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Reborn ― ロイが読み解く真実 ―  作者: ラビリンス
ロイが気づき始める編
13/28

13.密室

警察が到着した。

レストラン事件の時にいたトレス警部とサム刑事だ。


「被害者はレスリー・アンソンさん。四十代。死因は心臓発作の可能性が高い」

サム刑事が言う。


「持病による死亡か。なら事件性は無いな。誰だ?通報したのは」

トレス警部が言う。


「私です。ロイに言われたので警察と救急車を呼びました」

ルイーザが答える。


「ロイ?」

「僕です」


「お前はレストランの時の」

トレス警部が言う。


「お久しぶりです。トレス警部とサム刑事」


「久しぶりロイ君」

サムが言う。


トレスが大きなため息をついた。

「……事件性があると、どこで判断した?」


ロイは落ち着いて言う。

「“見た事実”が三つあります」


「一つ。ロフトの出入口は天井のハッチ一つだけ。窓も点検口もありません」

「二つ。ロフトのハシゴが外され、ガレージに捨てられていました」

「三つ。レスリーさんの手元の埃が乱れていました。何かを書こうとしたみたいに」


「なるほど」

トレス警部が頷く。


サムが言う。

「しかし、そのハシゴがロフトの物だと断言できる?」


「断言できますわ」

奥さんが言う。

「この家で木製のハシゴはロフトだけです」


「よし。では詳しく調べる。みなさんの名前と、この家に来た理由を」

トレス警部が言う。


「ケイン・スレイド。足の調子が悪くて先生に診てもらいに来た」

(ケイン=強気で苛立ちが表に出る)


「ラルク・コービン。昔の診察記録と死亡診断書を貰いに来た」

(ラルク=言葉少な、目が笑っていない)


「僕たちは父の万年筆を受け取りに来ました」

(万年筆――“餌”に見えるのが嫌な予感だ)


トレス警部が眉を寄せる。

「君のお父さんの万年筆を、なぜレスリーさんが持っている?」


「分かりません。父とレスリーさんは同僚だったと聞いています」


「では現場を調査する。皆さんは居間で待機。後ほど詳しい話を伺う」



全員が居間で待機する。

部屋の中は静かだ。


「くそっ……何でこんなことに」

ケインが言う。


「あの人が悪いのよ。薬を飲むように言ったのに時間を守らないから」

奥さんが言う。


ロイはふと、テーブルの端に置かれた“薬”を見た。

薬袋は残っている。だが、横のコップは空で、口元に濡れた跡が少しある。


(飲んだ? ……いや、奥さんは“飲んでいない”って言ってた)

(なら、誰かが“飲んだように見せた”可能性もある)


ロイがスミスを見る。

感情の読めない顔で立っていた。


(この人、ずっと無表情だ。執事としては自然?

……でも、自然すぎる)


ロイはラルクにも目を向ける。


「あのラルクさん、大丈夫ですか?」


「ああ平気だよ。驚いたけどね」


「さっき診察記録と死亡診断書って言ってましたけど、大切な人を亡くされたのですか?」


「ああ。息子を亡くしてね。明るくて優しくてフットボールが好きな、元気いっぱいの子だったよ」


「……そうだったんですね。僕も会ってみたかったです」


(明るくて優しいフットボール好き……昔仲の良かった友達にそういう子がいた。

四年前に突然いなくなって心配したけど、“遠くへ行った”って……)


ラルクが言う。

「君はホーキンスと名乗っていたね。もしかしてチャールズ・ホーキンスさんの息子さん?」


「父をご存知なのですか?」


「私は心臓が悪くてね。今はレスリーさんに診てもらっているが、昔はホーキンス先生にお世話になっていたんだ。温厚で、誰であろうと分け隔てなく患者を診る。医者の鑑のような人だ」


(父の患者……それなら僕を知っていても不思議じゃない)


奥さんが吐き捨てる。

「あの人は薬の管理もできない、ゴミも捨てない、家事は全部私。離婚を考えるくらいよ」


「最低ね」

ルイーザが小声で言う。


「ねぇロイ。もしこれが殺人事件だったらあなたが推理するのよね」


「……そうだね」

ロイは真剣な顔で答えた。

「病気を持っている人もいる。長い緊張状態は良くない。早く終わらせよう」


そんなことを話していると、トレス警部とサム刑事が戻ってきた。


「調べたところ、ダイイングメッセージがある。殺人の可能性が高い」

トレス警部が言う。


部屋の空気が冷える。


「やはり密室殺人なんですね」

ロイが言う。


「おいおい死んだのは薬を飲み忘れたからだろ!何を根拠に殺人だなんて言うんだ」

ケインが言う。


サム刑事が淡々と告げた。

「ロフトの窓はありません。出入口は天井のハッチ一つだけです」

「そして、そのハッチの留め具は外側からしか固定できない構造でした」


(外から閉じ込められた――)


「さらに、被害者の手に粉塵が付着していた。埃を指でなぞった跡があり、文字が残されていた」

サム刑事が続ける。


「残されていたのは――『-4 S K』だ」


ロイは息を呑む。


(-4……S……K)


そこへ鑑識が追加で報告する。

「被害者の近くからタバコのカスも検出されました。少量ですが」


トレス警部が言う。

「この中でタバコを吸う人は?」


全員の視線がケインに向く。


「確かに吸う。だがロフトに行ったのは様子を見ただけだ。その時はまだ生きてた」

ケインが言う。


(ケインさんの動線は作れる。でも足の状態でロフトで何ができる?)

(……焦ってる感じが強い。計画犯っぽくはない)


ルイーザが言う。

「ケインさん、勝手口から出て行ったわね」


「勝手口……」

ロイは頷く。

(鉢合わせを避けられる動線がある。ならラルクさんも――)


(よし。残るは心臓発作の要因とダイイングメッセージだ)


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