ホラー【2】
「真紀、知ってるの?」
「うん……でもさぁ、確かここ、廃園になったとこだった気がするんだけど」
「廃園? どういうことだよ」
廃園という言葉に、佑樹が反応したようだった。
訝しげに眉を寄せているが、興味津々だとでも言うように体を前に乗り出している。
「確か、度々子供がいなくなるって噂があったんだってさ。廃園になった詳しい理由は知らないけど、そんな噂があるようじゃ、廃園になるのもおかしくないよね。でも、廃園になった遊園地の広告なんて……」
「へぇ~」
興味などないと言うように首を縦に数回ふる佑樹。
けれどそう思ったのは間違いだったらしい。
真紀から広告を奪うと、それを眺め立ち上がった。
「面白そうじゃん。決まり。夏休み、ここで肝試ししようぜ」
佑樹の提案に、私は「えっ」と目を見開く。
「ちょっと佑樹、それ本気なの?」
「いいね、俺も佑樹に賛成。廃園になったとこの広告が落ちてるなんて、きっと来いって言ってるんだよ」
相変わらずノリ気な功太は、言いながら笑う。
「じゃあ次の金曜、十時に遊園地の入り口集合な」
「そんな、勝手に決めないでよ……しかも十時なんて遅すぎじゃない?」
「そんぐらいが良いんだって。親にはバレないようにな」
怖がる女子の反対も空しく、ニヤリと笑った佑樹は、そのまま自分の席へ戻っていく。
その時、ちょうどチャイムが鳴り、私たちもそれぞれの席についた。
このときはたぶん、思いもしなかったんだろう。
遊園地で本物の幽霊がでる。
そんなことは、よく物語で読むフィクションだと。
そう、思っていた。