表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/3

流行りに流された男

「めっちゃオモロいんすよ!」

「いや、アニメとか見ないから」

「主人公が転生してからの無双がマジで良くて!」

「だから、アニメなんて見ないって言ってるだろ」

「マジで、見た方が良いですって、先輩!」


後輩に言われたやつってなんて名前だっけ?

俺はいつもの様に、仕事終わりにパチンコ屋に吸い込まれていた。

「羽物も減ったな」

新台入れ替えで目に付くのは画面が付いたキャラクター物。

好きな羽物が無くなってく悲しさと、新台だから出るんだろうなーと言う思い。

若い奴が好きそうな、女の子が甲高い声で喋る台を40にもなるおっさんが座ってるのはビジュアルが悪いと思う。

思うのだが。

「無い」

最近は、いつも必ず打っていた台が無い。

7セグの付いた羽物の台、いつも座ってた場所に有ったのは店先で見た新台。

それも一島丸ごと新台。

「バリエーションコーナーにでも入ったかな?」

通路に出て店内を一周したけれど。

「無い!」

若干の苛立ちと哀しさを感じながら、諦めて喫煙所へ向かう。

「やっぱ、新台は設定入ってるって!」

「俺は万発ー」

「はぁ?遠隔だろ!、こっちはマイナスだぞ」

若い子達の会話をついつい聞いてしまう。

「やっぱ、演出が良いな」

「まじで、当たらなくても満足出来るし」

「推しの声が聞こえるだけで脳が溶けるし」


諦めて、帰るか。

喫煙所を出た所で箱を積んでた新台が空くのが見えた。

さっきの若い子達の会話が頭を過った。

「新台は設定入ってる、万発」

吸い込まれる様に台に向かっていく。

ちらっと、上を確認。

え?、即辞め?、まだ戻りが有るんじゃ?

そうして、俺は毛嫌いしていたアニメの台に座ってしまった訳だ。

おお、金保留!

うわ!、演出が凄いな、お、そこが動くのか!


まあ、なんだ、なんて言うかな。

「くそ、めっちゃ、気になる所で終わりやがって!、帰ったら見るぞ!」

結果は勝った、そしてハマった。

我ながら現金なものだと思う。

「明日、後輩にオススメ聞いてみようかな?」

俺の足取りは軽かった。

そして、打ってた台が例のアニメの台だったと知るのは翌日の話だった。


「おはよう、昨日、言ってたアニメ見てみようと思うんだけど、なんてやつ?」

「あれ?、先輩、アニメ嫌いじゃなかったでしたっけ?」

「いやー、昨日の帰りにパチ屋でなー」

そうして、めでたくアニメにドはまりした俺は、だんだんと現実にも影響が出てくる訳なんだが、その時の俺はそんな事は思いもしなかった訳だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