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予兆


-第四話-



まだ完全に覚醒しきっていない私はそのまま再び目を閉じた。

しかし先ほどの続きを見ることも、あの笑顔を見ることさえも出来なかった。

中学の時の、初恋。

曖昧な記憶と共に過去に戻った感覚は抜け切らず、休日だったが特に何もする気が起きず特別外に出ることも無かった。





旅行予定日まで一週間切った頃、律に誘われ一緒に水着を選ぶこととなった。あれから運動も頑張って、昔より綺麗に肉が落ちたスタイルまで変化していた私は今回、前から着てみたかった水着を試すつもりで来ていたのだが、

「朱里、何のために痩せたと思ってんの? 隠したら意味ないでしょ! もう、一緒に来て正解だったな。」

手に取っていた水着はまんまと律に見つかり、ダメ出しを食らう羽目になった。というのも私がこの時手にしていた水着というのが、セパレートタイプでない水着タイプの上からシャツやら半パンやらを重ね着するようなものだったからである。痩せたとはいえ、まだお腹を見せるような水着には抵抗が抜けなかった私はとりあえず、律に言われるがまま水着を合わせて、ほとんど口出しすることなく律の見立てに任せた水着を購入することにした。


そして、旅行前日の金曜の夜に律の家に泊まりに行った。一緒に話しながら最後、必ず購入した水着を着て写真を撮るという約束をさせられ眠りについたのだった。





家族と久しぶりの旅行を当日に迎え、私はテンションが上がっていた。

今日の日程としてはホテルにチェックインした後に、レンタカーを借りて海に出向くという流れだった。

新調したばかりの水着を抱え、少し緊張しながら車の中に流れ込んでくる風に髪を揺らして目を閉じていた。


車の動きが止まり、降りた先の浜辺は想像以上に綺麗な所だった。

海の家や出店もあるが、なにより目を惹かれたのは海の色と浜の砂とのコントラストだった。エメラルドグリーンと透き通るようなスカイブルーがグラデーションを作り、砂浜は白と陽の光を反射して金に輝いて、風はそよかに砂を撫でていた。

まるで架空の世界にいるかのような感覚に心臓は跳ね上がる。

そして妹に呼ばれた私は更衣室に足を運んだ。

(いよいよこれ着るのか…。 とりあえず律に見立ててもらったから大丈夫だよね…髪型も色も思い切って変えてみたし。 まぁ、ちょっと離れたところで水に浸かってればいっか。)




この水着がまさかその後の自分を大きく変えてしまうとはこの時考えてもいなかった_。




第五話へ続く_。




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