第一話 仲良し時々グサリな一言
「お前ってさぁ、どこに住んでんの?」
「ん。ほのぼの荘」
今は、高校の昼休み。
あんパン片手に親友と雑談してるところ。
「ほのぼの荘ってデパートの近くの?」
「うん」
「デパートの近くかぁ。略して、『デパ近』だな。」
勝手に略してるアホはその親友の祐二。
実際、学力はふつうだけど。
「もうすでにあるからその略し方。『デパ地下』で」
「あっそ」
おい。
「で、そのデパ近で一人暮らしなん?」
「うん。なかなか辛いよ一人暮らし」
「からいん?」
「つらいの!」
『からい』と『つらい』は両方とも『辛い』って書くけど、会話中にその間違いは無いだろ。
「何が辛いん?」
「んー。キムチ」
「おもろないぞ」
「さっきの祐二だってイマイチだったよ。」
「しかたないわ。作者がつまらんやつだからな。てゆーかゴミ」
ドンマイ、作者。
「って、ドンマイって何を略してるんだっけ?」
「真面目に答えてほしいか、笑いがほしいか、どっち?」
真面目に知りたかったけど、どーせ祐二は知らんからいいや。
「んー。笑い」
「鈍器 マイクロバス」
単語並べただけじゃん。
「あんまり、面白くないよ」
「作者がつまらん人間だもの」
あ、作者が泣いた。
あんパンを見てふと思いつく。
「あんパン発明した人ってすごいよね」
「どうした?急に」
「だってさぁ、パンにあんこだよ。あんパンを知らん人にとっちゃ、どんな組み合わせだよ!!って言いたくなると思わない?僕らがご飯に生クリームかけるもんだよね……って聞いてる?祐二っ?」
ぼーっ、と空をみてる祐二。熱く語ったのだから、しっかり聞いてほしい。
「聞いてるよ」
ほんとかよ。
「つまらん話を」
「すこしストレート過ぎだとおもうよ、いや。かなり」
それが祐二のいいとこ……
「まだセミの鳴き声聞いてるときの方が楽しいわ」
……じゃないね。
きーんこーんかーんこーん
「あと五分で昼休み終わっちゃう。さっさと教室もどろうよ」
「ああ。そだな」
ちなみにここ屋上ね。
勉強したくないなぁ。もうちょい、祐二とのんびりしてたいよ。なんだかんだ、いっていい奴だし。
「さっさとしろ。ボケ」
前言撤回。
はぁ、今日もいい天気だなぁ。
うーん、と僕は伸びをする。
ふと、祐二が既にいないことに気付いた。
「あれっ!?祐二はっ!?」
きーんこーんかーんこーん
「うぉっ!!」
チャイムが鳴った。
五時間目開始のチャイム。
ちなみに現在地は、やはり屋上。
「僕って、お茶目」
・・・・・・・・。
自分で言ってみて寒くなっちった。
教室に戻ろかな。