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「へっ……?」
ふりかえると学校の高嶺の花が心配そうに自分を見ている。
いつもの教室のキャラを続けようと思ったけど、なぜか今回はできなかった。
そんなに、引きずるタイプだったっけ、とか思いながら、私は答える。
それも、教室とは違うキャラで。
「まぁー大丈夫だよ。ちょっとね」
カワイイ仔犬のような目が、まだ自分を心配そうに見つめている。
ちゃんと答えないと、なかなかその目をやめてくれないと思ったから、話すことにした。
流石にこの目を見といて、ほっとくなんてできない。
「…テストのね…順位がね…まぁ…悪かったの。自分でもびっくりしてるんだけどね。こんなに引きずるタイプだったっけってね」
半分笑いながら返す。
「ふぅーん。もし僕でよかったら、相談にのるよ!勉強もわからないとことかあったら教えるよ!」
えっなにこの急展開。
よくあるよね、ドラマとかで。
学校の人気者と、主人公が急接近!みたいなの。
面白い展開になってきたかも!
「ほんとっ!ありがとー。ほんと感謝」
私は、目を輝かせて答える。
だって、こんなドラマみたいなことなかなか人生のなかでもないからね!
「ほんと。僕でよかったら。よろしくね。これで今日からトモダチだね!」
うれしそうに答えてくれる、涼架くん。
んーカワイイっ!
たまらないねその笑顔。
みんなには見せない一面も見れて、さらに相談にものってもらえて、そしてもっとさらに勉強まで教えてもらえるなんて!
ほんと一石三鳥だわ!
テスト順位発表で落ち込んで、それで友達と帰らなかった数分前の自分!マジ感謝!
そぅ。今気付いたんだけど。
自分の素のキャラが分からなくなってるってこと。
他のいろんなキャラがありすぎて、『ホントノジブン』っていうのかな?それが、わからない。
みんなもそんな経験ない?
キャラがない、素の人ってだいたい純粋で、天然なかんじの人が多いんだよね。
少なくとも自分のまわりは。
だって、小学校のころから仲良しだった友達がいるんだけど。
その子が、愚痴をいってたから
「最近、黒くなったね」
っていったら、
「えっ、やっぱ。黒くなった?」
とかいいながら、腕とか見てたの。
自分が最近日に焼けたねっていったのと、勘違いしたの!
いやぁーやっぱり、まだその子は純粋だなーっておもったね。
まさか、そんなこというなんて思わなかったから。
ねっ天然でしょ。
それに、その子は自分が変なこといったって気づいてないの。もぅね、あのときは笑った笑った。
今でも思い出したら、笑えてくる笑
それでも、自分の間違いにきづかなかいでね、笑ってる私たちを
「どうしたの?」
みたいな顔で、こっちを向いてるから。
もぅ、さらに笑いが出てくるっていう。
あっ、天然について語りすぎたかな笑
でも、涼架君のおかげでこんなに明るくなれたかな。
ありがとーーーーって叫びたいわ笑
説明が悪かったというかいってなかったけど、その友達ともう一人友達がいて、仲良し3人組だったの。
なんかだったとかいったら、もう仲良しじゃないように聞こえるけど、まだ今も仲良しだから。
多分、さっきの話をそのもう一人の子に話したら、ヤバイぐらい笑ってくれると思うよ。
前とか勝手に思い出して、一人でツボってたから笑
まぁその子もちょっと笑うタイミングっていうのかな?それがずれてるの笑
みんなが笑った後に、やっと意味がわかって笑うから、いっつもずれてる。
私のまわりには、こんな人がいるかな?
教室で一緒に騒いでる人とはまた違うかんじの。
まだまだ他にもいるけどね。