第十三章 ミルヴェへ
王都での報告が終わった後、ルードは父とともにミルヴェに向かった。
エルネも同行した。任務が終わっても、彼女は来た。理由は聞かなかったが、ルードは嬉しかった。
クリーネは王都に残った。四十年ぶりの「向こう側」で、まずは自分の足で歩き回ってみたいと言った。
「懐かしい場所を全部回ってみる」老人は言った。「どこに行けばいいかわからないが、それでもいい。時間はある」
「ミルヴェに来たら、いつでも歓迎する」ルードは言った。
「覚えておこう」
ミルヴェへの道は四日かかった。馬を使ったが、父の体力が完全ではないので急ぎすぎないようにした。
二日目の夜、宿屋で父がルードに言った。「お前が村を出てから、ガルクはどうしていたんだ」
「普通に仕事をしていた。俺が出発した翌日から普通に仕事を始めていた。感情を表に出さない人だ」
「昔からそうだ。ガルクは俺がクレントと呼ばれるより前からの知り合いだ。学校で同じ先生に剣を習った。俺は商人になって、ガルクは鍛冶師になった」
「父さんとガルクが昔の友人だったのか」ルードは驚いた。
「ああ。だからお前をガルクに預けた。いや、ガルクが引き受けてくれた、というべきか。俺が消えたとき、勝手にお前を引き取ってくれた」
「そんな話は聞いたことがなかった」
「ガルクは余分なことを言わない男だからな」父は苦笑した。「お前もそれを真似したんじゃないか」
「かなり影響を受けた」
三日目の朝、父が少し咳をした。七年間の幽閉で体が弱っているのだろう。ルードは心配したが、父は「大丈夫だ」と言い、エルネは「歩いているから体が戻る」と言った。
エルネは旅の間、少しずつ話すようになっていた。どこで育ったか。どこで剣を習ったか。兄がどんな人間だったか。全部が短い言葉で語られたが、ルードには十分だった。
「お前は剣を続けるか」エルネが一度聞いた。
「鍛冶師に戻るつもりだ」ルードは言った。「だが剣も忘れない。ガルクに戻したい短剣があるしな」
「鍛冶と剣は相性がいい。どちらも金属と向き合う仕事だ」
「そうだな。そう考えたことはなかったが」
四日目の夕方、ミルヴェに着いた。
村は変わっていなかった。同じ家々が並んで、同じ畑が広がっている。井戸が中央にあって、夕方の光の中で人々が行き来している。
ルードが子供の頃から知っている景色だ。
クタルが最初に気づいた。村の入り口近くにいて、一行の姿を見つけると、大声で叫んだ。「ルード! 戻ってきたか!」
走ってきたクタルが、まずルードの背中を思いきり叩いた。それから父を見て、驚いた顔をした。「これは……クレントさん? 生きてたんですか?」
「生きていた」父は言った。「ご迷惑をかけた」
「迷惑なんてとんでもない。村のみんなが心配してましたよ。特にガルクさんが……って、ガルクさんはあんまり表に出さないですけど」
ルードは鍛冶場に向かった。
ガルクは仕事をしていた。夕方でも仕事をしていた。ルードが扉を開けると、鎚の音が止んだ。
「戻ったか」
「戻りました」
「父親は見つけたか」
「見つけました。外で待ってます」
ガルクは鎚を置いて立ち上がった。それだけで、感情が伝わった。
「そうか」師匠は短く言った。それだけで、すべてが伝わった気がした。
ガルクが外に出た。父の姿を見て、何も言わずに歩み寄って、肩を叩いた。父も何も言わなかった。
二人の老友の無言の再会を、ルードは少し離れたところから見ていた。
エルネも見ていた。
「いい光景だ」エルネは静かに言った。
「そうだな」
鍛冶場の脇に、師匠の鎚が立てかけてあった。それを見て、ルードは短剣を取り出した。旅の間、ずっと使ってきた短剣だ。
「返しに来ました、師匠」
ガルクが振り向いた。短剣を見て、受け取った。刃を確認した。
「よく使ったな」
「何度か助けられました」
「傷がある。また打ち直す」ガルクは短剣を持って鍛冶場に向かった。そして止まった。「しばらくは村にいるか」
「はい。しばらくは」
「ならば修業を再開しろ。まだまだ半人前だ」
ルードは笑った。「はい、師匠」
ガルクは何も言わずに鍛冶場に入っていった。すぐに鎚の音が始まった。
父が言った。「あいつは変わらないな」
「変わらない人間がいる場所が、帰る場所になる」ルードは言った。
夕暮れの光がミルヴェを包んでいた。
鍛冶の音が、村に響いていた。




