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冒険譚:ダンジョンズ:  作者: 深宮マサ
第1章 冒険のスタート
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第1章3-4 終わりへと向かう戦い


限界へと追い込まれたファルガレオは上位種に覚醒した。

これは試験の運営も予測出来なかった事態だ。


「どうする?レイン?」

「このまま逃げるのも良いが、出来ることはやりたい」

「分かった。なるべく慎重に」


そう言葉を交わし、二人は駆け出した。


レインはファルガレオとの距離を詰め、剣を横に一閃。


そして、ファルガレオが噛みつこうとした所で、横に転がって回避した。

回避した後、一定の距離を保ち、牽制を繰り返す。


今、ファルガレオの注意は完全にレインに向いている。


「喰らえっ!」

そこにクレアの魔法が炸裂する。


しかし、ファルガレオにはあまり効いているようには見えない。

それに加えて、レインが何度斬撃を与えてもその鱗には傷ひとつ付いていなかった。



「クレア、俺たちの攻撃がほとんど効いていない!」

「そうよね。手応えが全くない」


そう相談していると、ファルガレオは二人に向かって火球を放った。


「「あぶないっ!」」


二人の声が重なった。

そして二人は紙一重で火球を回避した。


それに追い討ちを掛けるように、ファルガレオが飛び上がって、

足の爪と尻尾を使い、レインとクレアを攻撃した。


この動作は上位種に成るまでは使ってこなかった。


レインは剣でガードし、クレアは防御魔法を展開し、攻撃を防いだ。



そのはずだった。




上位種の攻撃力の前になすすべなく、レインの剣は弾かれた。

剣が弾かれた衝撃で体がよろめき、隙ができる。


「しまっ・・!」


言葉が最後まで出る前に尻尾で薙ぎ払われ、壁に叩きつけられた。


クレアの防御魔法もあっという間に破壊され、クレアも同様に壁に叩きつけられた。



レインは剣を、クレアはロッドを杖代わりにして立ち上がる。


「ここまで攻撃力が高いとは思わなかった。まともに喰らえば一発であの世行きだ」

「絶対に喰らってはいけないね」

「ああ、ガードや防御魔法はダメだ。全て避けるしかない」


二人はもう限界が近い。

だが戦わなくては命の保障はない。


「どこかに弱点があるはずだ」

「どこかってどこに?」

「分からない。攻撃を避けながら、探さなければならないな」

「私、魔力が底をつきかけてる」

「なるべく慎重に残りの魔力は使ってくれ。牽制は俺がやるからそのうちに弱点となる行動、部位、

 何でもいい。見つけてくれ。あまり長くはもたない」

「分かった」


レインは剣を構え、ファルガレオに斬りかかった。


一撃与え、回避、一撃与え、回避を繰り返し、牽制をする。


頭、胸、羽、足、尻尾という順番で斬撃を与えていく。

相手の反応を見るような軽い一撃を繰り返す。



「クレア、どうだ?」

「うーん。探してるけどどこもあまり変わらない」

「そうか。こうなったら足に斬撃を加え続けて、転倒したときに一気にダメージを与えよう。

 それを繰り返せば少しは戦えると思う」

「分かった。私は魔力を高めるのに努めるよ」


そう言って二人はまた駆け出した。



レインはファルガレオに詰め寄り、その足に重い斬撃を加える。


ファルガレオは煩わしくなったのかその体を回転させ、反撃を試みる。

それをレインは落ち着いて回避した。


そしてさらにファルガレオの足に斬撃を加え、少しずつダメージを与えていく。


「おりゃぁぁ!!」

雄叫びとともに大剣を横に薙ぎ払った。


そして、ファルガレオは耐えきれなくなって転倒した。

ファルガレオは起き上がろうと必死にもがいている。



「クレア、いまだ!!」

レインが大声で言った。


「魔力チャージ完了!レイン、そこから離れて!」


