第1章0-2 プロローグ 後編
前回の続きの昔話。
レイドは力を解放した。
「ここからが本番だ、ギュスターヴ」
レイドは言い放った。
「ほう、それが本当のお前か。よかろう。楽しめそうだ」
ギュスターヴは言い返した。
「はあああああああぁぁぁぁ!!」
「うおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
同時に間合いを詰め、剣を振るう。
ガキンという鈍い音の後、衝撃波が爆風となって辺りを舞う。
目にもとまらぬ斬撃が交錯し、次々に衝撃波を発生させる。
もう何十分打ち合っただろうか。
お互いに体力は限界をとうに過ぎていている。
動かしているのは己の強い意思のみだ。
「はぁ、お前程の人間は初めてだ」
息を吐きながらギュスターヴは言う。
「はぁ、はぁ、もし出会ったところが違ったなら良き好敵手になれたかもしれないな」
レイドは言う。
ギュスターヴは勝負を決めようと、上空に飛んだ。
そして、剣にエネルギーを集中させ衝撃波を放つ。
「おらあああああああぁぁぁぁ!!」
圧倒的質量をもった衝撃波は空中にあったとしっても、地面をえぐる。
「くっ!」
この距離ならば直撃は免れない。
レイドは巨剣を盾にして身をかばう。
しかし、衝撃を抑えきれず地面に叩きつけられる。
ギュスターヴは肩で呼吸をしている。
「終わったようだな」
ギュスターヴは安堵のため息をついた。
―――――――まだ負けるわけにはいかないんだ!!!
レイドは立ち上がった。衝撃波の威力を殺しきれずに、剣は粉々になった。
しかし、その手には剣が握られている。
「なにっ!」
ギュスターヴは驚きで目を見開いている。
「どうして、貴様ぁぁぁ!」
「負けるわけにはいかないんだ!!」
そして、間合いを詰め、剣を横に一閃。
ギュスターヴは力なく崩れ落ちる。
レイドは走って倒れているクレアのもとへ行く。
「クレア!しっかりしろ、クレア!」
そう呼びかけると、クレアは微かに目を開いた。
「れい・・・ど」
そう言ってまた気を失った。
その時ギュスターヴがニヤリと笑い、クレアに向かって魔方陣を作動させた。
「はっはっはぁ!これで貴様もおわりよ」
「―――っ!ギュスターヴ、貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!」
レイドは吠えると、ギュスターヴを切り刻んだ。
ギュスターヴは光の塵となって消えた。
しかし、時はすでに遅かった。
クレアの下に現れた魔方陣は、彼女の白い髪を黒く染め上げていく。
黒髪になった彼女は、虚ろな目でこちらを見ている。
そして、ふいにレイドに魔法を放つ。
「止めるんだ、クレア!こんなことをしても意味はない!正気を取り戻せ!」
何度言葉をかけても、届く気配がしない。
その瞬間、クレアの攻撃がピタリと止まった。
「レイ・・・ド。今のうちに私を殺して。そうしないと・・貴方を傷つけしまう」
「そんなこと出来るわけがないだろう!!!」
「レイド、早くやって。取り返しが着かなくなる前に!」
レイドは葛藤している。
そして、決断した。
「ああ、分かった。でも、俺も同時に死ぬ。そうしないと、気がおさまらないんだ」
そう告げると、力を集中させた。
―――――残しておいた自爆技
そして、力を解放する。次の瞬間、二人の足元に、巨大な魔方陣が出現し、二人を呑み込んでいく。
「クレア、愛している」
「ええ、たとえ命が尽きたとしても、貴方を愛し続けるとここに誓います」
二人はお互いに愛し合い、同時に命尽きた。
そんな切なく悲しい二人のお話。
いかがだったでしょうか。
これは昔話なので、次回から本編に入ります。




