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08



「アンタ、本当にラウリさんの こ、恋人なのか?」


「うん、そうだよ。…でもどうして、突然そんなこと聞くの?」


 雑貨屋さん一家の長男、アルヴィ君はギクッ!体を震わせた。

その直後、急にアタフタというか、モゾモゾし出して、叫んだ。



「あ、あの人のこと尊敬してるから、変な女が近くに居るって聞いて、

興味があっただけだ!べっ、別に、心配とかしてた訳じゃないからな!!」



あれー、この子…。


「ツンデレ?」


「リツキさん、”ツンデレ”…って何?」


オルヴォくんが私にくっ付いて、興味津々の目で私を見ている。


「んー、そうだなぁ…本当は、好意があるのに恥ずかしくて素直に言えなくて、

反抗的な態度をとってしまう人、かな?」


「あぁ、なるほど…。」


アルヴィ君はボッと顔が真っ赤になった。


「冷静に分析してんじゃねぇよっ!!」



「おい、うっせーぞ。静かにしろ。」



 あ。さっき私たちを縛っていったゴッツイ人たちのひとりだ。

顔には珍妙な仮面を付けていて、個人の判別は出来ない。

私は、一か八かの作戦を実行する。


「おじさーん、わたしたちおなかへりましたー!パンとかたべたいですー!」



 ふっふっふ。

外見が子どもに見えるのを、利用してやろうじゃない。

出来るだけ子どもっぽい声で言う。…我ながら、気持ち悪い。


「お、おじさんとかゆーな!!

俺はまだ…って、馬鹿が!お前らに食わすものなんて無ぇよ!

どーせ、明日にはお前らは引き渡しちまうんだからな!」


お。この人なら、もう一押しすればなんとかなりそう。


「おなかすいた、おなかすいた、おなかすいた、おなかすいたよぉおお!!!」


私は残っている体力をフル動員して、ジタバタ暴れた。



「うっせーって言ってんだろうがぁ!!俺が怒られるんだぞ!?

チッ、仕方ねえな…パンだな?」



よっしゃあ!!



「あっ、みずもください。」


「チッ!持って来るから、これ以上騒ぐんじゃねーぞ!」


仮面の男はそう言って、牢から離れていった。…ふぅ、なんとか成功したかな。


「リツキさん、すごかった。」


「色んな意味でな。」


あら。アルヴィ君、いつの間にオルヴォ君の近くに移動したの?


「2人とも、それは褒めてるの?ドン引きしてるの?」


「ほめてる。…たぶん。」


…まぁ、そういうことにしておいてあげる。





 少しして、仮面の男がパンと水を持って戻って来たので、それとなく

聞いてみる。


「おじ…おにいさん?わたしたち、どうなっちゃうの?」


仮面の男は胸を張って答えた。


「知らん!」


…今、一瞬殺気が湧いたよ。でも顔には出さないように演技する。


「そんなぁー。あっ!わかったー、おにいさんたち、しったぱさんね?」


仮面の男は、あからさまにガックリ肩を落とす。図星か。


「た、確かに、俺たちは金で雇われているから何も知らされちゃいねぇよ。

だが、逆にお前たちにとっちゃ良かったんじゃねぇか?


…売られるんだか、解体(バラ)されるんだかな。かわいそーにな。」


”かわいそう”か…。


「(…心にも思ってないくせに。)」


「ん?なんか言ったか?」


おっと。ポロッと口からも出てたかな?


「ううん!なにもいってないですよ!おにいさん、パンとみずありがとう!

したっぱとかいってごめんね!」


仮面の男は何か言おうとしたみたいだけど、仲間に呼ばれてたので何も言わず

牢を去っていった。




  改めて、再認識させられたよ。


理不尽だと思っても、”弱者だから”なんて言い訳して抗わなかったら、相手の

好きなようにされる。

ここにいるのは、魔法の使えない私と、使えるけど戦えるほどじゃない子ども

の彼ら2人。


どう考えても、絶望的な状況だ。



ーーーでも、私は抗うよ。

めちゃくちゃ怖いし、良策はまだ思いつかないけど。




  私は、あのラウちゃんの待っている家に帰りたい。

この2人も必ず救いたい。



「私が、しっかりしなくっちゃね。この中で一番お姉さんなんだから。」


自己暗示のように、『大丈夫!』と念じて恐怖を心から追い出した。





リツキが頑張ります。

私は、女の子が頑張る話が大好きですw


修正:2012/10/02

誤字脱字を直しました。

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