クレアの頭上には巨大な魔力球が出現している。

レインが避難したことを確認すると、ファルガレオに向かって魔力球を放った。



放たれた魔力球はファルガレオに接触すると、膨張した。

そして次の瞬間、轟音とともに魔力球が破裂した。


「畳み掛ける!」

そう言ってレインは走り出した。


そして、ファルガレオの近くまで寄ると剣を抜刀し、斬撃を叩き込んだ。


レインは休まず剣を振るう。


横薙ぎ払い、斜め袈裟懸け、回転切りと斬撃を繰り返す。



レインは剣に魔力を込めた。

そして、大きく踏み込み、魔力を纏った一撃をファルガレオの眉間に降り下ろした。


ファルガレオの額に大きな傷が付く。


「かなり効いたはずだ」

レインが言った。

「でも、油断は禁物だよ。といってもかなり効いてると思う。

 次で決めよう」


二人は武器を構え直した。


少しして、ファルガレオがゆっくりと立ち上がった。

その目は紅く、そして重く輝いている。


「グオアアアアアアァァァァァ!!!」

ファルガレオは咆哮した。

二人とファルガレオの間には少し距離があったが、それを感じさせないような咆哮だった。



次の瞬間、ふいにファルガレオの姿が消えた。

いや、そう錯覚した。


ファルガレオは消えたのではない。高速で空に飛び上がったのだ。

ファルガレオは空中で無数の火炎球を放った。


みるみると辺りが火の海に変わっていく。



そして、ファルガレオは巨大な火炎球を作り出した。

前に放たれた火炎球の処理に手間取ってしまい、巨大な火炎球を作っているのが気づかなかった。

火炎球はあっという間に放たれる。


避けるのはかなり難しいので、剣でガードした。

しかし、剣で防いだとしても全ての威力を殺しきることは出来なかった。


火炎球は消滅したが、その火炎球によってレインの体勢が大きく崩れた。

その隙をファルガレオは見逃さなかった。



空中にいたファルガレオは一気に急降下し、鋭い爪でレインに襲いかかる。


「しまった!」

レインにこの状況を打破する術はない。



ファルガレオの爪がレインの体を抉り取る、その瞬間

「これは高く付くよ!」

クレアが防御魔法[ウォール]を発動し、透明化の魔法[インビジブル]を使い、

二人を透明化させた。



「助かった、クレア。今回ばかりは終わったと思った」

「でも、もう私の魔力はほとんど残ってないよ」


―――もうなにもこの状況をなんとかする方法はないのか。

   

そう思った瞬間、



ドクン。



自分の体の奥から、鼓動が聞こえた気がした。


レインは直感的に思った。


―――これはデフュロスと戦った時のものだ。


自分の奥底から何か大きな力が流れて来るような感覚。

これがあれば、この状況を打破出来るかもしれない。



レインは流れてくる力の大きさに意識が持っていかれそうになるのを

必死に堪え、声を絞り出した。


「く、クレア。あいつを倒せるかもしれない。でも、少し時間がかかりそうだ。

 それまで、時間を稼いでくれ。


レインの足元には黒紫の何かが発生している。

それをクレアは見て、少し驚いたようだったが、それに関しては何も言わなかった。


「分かった。でも保証は出来ないよ」

そう言ってからクレアは走り出した。

そして、ファルガレオに向かって牽制用の魔法を放つ。



―――任せたぞ、クレア。


レインは自分に流れ込む力に集中した。


集中すると、おかしな感情が頭に流れてくる。

―――壊セ、滅ボセ、破壊シロ。


それはまさに破壊衝動そのものだった。


この力を制御しなければこの戦いに勝つことは絶対にないだろう。


レインは覚悟を決め、よりいっそう力に意識を集中させた。


今回は少し自分にしては少し長めの文章でした。

いかがだったでしょうか。

次も読んで頂けると嬉しいです。


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