第1章2-2 温泉宿への道中で
レインとクレアは温泉宿に向かって歩いている。
「ところで、レインさんってどうしてハウンドになろうと思ったんですか?」
クレアが質問する。
「ええと、あまり考えたことは無かったな。でも子供の頃から、
冒険をして、世界中を飛び回ってみたいとはおもっていたよ。
君は何でハウンドになろうと思ったの?職業ならいろいろあるだろ?」
「ええと、言いにくいんですが、私の家は貧乏で、ハウンドになれば
早く家族の力になれると思ったんです」
「ふうん。良いと思うよ。俺よりは良いよ」
「そ、そんなことはないですよ。レインさんみたいな壮大な夢、
私には抱けませんから」
そんな会話をしていると商店街に着いた。
王国ゼルクの商店街。
ゼルクの中心都市には、大きな商店街が二つあり、これがその一つだ。
この商店街には魚屋、八百屋、雑貨屋、薬屋、鍛冶屋に至るまで
様々な店が立ち並んでいる。
毎日、活気で溢れかえっている。
「わぁ!大きな商店街ですねー!」
クレアが感嘆の声で言った。
「そうだな。活気がすごいな。良かったら少し回ってみないか?」
「良いですね。いろいろ見てみたいです!」
レインとクレアは商店街を見て回ることにした。
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「レインさん、レインさん。あれ食べてみませんか?」
左手に見える店から醤油の焦げた良いにおいが漂ってきた。
「ゼルク焼き」王国ゼルクの名物らしい。
「おっちゃん。ゼルク焼き二つください」
レインは店に行くとゼルク焼きを二つ頼んだ。
「毎度あり!ほい、二個で銅貨2枚ね」
レインはゼルク焼きを受け取った。
そして、隣のクレアに一つ渡した。
「ありがとうございます。では、いただきます」
クレアはレインに礼を言ってゼルク焼きを食べ始めた。
それに合わせてレインもゼルク焼きを頬張る。
饅頭の皮の様なものの中にひき肉の焼いたものが入っている。
その上に、焦がした醤油ダレを塗ってある。
おお、うまい。
これで銅貨一枚は安いな。
「これ、うまいな」
「そうですね。美味しいです。この醤油ダレが合いますね」
王国に来てからさっそくうまい食べ物にありつけた。
また買いに来よう。
二人は商店街を進んでいく。
「君はどうやって戦うの?特別鍛えているわけでもなさそうだし、
武器はあまり重い物は持てないんじゃないか?」
レインが質問する。
「そうですね。でも、私は魔法が専門なので。持つとしても、
短剣か杖くらいですよ」
「そうだったのか。魔法が使えるのか。俺はほとんど使えないかな」
レインは感心した。
そんな話をしながら歩いていると、温泉宿が見えてきた。
「あれが温泉宿か」
「楽しみですね。さあ、行きましょう」
レインとクレアは温泉宿の門をくぐった。




