第1章1-1 冒険の始まり:最悪のスタート
ここからが本編です。
「よし、出発するぞ!」
少年は気合いを入れるために声を出した。少年はどこにでもいるような普通の少年で、黒髪に青い目をしている。
今日は待ちに待ったハウンド試験日当日だ。
ハウンドとは、この世界の冒険者であり、ダンジョンを攻略することのできる仕事だ。
ハウンドにも様々な種類があり、主にダンジョンを攻略するハウンド、
他には依頼を受け、人々を護衛することを仕事とするハウンド等がいる。
もちろん俺は冒険者ハウンド志望だ。
「おーい、レイン!出発するぞー!」
「分かってるって。今行く」
船長のおっちゃんの声がした。
名前はバルガ。昔は歴戦のハウンドだったらしい。
軽い返事をして船に乗り込む。
「とうとうお前もハウンドになるのか」
「い、いや、まだ決まったわけじゃないだろ。なりたいけどなれるか分かんねぇし」
「そりゃそうだな」
そんな会話をしていると、出発した故郷がどんどん小さくなっていく。
「もうこの町には戻ってこないのか?」
バルガが尋ねてきた。
「まだ分かんねぇ。何か機会があったら戻ってくるよ」
ハウンドになったら、報告に戻ってこないとな。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そんな他愛ない会話からほどなくして、事件が発生した。
「空が曇ってきたな」
「おっちゃん、この天気大丈夫なのか?」
そう質問した。
「わかんねぇ。でも、何か嫌な予感がする」
「嫌な予感って、何か来るのか?」
そう質問した直後、大降りの雨が降りだした。
「わーっ!降ってきやがった」
急いで船内に移動する。
「それにしてもこの天気おかしくないか?」
バルガに質問した。
「待て、外に何か気配がする。レイン、外見に行くぞ」
「ああ、分かった」
そう言うと二人は外に出た。
「何も見当たらないぞ。おっちゃんの勘違いじゃねぇのか?」
「あれ、おかしいなぁ。気配は感じたんだけどな」
そう言って辺りを見回す。
しかし、何者の姿もない。
「おっちゃん、雨に濡れすぎると良くないから船内に戻ろうぜ」
「そうだな。別に何者の姿もなかったからな。俺の勘違いだったかもしれん」
そう言って二人は船内に戻ろうとした。
その時だった。
「グァォォォォォォォォォォン!!!」
耳を殴るような咆哮が天に轟いた。
咄嗟に二人は耳を塞いでうずくまる。
「あ、アイツは!」
「おっちゃん、知ってるのか!」
レインがバルガに訪ねる。
「ああ、昔一度だけ遭遇したことがあってな。その時も、
今日のように晴れだった天気がいきなり大雨になったんだよ。
あいつの名は、たしか、デフュロス」
バルガは言葉を続ける。
「あいつは天候を操る竜のエネミーだ。昔遭遇したときは、
すぐにどっか行ったからな。詳しくは分からん」
「今回は立ち去る気はないらしいぞ」
レインはそう言った。
「グァォォォォォォォォォォン!!!」
デフュロスはもう一度咆哮して船に攻撃し始めた。
ちょこちょこ投稿していくのでよろしくお願いいたします。




