終わらない冬と小さな国の王子さま
冬の童話祭り用童話なのだろうかこれは・・・・
初期のひろ、ゆきは5歳という設定です
「まってよーゆきちゃん。」
「ほら、ひろ。走って走って!お昼間に合わなくなっちゃうよ!」
小さな国の公園で遊んでいるのはひろとゆき。
ひろはこの国の王様の子供。
ゆきは町の普通の家の娘だった。
ひろは王様に
「一般人となんか遊ぶな。遊び相手なんかいくらでも用意してやる」
と叱られましたが、それでも大好きなあの子と今日も遊びます。
お昼になるといつもゆきのお母さんがおいしいお昼ごはんを作ってくれます
「あのねあのね?ゆきは普通の家にうまれちゃったけど、ひろのこと大好きだよ・・・?
でも、お城で生まれたひろに恋をしてはダメってお母さんが言うの。
でもねでもね?もし、ひろがわたしのこと好きなら将来私の・・・」
小さい時に交わした約束。
身分の差からできた溝。
年を重ねるにつれて会う機会が少なくなっていった二人。
いつしか彼はあの子のことを忘れてしまった・・・
ひろが7歳になったある寒い冬のこと
いつものように城を抜け出し久しぶりにあの子に会いに行く。
城を抜け出しては会う前につかまり、抜け出してはつかまりを繰り返してようやく今日。
城の中で会議があると聞いたひろは急いで外に駆け出した。
半年以上会っていないあの子。
もう僕のことなんかわすれちゃたかな・・・?
覚えててくれてるといいな・・・
5歳のころから城の中ではお勉強、お稽古が毎日のように行われていた。
読み書きから剣の稽古。小さかったひろは外で遊びたくて仕方がなかった。
そのことで王様とケンカしたひろは城下町を一人で歩く。
町のはずれの小さな公園。
ブランコに一人ポツンとさみしそうに揺られているあの子と目があった。
あの瞬間から僕は初めて恋というものを知った。
城という檻の中で過ごしてきたひろ。
城の外はこんなにもキラキラして輝いて見えた。
でも、ブランコに乗っている子はどこかさみしそう。
一緒に・・・遊べないかな
そう思って声をかけたのがきっかけだった。
大人と遊んでもつまらなかった。
同世代の子なんか城の中にいるはずもなく、いつも一人で遊んでいた。
「ねえ、一緒に遊ぼう?」
少女・・・ゆきは赤い目をこちらに向けた。
「泣いているの・・・?これでふいて?」
ハンカチをポケットから取り出して彼女に手渡そうとした。
パシンッ
「いいっいらない!あっちいって!」
「僕・・・なにかしたかな・・・?」
「構わないで!あっちにいって!ゆき、誰とも話したくない!」
「ゆきちゃんっていうんだ。僕はひろっていうんだ。よろしくね?」
同じくらいの年の子に会えて浮かれていたのだろう
話をスルーして右手を差し出したがこれもはたかれてしまった。
「あっちいってってば!私は一人がいいの!」
「一人になんてしておけないよ。初めておなじくらいの年の子にも会えたし、
なによりゆきちゃんが泣いているのに放っておけないよ。」
そういって頭に手を置いてゆきの頭を撫で始めた。
張りつめていた糸が緩んだのか、顔をくしゃくしゃにしてゆきはまた泣き始めた。
「ゆきちゃん、いいこ。いいこ。」
「ゆき、いいこなんかじゃ・・・ないもん。
お母さんの大事にしていたお花いれてたコップ割っちゃったのにごめんなさいしなかった悪い子なの・・・
お母さん、何も言わなかったけどゆき怒られると思って、逃げてきちゃったの・・・」
「大丈夫。大丈夫だよ。お母さんにごめんなさいって言いにいこ?僕もついていってあげる。」
「本当?・・・えへへっ」
「あ、やっと笑った。笑っていた方がゆきちゃんはかわいいよ?さ、いこ?」
あの後はお母さんに謝りにいったんだっけ・・・。
あの日以来、よく遊ぶようになっただよな・・・
よく遊んでいた公園を見ながら僕は思う。
もう少しでゆきちゃんが住んでるお家だ。
久しぶりの再会に胸を躍らせ公園から走って家に向かった。
でもそこにはもうゆきちゃんもゆきちゃんのお母さんもいなかった。
家はきれいに片づけられていた。
代わりに家の真ん中に紙が一枚置いてあった。
その紙には「ごめんね。」
その一言だけが書かれていた。
城に泣きながら帰った。
走って帰った。
王様たちはまだ会議中だから抜け出したことがバレていない。
部屋にこもって一人で泣いた。
目を真っ赤に腫らして夜通し泣いた。
ゆきちゃんがいなくなってからずっと雪が降っていた。
しんしんと積もることのない雪。
