第2章2-9 階層ボス;シェイドドレイク
「進まないとどうにもならないみたいだな。
俺たちも進もう」
レインが奥の通路を指差した。
レインとシオンは通路に入った。
通路は薄暗く、気温が少し低かった。
先に進んで行くにつれてどんどん視界が悪くなっていった。
遂にほとんど何も見えなくなった。
「何も見えねぇ。レイン、どうするよ?」
シオンがレインに呼び掛ける。
レインはしばらく考えてから言った。
「うーん、俺は何も持ってないな。
ちょっとポケットに何か入ってないか探してみる」
レインはポケットに手を突っ込んで探した。
そしてポケットに石のような物を見つけた。
「お!これなんて良いんじゃないか?
少し光ってるぞ」
「レイン、良いもの持ってるじゃないか!
それは灯りの魔石だ。振れば一時の間光り続けるぞ」
レインは灯りの魔石を振った。
とたんに、魔石が光を発した。
暗かった通路が明るく照らされていく。
「これで進めるな。先を急ごう」
「おう!」
二人は通路を進んだ。
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「まだ通路を抜けないのか?」
レインが言った。
「そうだな。結構歩いたはずだが、どこにも着かないな」
暗い通路がまだまだ続いている。
「このダンジョンって何階層まであんのかな?」
シオンが歩きながら言った。
「さあ?よく分かんねえ。でも俺たちは順調だと思うぞ。
だってまだ俺たちが出会ってからそんなに経ってないだろ?」
まだ4人が出会ってからほとんど経っていない。
「それもそうだな」
シオンが笑った。
「そう言えばシオンってアンネローゼとどんな関係なんだ?」
レインが質問した。
「ただの幼なじみだよ。家が近くてさ。子供の頃からよく遊んでたんだよ」
シオンが答える。
「それとアンネローゼは家を出たくてハウンドになったとか言ってたけど
シオンは何でハウンドになったんだ?幼なじみだからか?」
「幼なじみってのもあるけど、もっと大きな理由があるんだ。
それはアンネローゼの親父さんに頼まれたからなんだ。
これ、アンネローゼにも言ってないから内緒な」
シオンは笑って言った。
「そうだったのか。色々大変だな」
レインは頷く。
「そっちはどうなんだ?クレアとはどういう関係なんだ?」
次はシオンが質問した。
「偶然出会った、かな」
レインはさらに言葉を続ける。
「俺はハウンドの試験を受けるためにここに来たわけだが、
ここに来る前にトラブルがあってさ、試験が受けられなかったんだ」
「ほうほう。それから?」
シオンが相づちをうつ。
「でも実技試験が受けれてさ、その時の受付の時に出会った。
今回の実技試験は二人じゃないと受けられなかったから、その時にパーティーを組んだ。
たったそんだけだ」
「実技試験に合格した二人組がいるって街で聞いたが、あれはレインとクレアの
事だったのか。それにしても色々あるもんだな」
シオンが言った。
そんな会話をしながら歩いていると、通路の終わりが見えた。
「お、遂に通路の出口みたいだな」
レインが光を指差す。
少し歩いたのち、二人は通路を抜けた。
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そこには部屋が広がっていた。
エネミーが大量に発生した部屋よりは狭いが、十分な広さだった。
レインとシオンは辺りを見回すが、特に何も見つからない。
「何もいないな」
そうレインが言った瞬間だった。
突然上から強い気配がした。
レインは咄嗟に剣を構えた。
上からの強い衝撃。
黒いエネミーと剣が接触し、火花を散らした。
あと少し遅れていたら、直撃は免れなかった。
黒いエネミーがレインとシオンの前に現れた。
全体的に細い体。
体は毛と鱗で覆われている。
細長い尻尾と鋭い爪が特徴的な竜だった。
竜は威嚇している。
「あれはシェイドドレイク!
情報収集をしていた時、本で見たことがある」
シオンが言った。
「シェイドドレイクか。あいつが階層ボスみたいだな」
レインは剣を構えた。
次の瞬間、シェイドドレイクの姿が二人の目の前から消えた。




