第2章2-6 階層ボス現る
「アンネローゼ、進もう」
「はい、行きましょう」
クレアとアンネローゼは通路に入った。
通路の中は少し暗く、視界が悪い。
ところどころコウモリのような鳴き声が聞こえる。
どこかに潜んでいるのかもしれない。
クレアとアンネローゼは慎重に進んだ。
「案外暗いね」
「そうですね。たまにコウモリみたいな鳴き声がするので
ちょっと怖いです」
二人は早く通路を抜けようと、早足に進んだ。
しかし、進めば進むほど視界が悪くなってくる。
二人は仕方なく立ち止まった。
「暗くなってきたね。このままじゃ何も見えないよ」
どんどん暗くなっていく通路にクレアは頭を悩ませた。
そこにアンネローゼが何かを取り出して言った。
「ここに来る前にこんなものを買っていたんです。
必要になるかもしれないと思って」
そう言ってアンネローゼはランプに灯りをともす。
通路が照らされて、一気に視界が良くなった。
「ありがとう、アンネローゼ!」
クレアは目を輝かせている。
「そんな大したことじゃないですよ。早く先に進みましょう」
二人は先へ先へと進んだ。
途中で何匹かコウモリのエネミーがいたが、光に怯えてなにもしてこなかったので、
二人は無視して先に進んだ。
しばらく歩くと、通路の奥に光が見えた。
「アンネローゼ、あれ見て!」
クレアが光を指差す。
「光が見えますね。もう少しってことでしょうか?」
クレアとアンネローゼが進むほど光が大きく明るくなってきた。
そして、二人は通路を抜けた。
そこには大きな部屋があった。
先ほどのエネミーが大量に発生した部屋よりは狭いが、それでも十分な広さがあった。
天井、床、壁全てが石造りで頑丈そうだ。
さらにそこに堂々と座っている巨大な狼のエネミーが一匹。
人の2倍ほどの高さがある。
狼の前足は強靭な鱗で覆われていた。
狼は二人を見つけると鋭い咆哮を浴びせる。
咆哮は部屋全体に響き渡った。
「あれが階層ボスみたいだね」
クレアが杖を構える。
「あれを倒さないと先には進めないみたいですね」
アンネローゼも双剣を構える。
狼は跳んでクレアとアンネローゼに突っ込んできた。
二人は左右に回避した。
今まで二人がいた場所は地面が抉られていた。
少し回避するタイミングが遅れていたら、確実にやられていた。
狼のスピードは一階層の巨人を遥かに上回っている。
さらに異常に発達した前足の攻撃力も侮れない。
アンネローゼは狼との間合いを詰め、剣で切り裂く。
最初の一撃は後ろ足に当たり、狼の肉を裂いた。
しかし、二撃目は前足に当たってしまい、火花を散らせて弾かれる。
「くっ!やはり前足は硬いですね・・・」
アンネローゼは一度後ろへ下がろうと後ろへ跳んだ。
しかし、下がろうとしたところを狼はすぐに反応し、爪を振るう。
爪が当たったものの、直撃は免れた。
アンネローゼの腕からは少し血が出ている。
「アンネローゼ、大丈夫?」
「はい、これくらい大丈夫です」
アンネローゼは剣を構え直す。
そして駆け出す。
階層ボスとの戦いが幕を上げた。
お読みいただきありがとうございます。
戦闘シーンを書くのが個人的には好きです。
次もよろしくお願いします。




