第1章1-2 絶望の開幕
「「危ねぇ!!」」
レインとバルガはそれぞれ左右に回避してデフュロスの突進をよけた。
「おっちゃん!無事か!」
レインは叫んだ。
「ああ、何とかな。あれはヤバイな。一撃喰らったら死ぬぞ」
バルガはそう答える。
「おっちゃん、船の方は壊れないのか?」
レインはバルガに尋ねる。
「ああ、そこは心配するな。この船には特別硬い鉱石が使用しれていてな、
基本エネミーの攻撃では壊れない」
その事実を聞いて少し安心出来た。
船が壊れないなら、俺たちが死ななければいいだけの話だ。
「どうにかしてアイツを追い払えないか?」
「攻撃して追い払うしかないみたいだな」
「やはりそうか。でも、俺武器は持ってないぞ」
武器が無ければ攻撃も出来ないし、追い払うことも出来ない。
「武器なら、昔俺が使ってたのがあるぞ。倉庫に」
「それを早く言ってくれよ」
でも、武器があると分かったとき、少しの希望の光が見えた気がした。
「俺が倉庫に武器を取りに行っている間デフュロスの攻撃を避けてくれ。
くれぐれも当たるんじゃないぞ」
バルガが忠告した。
そして、倉庫に向かって行った。
ほどなくして、デフュロスが船上に降り立った。
次の瞬間、天に向かって咆哮した。
「グァォォォォォォォォォォン!!!」
デフュロスが咆哮した後、突然落雷がレインを襲った。
「危ないっ!!」
咄嗟に回避して、直撃は避けた。
その時あることに気がついた。
―――こいつは大雨を降らせるエネミーじゃない。
小規模の範囲の天候を操る能力を持っているのか!
それは、本日最悪の事実だった。
―――このまま雷を落とされ続けたら、必ずあたっちまう。
さらにそれに追い打ちをかけるようにデフュロスは己の翼で
暴風を発生させた。
―――このままではマズイ!!
一瞬の動揺が身の危険を招いた。
発生した暴風を回避する瞬間が少し遅れ、暴風に巻き込まれる。
「うあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
レインは宙に舞った。
そして船上に叩きつけられる。
「う、い、痛ぇ」
骨は折れてないみたいだ。
ふらふらと立ち上がる。
―――今日は何て日なんだ。ハウンドの試験の日だというのに。
俺はここで死んでしまうのか。
そんな雑念が頭を過る。
デフュロスが天に咆哮し、雷を降らせる。
もう、避ける気力さえ残っていない。
雷がこちらに迫ってくる。
何もかも諦めた、その時だった。
目の前に迫ってきた雷が横に裂かれた。
「悪ぃ。レイン。遅くなっちまった」
その頼もしい声が聞こえるとともに、一筋の希望の光が見えた。




