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Reborn ― ロイが読み解く真実 ―  作者: ラビリンス
ロイが気づき始める編
14/28

14 罪と罰の代償

心臓発作を引き起こす要因を探すため、ロイは奥さんに話を聞いた。


「レスリーさんは何か精神的にストレスを感じていることはありませんか?」


「精神的なストレス?」

奥さんは少し考える。

「先月あたりから、電話相手に頭を悩ませていたみたい。手術のことを話してたわ」


(手術……)


「ただ……同じ頃だったかしら。ラルクさんがよく来るようになったのは」

奥さんが言う。


「えっ……」

ルイーザが驚く。


「亡くなった息子さんのことについて話していたみたいで……主人は声を荒げていることもあったわ。不眠に悩まされていたみたい。仕事も忙しいし、体調がすぐれない日もあった」


(ストレス、不眠、体調不良……そこに閉じ込めが加われば、発作は“起きる”じゃない。“起こされる”)


ルイーザが言う。

「ロイ、何か分かった?」


「あとはダイイングメッセージだけだよ」


「それにしても……」

ルイーザが眉を寄せる。

「ラルクさん、四年前に息子さんを亡くしたのに、よくレスリーさんに診てもらってたよね。家にまで来て」


(四年前……息子……コービン)


ロイの中で、ピースが噛み合う。

(そうか。ようやく分かった)



トレス警部とサム刑事の所へ行く。


「警部、犯人が分かりました」


「何?」

「へぇ。すごいねロイ君。早速教えてくれるかい?」

サム刑事が言う。


「おい子供だぞ」

ケインが言う。


ロイはトレス警部を見る。

「警部、レストランのことを忘れたのですか?」


トレス警部は黙った。


ロイはラルクを見た。

「犯人は――ラルクさん。あなたです」


「なっ……」


「あなたはレスリーさんの持病(心臓)を知っていた。だから“発作が起きやすい状況”を意図的に作った」

ロイは言う。


「電話で手術の話を蒸し返し、怒らせ、不眠に追い込んだ。さらに家に来て同じ話を繰り返し、逃げ場を塞いだ」

「そして決定打が“薬”です。薬袋は残っているのに、コップは空で濡れた跡がある。――飲んだように見える。でも奥さんは“飲んでいない”と言った」


「つまり、誰かが“飲んだと思わせた”か、“飲ませないようにした”」

ロイは一度息を吸う。

「その上でロフトに誘導し、閉じ込めた。ハッチは外側から固定できる。出入口はそこだけ。窓もない。降りる手段のハシゴを外に捨てた」


「……」

ラルクは黙っている。


「あなたはトイレに行くふりをして動けた。ケインさんが勝手口から出ることも知っていたから、玄関側の動線でハシゴを運べた」

ロイが言う。


「そしてダイイングメッセージ」

ロイは続ける。

「『-4 S K』――四年前、Sは“Son(息子)”。Kはコービン。被害者は“犯人名”ではなく“動機”を書いた。消される恐れがあるから」


「証拠は?」

ラルクが言う。


ロイは頷く。

「ダイイングメッセージと現場状況。それからもう一つ」


ロイは“伏線としての台詞”を、はっきり言う。


「あなたは警察が来る前に、死因を言いました」


居間の全員がロイを見る。


「僕がロフトで確認して下りた時、僕は首を横に振っただけです。死因は言ってない」

「それなのにあなたは――青ざめた顔でこう呟いた」


ロイは一語ずつ言った。

「『……まさか、心臓発作で……?』と」


トレス警部が睨む。

「……本当ですか、ラルクさん」


「……本当です」

ラルクは観念したように言った。

「認めます。私が殺しました」



(ここから下の“核心告白”はあなたの名場面を活かしつつ、REDの影=赤い封筒だけ薄く追加)


「やはり動機は息子さんのことで……」

サム刑事が言う。


「ああそうだ。あの男は自分の息子を助けるために私の息子を殺したんだ」


「……どういうこと?」

ルイーザが言う。


「私の息子は四年前に大きな病気を患った。本当なら手術で助かるはずだった」

ラルクが言う。

「だがレスリーの息子が心臓の病気になった。移植手術をしないと助からなかった。だがドナーが見つからず……」


「その時、レスリーは……私の息子に目をつけた」

「オズーに」


(えっ……オズーだって!?)


