単には終われない。


「ここでっ!諦めてたまるかぁぁぁぁぁぁ!!!」


自分には夢がある。やりたいことがまだまだある。

こんなところで諦めてたまるか。

それにこんな短い人生嫌に決まってる。

ここで死んだら皆にあわせる顔がない。

まあ、死んだらあわせる顔もあったもんじゃないが。


レインは意識を取り戻した。

そして、上へ上へとあがっていく。


やがて、頭上に一筋の光が見えた。

「もう少し」

そう言って手を伸ばす。


水面から顔を出す。

「ぷはっ!やっと戻れた」

レインはそう呟いた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――


レインは全身に力を入れる。

そして、全力で上へ跳躍する。


バッシャアという水飛沫とともに、レインは飛び上がった。

その後、船上に着地する。


「おっちゃん。すまない。でも、やっと戻れたよ」

「レイン!!信じられん。幽霊じゃないのか?」

「それは酷すぎないか?」


レインとバルガは言葉を交わす。


「デフュロスはどうなった?」

「ああ。レインが落ちてからもずっと攻撃していた。何とか回避したがな」


「おっちゃん。ごめん。おっちゃんから借りた剣海で無くしちまった」

「そうか・・・。少し惜しいが、レインが戻って来たことの方が大事だ」


―――おっちゃんの昔から愛用していた剣だ。

   悔しくないわけないだろう。

   でも、おっちゃんは俺が戻って来た方が大切だと言ってくれた。

   その為に、何としてでもこの場を突破しなければならない。


「おっちゃん。船内に戻っていてくれ。後は俺がケリをつける」

そう決心した。


「でも、武器は持ってないだろう。どうやって戦うんだ?」

「まあ、どうにかしてみせる。だから安心して船内に戻っておいてくれ」


レインはバルガを説得する。

「でも、無茶はするなよ」

「分かってる」


バルガはそう言うと船内に戻る。


「さあ、デフュロス。ケリをつけてやる」

「グオアアアアアァァァァァァ!!!」

レインの言葉に反応するように咆哮する。


レインは全身に力を入れた。

すると、レインは黒紫のオーラに包まれる。


「いくぞ、デフュロス」

レインは駆け出した。

その手には剣が握られている。

もちろん、先ほど持っていた封竜剣ディモンドではない。

レインが纏うオーラが剣化したようなものだ。

オーラの剣はきちんとした形はなく、陽炎のように揺れている。


レインはデフュロスとの間合いを瞬間的に詰め、剣を振るう。

デフュロスの爪とぶつかり、摩擦で火花が生まれる。


それでもレインは表情一つ変えず、剣を振るう。

振るった一撃がデフュロスの横っ面を激しく吹き飛ばした。


「グオオオゥゥゥゥ」

デフュロスはうめき声を漏らす。

次の瞬間、デフュロスは空に飛び上がり、落雷で攻撃してくる。

レインは襲いかかる落雷を全て切り捨てる。


そして、レインは跳躍し、デフュロスに剣を振り下ろす。

普通の人間ではあり得ない跳躍力。

このオーラが何らかのスキルをレインにもたらしているようだった。

デフュロスは上からの衝撃により、飛ぶ力を失い、船上に叩きつけられる。

巨体の落下により、船が大きく揺れる。


大きな揺れに驚いてバルガは船上の様子を見るべく外に出る。

そこで驚きの光景を目にした。

あのデフュロスが船上に横たわっているではないか。


そんな事より驚いたのは、レインの姿だ。

顔立ちはレインなのだが、目の色が違う。

今までは薄い青色の目をしていたが、今はその目は紅く染まっている。


「あれは本当にレインなのか」

バルガは目の前の光景に目を疑った。

更にレインの圧倒的な強さだ。

先ほどまではデフュロスに圧されていたのに、今ではデフュロスを凌駕している。

あの短時間に何があったのだろうか。


レインは何とか立ち上がったデフュロスに詰めより、剣をかちあげた。

デフュロスは抗うことができず、上空に吹き飛ばされる。


「これで終わりだ!」

レインは跳躍した。その後レインの周りに4つの円が出現した。

レインはデフュロスを切りつけ、前の円に入った。

そうすると、レインの姿は消え、他の円から出現した。

そして、また切り、円に入る。

これを無数のスピードで繰り返した。


「はあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

最後の一撃はデフュロスの眉間に突き刺さった。








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