第2章1-4 第一階層突破!
「今だっ!」
「くらえっ!」
クレアは魔法、シオンは銃で攻撃を開始した。
物理攻撃は効果があまりなかったが、魔法は効果があったようだ。
魔法が当たるたびに巨人がのけ反っていくのが分かる。
一見、銃での攻撃は効かないかに見えたがそんな事はなかった。
シオンが撃っている弾丸は特殊な弾丸で、岩や金属をも貫くことが出来るものだった。
足に集中攻撃された巨人はゆっくりと後ろに倒れこんだ。
仰向けのまま立ち上がろうともがいている。
「今だっ!アンネローゼ、レイン!」
シオンが声をかける。
そしてシオンとクレアは後ろに下がった。
「サンキュー!アンネローゼ、行くぞ」
「了解です」
レインとアンネローゼの二人は駆け出した。
岩の巨人の近くに寄ると、二人は跳び上がった。
そして、巨人の胸にある宝石のようなものに強力な一撃を叩き込んだ。
巨人の体が後方の壁に叩きつけられた。
「よし!かなり効いたはずだ」
レインが言った。
このまま巨人は倒れるかに見えたが、ゆっくりと立ち上がった。
「レイン、まだ完全に体力を削りきっていないよ!」
クレアは言った。
次の瞬間、巨人はレイン達に突っ込んで来た。
そして拳を振るう。
先ほどよりも明らかに攻撃スピードが上がっている。
胸の宝石のようなものに少しヒビが入っているが砕けてはいない。
どうやらあれが命の源らしい。
レインは巨人の拳を剣の腹でガードした。
攻撃力も先ほどよりも上がっている。
「一筋縄ではいかないか。
クレア、シオン、またさっきのように転倒させてくれ」
「「了解」」
レインは二人に指示を出してから後ろに下がった。
レインが後ろに下がったのを確認してからクレアとシオンは攻撃を開始した。
魔法と弾丸が巨人の足に炸裂する。
しかし巨人はそれもお構い無しに暴れだした。
クレアとシオンに向かって突っ込む。
「まずいな。クレア、回避するぞ」
シオンが言った。
「了解っ!」
二人はそれぞれ左右に回避した。
そして魔法と弾丸を打ち続ける。
しかしそれらは全て巨人の岩によって防がれた。
「どうして効かないのっ!さっきまでは効いたのに」
クレアが驚愕して言った。
「相手も追い詰められて能力が上がったってことか・・・!」
シオンも驚いている。
魔法や弾丸が効かないのであれば巨人を転倒させることができず、
巨人にダメージを与えることが出来なくなってしまう。
レインは考えた。
―――どうすれば巨人の胸に攻撃が届く?考えろ、考えろ!
そこであるアイデアが浮かんだ。
成功するか分からないリスキーなアイデア。
でもこれしか方法が考えられなかった。
「アンネローゼ、一つアイデアがある。
リスクが大きいがやってくれないか?」
レインが言った。
「何ですか?そのアイデアって」
アンネローゼが言った。
そしてアンネローゼにレインが耳打ちをした。
すると意外なアイデアだったのかアンネローゼが目を見開く。
「分かりました。やってみます」
アンネローゼはそう答えた。
「ありがとう。俺はクレアとシオンに指示を出す。
それまで待っていてくれ」
レインはそう言うと、クレアとシオンに指示を出すため声を張った。
「クレア!シオン!少しでいい、あの巨人を足止めしてくれ」
「「了解っ!」」
二人は巨人を引き付け、足止めをする。
「アンネローゼ、今だっ!」
レインが剣を構える。
巨人ではなくアンネローゼに向かって。
「分かりましたっ!」
アンネローゼは双剣を構え、レインに向かって走り出す。
そしてレインの前で跳んだ。
レインはアンネローゼが跳んだ瞬間、剣を下から上へ振り上げた。
振り上げた剣の腹にアンネローゼの足が乗った。
そしてレインは上に向かって剣を振るう。
すると勢いにのったアンネローゼが空中に大きく跳躍した。
―――これで届く!
アンネローゼは跳躍しながら体勢を整え、巨人の胸に斬撃を与え、
巨人の胸の宝石を破壊した。
巨人はゆっくりと倒れ、消えていった。
4人は第一階層を見事に突破したのだった。




