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予兆


第十話



たらふくお酒を飲んだ私はすっかり気分が良くなって、ホテルに戻ればそのままベッドにダイブして寝入ってしまった。


目が覚めるとまだ外は薄く青らんでいて、まだ日が登るには少し早い時間帯だ。しかし完全に覚醒しきっていた私はそのまま部屋を出てホテルのロビーにある休憩所の椅子に座ってまどろんでいた。

近くの自動販売機で350mlの缶コーヒーを買って窓の外を眺める。

(もうあと2日かー。 明後日には帰らなきゃなんだなー。)

旅行の終わりが近づくことを名残惜しく思う。

そして今日もまた買ったピアスを付けたままだ。昨日は夕日で違う色をしたことを新たに知ったので、朝日ならまた違うのだろうと期待して。

ピアスを片耳外した時、ふと耳に触れたあの男性を思い出す。

(そういえばあの人もここのホテルに泊まってるのかな……)





「ひーろと。 なぁこれ一緒に行かね?」

目の前に差し出されたのは一枚のチケット。

「なんだよ、朝っぱらから。 他の奴ら誘えばいいじゃん。 まだ起きたばっかなんだけど。」

寝癖が付いたままの姿で玄関まで降りてきた俺は目の前でチケットを振るこいつ、雅也に欠伸を見せつける。

「誘ったんだけどさ、和樹以外はみんな予定あるらしくって。 なぁ、いいじゃん、行こうぜ。」

結局しつこく誘われ断りきれなかった俺が行くことになったのは、廻遊船。

(ほんとはもうちょっと寝てたかったんだけどな……)


だがこれが結末としては雅也に感謝することとなるのだと今の俺はまだ知らない。





「風香、朱里ー!! 早くしないと置いてくよー?」

お母さんが前から声をかけてくる。

今向かっているのは海岸。というのも、今日は泳ぐのではなくて船に乗ることになっているからだ。

「ねぇねぇ朱里ちゃん、今日乗る船ってさ、海賊船みたいなんだって兄ちゃん言ってたよ。 」

私の隣で手を繋いでいた風香が興奮気味に喋りかける。

「まじで!? うわ、私達女海賊になるじゃん! 風香、あれだね、船の上で宝探しでもする?」

風香の興奮が伝染し、更にヒートアップした私達はそのまま海に着くまでやかましく騒ぎまくった。


私はこの後船の上で宝探しをするはずが、攫われることになるなんて思いもよらずに。



第十一話へ続く。



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