僕にはゆきちゃんの涙のように思えた。
その日以来、ひろはゆきのことを考えるのをやめてしまった。
楽しかった過去、それとつらい過去にフタをした。
それからお勉強や稽古に励む毎日。
いつしかゆきのことを忘れてしまっていた。
8歳になった時、降りやまない、一向に来なかった春について研究者たちが研究を進めていた。
原因がわかったので王様に呼び出されたのである。
剣術もそれなりに上達してきたひろを一人旅立たせようというのである。
将来一国の王となる男だから経験も重要と王様は言う。
研究者によると、西の山に住む魔女が原因らしい。
いやがっている僕を無理やり魔女の元に向かわせた。
国からその山まではかなりの距離があった。
まだ8歳だった僕親離れもできていなかった僕。
毎日毎日泣いた。
ろくな食事もとれていなかったのでボロボロになりながら歩いた。
みんなの笑顔のため
まだ来ることのない春を夢見てひたすら歩き続けた。
途中、行き倒れているところを親切なおばあちゃんに助けてもらい、十分な食事と道を教えてもらった。
そしてようやく目的の西の山にたどり着いたのである。
万が一に備えて王様がくれた剣を片手に山を登る。
山頂にたどり着いた時、そこにあったのは一軒の小屋だった。
そこには小さな女の子とそのお母さんが住んでいた。
ここが西の山で魔女が住んでいる山なのかと聞いたらそうではないと答えた。
「本当に忘れちゃったんだね。」
少女は小さな声でつぶやいた。
「え?」
「私ね、あなたの住んでいる国にちょっと前まで住んでいたことがあったの。
普通の家かと思ったんだけど、お役目っていうのが私の家にはあったらしくて
引っ越しをしなくちゃいけなくなったの。
この山奥に。向こうの国にはよく一緒に遊んでくれて泣いているときは一緒にいてくれた。
本当に大好きだった・・・あのひとのことが・・・」
小さいときに遊んだ・・・?
泣いているときに一緒に・・・
「あの公園、まだ残っているのかなあ・・・」
思い出した。
確かに小さいころに遊んだ。
なんでこんな大切なことをわすれていたんだろう?
約束も。
「もしかして、ゆきちゃんなのかい?」
「そう、私はゆき。そしてこの終わらない冬の原因も私なの。私が存在する限りこの雪と冬は終わらない。」
口調も、体形もなにもかも大人びてしまったゆき。
前までは同じくらいだった気がしたのに。
「このお役目はね、雪の女王の娘に託された使命なの。冬の季節になると冬の訪れを知らせるために
雪を降らしたり・・・ね。
この力を使ってしまうと体の成長が急激に早くなったりするらしいんだ。本来私も8歳。あなたと同じ年
齢なんだけどね。でも幼かった私にはこの力がうまくつかえなかったみたいなの。
もう何年も降りやまない雪と終わらない冬をこの世界にもたらしてしまった。
全部私のせい。全部全部・・・ごめんね。ひろ。さあ、その剣で私を殺しなさい。
あなたの手でこの冬を終わらせるの。私が死ねばこの冬も雪もきっと終わる・・・」
「できるわけがないじゃないか!せっかく会えたのに!大好きだったゆきちゃんに!
できるわけ・・・ないよ・・・」
涙があふれた。
何年もたまっていた涙がひろのほほをとめどなくつたう
「僕はゆきちゃんが好きだ!この雪が、この冬が終わらなくたっていい!
だから一緒に帰ろう?僕たちが住んでいたところへ。そしてまた一緒に遊ぼう?
ゆきちゃんがいないのなんか・・・いやだよ・・・」
「できるわけがないじゃない!あなたがよくても世界が私を許さない!決して許してはくれない!
帰りたいよ・・・私も・・・」
泣き崩れた大きな体をしたゆきをそっと抱きしめる。
あの頃のように頭をそっとなでる。
「この雪は私の涙。あなたと別れるのがいやで流した涙が雪となったの」
「ほら、泣かないで?」
そっと差し出されたハンカチ。
今度はそれを受け取り涙をふく。
そして二人は抱き合った。
その時奇跡が起きた。
辺り一面が明るくなり、天から日が差した。
降っていた雪は止み、木々も新芽を出し始めたのである。
「さぁ、帰ろう?僕たちのお家にーーーー」
ーーー手をつなぎ二人歩き出す。大きかったゆきも本来の姿を取り戻した。
王様、みんなの笑顔も手に入れたけど、大好きな人の笑顔も取り戻すことができたよーーー
間に合ったのかな
下手くそな文章と物語ですみません、
本来の想像していた終わりと若干異なってしまいましたが、なんとか書き終えました。
登録できているのでしょうか・・・