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未収録たち( ´ー`)  作者: 天川 奏
『夏のホラー2017』
5/5

ホラー【5】

 「あ、足……?」


 全員がその方を向く。

 目を擦り、よく見ようと、スマホのライトを上へ移動させる。

 辛うじて電池を残す街灯と共に浮かび上がる影。


 「あっ、ついに現れましたーって感じか!?」


 佑樹が興奮したような声を出した。


 「な、何言ってんの! 興奮してる場合じゃないって!」


 「こ、子供だよ……」


 茶色くボロボロになった服を着た、男の子。

 これが嘘だとしたら、やけに、リアルだ。

 男の子が、首を、ちょこんと傾げた。

 まばたきひとつしない。

 うっすらと、笑ったような気さえした。

 そのまま、振り返って歩いて行く。


 「何、あれ……」


 「ははっ、ついてこいってことなんじゃねーの? 面白そうじゃん」


 一番に歩き出したのは佑樹だった。

 小走りで、後を追っていく。

 

 「お、おい佑樹、待てよ……!」


 次に功太が続いた。

 つられるように、真紀、奈央、私と続く。

 後ろ姿を追いかけて着いたのは、大きな建物だった。

 入り口の前に足をかけた男の子が、こちらを振り向く。

 冷たい表情に、背筋が凍りつく。


 左手の人差し指を一本立てて、それを口の前へもって行く男の子。

 私たちにも見えるように、はっきりと、口許を上げた。

 笑っている。


 「何?」


 奈央が聞き返すのも無視して、中へ入っていく。


 「知らねえよ。喋んなきゃわからねえっつうの。とりあえずついて行けばいいんじゃね?」


 強引な勇気に押されて、全員が中へ入る。

 そこは、外が夜だということを忘れるくらい明るい場所だった。


 「まっぶしい。目がチカチカする」


 広い入り口。目の前に、大きな入り口がひとつ。

 それを見て、佑樹が思わず「何だよこれ?」と声を出す。

 入り口の前には男の子がいる。

 すると、手のひらを口に当てて、肩を震わせた。

 笑っているのか。


 「あれ、なんかムカつかね?」


 私の隣に立った功太が呟く。


 「てか、ほんとに幽霊なのかな」


 続けて奈央も呟いた。

 男の子がまえにでると、一番前に立っていた佑樹に何かを渡す。

 真紀がそれを覗き込みに前へ出た。


 「何もらったの?」


 

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