第2章2-15 ダンジョン閉鎖
レイン、シオン、クレア、アンネローゼの4人はギルドへたどり着いた。
そのまま受付へと向かった。
第2階層攻略完了の手続きをするためだ。
「あのー、ハウンドライセンスの更新をお願いします」
レインが言った。
「はい、分かりました。どのダンジョンの何階層ですか?」
受付の女性が尋ねた。
「初心者向けのダンジョンの2階層です」
レインが答えた。
「分かりました。では、入手したボスのコアの提示をお願いします」
言われたとおりに4人はそれぞれ入手したコアを取り出して見せた。
すると、受付の女性から、「え···」という声が聞こえた。
「どうかしたんですか?」
レインが不思議そうに聞いた。
「あなた方は本当に初心者向けのダンジョンに行かれたのですか?
このコアは上級ダンジョンにしか出現しないヘルヴォルフとシェイドドレイクのものなんですが·····」
受付の女性が戸惑いながら言った。
クレアたちが遭遇したボスはヘルヴォルフと言うらしい。
「俺たちまだハウンドになったばかりですよ。
ハウンドライセンスにも初心者向けのダンジョンの1階層の突破しか書いてないはずです」
レインがハウンドライセンスを指差して言った。
慌てて受付の女性はハウンドライセンスを確認した。
そこに記されていたのは1階層突破の証のみ。
「本当ですね。でも、初心者向けのダンジョンにヘルヴォルフとシェイドドレイクが出現する事はまずあり得ません。このダンジョンはほぼ全てが明らかになっていますが、上級種が出現した事例は一度も報告されていません。
すみませんが、その時の状況を詳しく説明していただけませんか?」
受付の女性が緊張した面持ちで言った。
初心者向けのダンジョンに上級種が現れたとなると、
他の新米ハウンドの身に危険が生じる。
それは何としてでも阻止すべき事態だ。
「はい、分かりました」
レインは事の顛末を話した。
―――エネミーの大量討伐が終わった後に2人ずつに分断された事。
―――クレアたちがヘルヴォルフ、自分たちがシェイドドレイクと戦った事。
などをなるべく詳しく伝えた。
「なるほど、分かりました。
これは言ってはならない事項なんですが、あの大量討伐が終わった後には
他の階層ボスが出現するハズなんです。
違うパターンがあるとしたら、一度調査してみなければなりません」
受付の女性はそう言って、様々な所へと連絡を取った。
それにより、調査のため一時的にその初心者向けのダンジョンは閉鎖される事となった。
「シオンの勘が見事に当たったな」
レインが感心して言った。
「俺もここまでなるとは思ってなかったけどな。
しばらくはダンジョンに行けそうにないし、どうする、レイン?」
「何日か休もう。体調が万全になったら依頼を受けてみないか?」
レインが提案した。
依頼は、ダンジョン攻略とは異なり、ダンジョンには行かない。
依頼には様々な種類があり、ダンジョンから出てきたエネミーの討伐や、
護衛の任務もある。
ダンジョン攻略と最も異なる所は報酬金が出る事だ。
依頼を受ける事を生業としているハウンドもいるようだ。
「依頼か、いいアイデアだな。
2人も嫌じゃなかったら手伝ってくれないか?」
シオンが言った。
「「もちろんです」」
クレアとアンネローゼは快くそれを引き受けた。
「ふぅ、疲れたな。今日はもう帰ろう」
レインが言った。
その言葉に3人は頷いた。
そして、ギルドを出た。
気づけば辺りはもう日が暮れかかっている。
夕日は空を橙色に染めていた。
柔らかな太陽の光は歩く4人を照らしていた。




