少女の心の内は
花とお日様の匂いが好きだ。
陽光に曝されれば死んでしまう。
私は少しだけ、不自由な体を持って生まれてきた。
けれど、傘持ちの彼がいる。好きな人が指す傘の下で、彼と共に花を愛でるのが一番好きなのだから。
リオンは一番近くで傘を差して、ときどき私の方へ傾いて耳を澄ましてくれる。
綺麗な金色の髪が風に揺れると、くすぐったくて心が安らぐ。
いつも微笑む彼は柔らかな笑みを浮かべて、私の想いを刺激する。
きっと、彼は私の想いに気付いていない。
そして、気付いたとしても叶うことはないだろう。
それでも近くにいてくれるリオンに、精一杯の感謝を込めて花を育てる。
この想いが伝わりますように。
────この想いが伝わりませんように。
でもやっぱり、伝わりますように。
私は彼と別の世界で息をしているのだと、ときどき考える。
こんな世界じゃ、伝えることさえ出来ないのだから。
身分の差、種族の差、想いの差。
それでも、そばに居たいと願う。彼のために何かをしたいと願う。
彼が心から笑顔になれるような、そんなことを。
輝く太陽のような、優しい月のような彼に、私は恋焦がれている。