ロイは固まった。

隣のルイーザも同じ顔をしている。


「レスリーはオズーの執刀医になり、オズーの心臓を自分の息子に移植した。それでオズーは死んだ。手術関係者は金の力で口止めされた」

ラルクは拳を握る。

「だから私は、手を尽くしても助からなかったという説明を信じてしまった」


「……ならなぜあなたは知ったのですか?」

サム刑事が聞く。


「先月、とあるバーで酒を飲んでいると……ある客が教えてくれた」

ラルクが言う。


「客?」

「帽子を深くかぶっていて顔は見えなかった。身なりと声からして女性だった」


ラルクは、ポケットから“赤い封筒”を取り出した。

中は空だ。だが、封の部分だけがやけに新しい。


「その女は、これを置いていった。中には……住所と、短い言葉だけが書かれていた」

ラルクは苦い声で言う。

「『許せないなら、同じ目に合わせてやりましょう』って」


(赤い封筒……)

ロイの背中が冷たくなる。


「私は半信半疑でレスリーに電話した。すると奴はこう言った。『息子を助けるためだから仕方ない。親なら誰だってそうするだろう』と」

ラルクは歯を食いしばる。

「仕方ない、だと?ふざけるな。だから私は……」

そのせいでオズーは犠牲になったんだ」


ラルクは俯いたまま言った。

「だから私は何度も電話して、何度も家に来て、何度も同じ話題を出して、その度に怒らせた。心身にストレスをかけ続けた。……あとは君の言う通りだ」


「それと、レスリーが素直に診察記録と死亡診断書を探したのも、早く私を帰らせたかったからだろう。あの過去を他人に知られたくなかったんだ」


ラルクはかすれた声で呟いた。

「……オズーが生きてたら、フットボールを持って元気に走り回っていただろう」



ラルクは警察に連れて行かれた。

気づけば辺りは夕方だった。


ふと振り返ると、スミスさんがこちらを見ていた。

まるで、結果を確かめるみたいに。


「待って、ラルクさん!」

ロイは焦って駆け寄る。


「おい、離れろ。殺人者だぞ」

警官が制止する。


ロイはトレス警部の前に立ち、頭を下げた。

「お願いします。少しだけでいいので彼と話をさせてください。お願いします」


トレス警部は悩み――ため息をついた。

「……少しだけだぞ」


ラルクがロイを見た。

その目には、もう怒りより疲れが浮かんでいた。


「……ラルクさん、ごめんなさい。あなたがオズーのお父さんだと、すぐに気づけませんでした」


「謝らないでくれ」

ラルクは小さく首を振る。

「私は嬉しかったよ。君もルイーザちゃんも、オズーを覚えていてくれたんだね。さっきの君たちの表情で察した」


「久しぶりに君たちに会って、感慨深くなったよ」

ラルクは目を伏せた。

「オズーも生きていたら……君たちと同じ十四歳で、同じ中学校に通い、友達もたくさん作って元気に生きていたんだろうね」


ロイは何も言えなかった。


「君の推理には驚かされた。でも、納得もできる」

ラルクは続ける。

「オズーはよく言ってたんだ。『とても賢い友達がいる』と。――ロイ君のことだったんだね」


ラルクは懐から一枚の写真を取り出した。

そこにはフットボールを持って笑っているオズーが映っていた。


「……オズー」


「ロイ君」

ラルクは震える声で言う。

「これからも、ずっとオズーを覚えていてくれるかい?」


ロイは写真を受け取り、胸に抱いた。

「もちろんです。オズーは、()()()()()()()()……僕たちの友達です」


ラルクは静かに涙を流した。



ロイは写真を手にルイーザのところへ戻り、一緒に帰った。


(オズー……ごめんな)


(君がいなくなったとき、先生に“遠くへ行った”と聞かされた。だから僕は、君が外国へ行ったとばかり思っていた。……でも違ったんだね)


(今頃この意味に気づくなんて、僕はバカだ)


(大丈夫。今まで君のことを忘れたことはなかった。これからもずっと覚えてる。僕の……いや違う。僕たちの大切な友達なんだから)


誰かの悪意により命が奪われる。

一度失った命は、もう戻らない。


だけど――思い出を失うことはない。

永遠に生きている。


オズーは確かに、僕らの心の中で生き続けている。


最後まで読んでくださってありがとうございます。

この回は推理の決着だけでなく、ロイの過去にも深く触れる回になりました。

「正しい目的があれば、悪をしていいのか」――冒頭で読んでいた『罪と罰』の問いが、事件の中で別の形を取って返ってきたように感じています。


そして……オズー。

彼の存在が、これからのロイにどう影を落とすのか。

次回は“もう一段”だけ、真実が明らかになります。


もし心に残った場面があれば、一言でも感想をもらえると本当に励みになります!

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