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捨てら令嬢。はずれギフト『キノコ』を理由に家族から追放されましたが、菌の力とおばあちゃん力で快適生活始めます  作者: 渡里あずま


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思慕

クロム視点。

 人間が与えられたギフトを知るのは『天祐の儀』である。

 けれど、ギフト自体は生まれた時から持っていて――だから、ゲルダの守護者であるクロムもまた生まれた時から彼女の傍にいた。ただ、女神からゲルダが十五歳になって前世や女神の記憶を取り戻すまで、姿を見せないように言われていたのだ。


「守るべきあの子を、見ていなさいね」


 最初は女神にそう言われたから、けれどすぐにクロムはゲルダから目を離せなくなった。母に愛され、けれどその母を亡くし。父や後妻達、それから使用人達にこき使われ、けれど少しでも仲良くしたくて無意識にギフトを使っていたことを知っていた。


(見捨ててしまえば良いのに……せっかくのギフトを、自分の為に使えば良いのに)


 クロムからすれば、人間の美醜など皮一枚の話だ。年を取るのもだが、中身が醜悪ならそれはすぐ皮に出る。逆もまた然りだ。

 それ故、焦げ茶の髪と緑の瞳をした、周囲から平凡と称されるゲルダはクロムの目には魅力的に見える。守護者の本能も否定しないが、クロムはゲルダのことがとても愛しい。守護者の本能だけなら、今のように『触れたい撫でたい口づけたい』にはならないだろう。強引に事を進めるつもりはないが、これから態度で示して受け入れて貰うつもりだ。ちなみに毒はクロムの思うがままなので、ゲルダ『には』何の影響もない。

 だから記憶を取り戻し、口から出たのが『自分のやりたいこと』だったのを、クロムはとても嬉しく思っていた。甦ったのはあくまでも記憶のみで、ゲルダの本質は変わっていないからだ。


「箱罠があるわね! バラして洗ったら、網焼きが出来るわ……何なら、松茸も出そうかしら?」

「罠をバラすのと水を汲んでくるのと火を起こすのは、俺がやろう」

「ありがとう。でも川は、私も見たいから一緒に行くわ……歩けると思うから、降ろしてくれる?」

「一緒に来るのは良いが、水を汲むまではこのままだ。倒れかけたんだから、無理をするな」

「う……お世話になります」


 森番の小屋に着いてからも、クロムはゲルダを横抱きにしたままだった。単に放したくなかったからだが、もっともらしく言うと恐縮しつつもゲルダは大人しくなった。

 ……その後、川を『菌』の力で綺麗にしようと水に手を浸してギフトの力を使うと――いきなり眩く光り、次いで目に見えて水が綺麗になったのにゲルダは驚いて声を上げた。


「えっ? 何だか神々しいと言うか、仰々しくない!?」

「そんなことない……はずれなんて、とんでもない。女神からの、素晴らしいギフトだ」


 キノコの時は、意識が朦朧としていたので改めて光を見て驚いたらしい。だがこれは、本当に素晴らしいギフトなのだ。

 ゲルダが幸せになるように言葉を惜しまず、何だってしよう。

 改めて誓い、クロムはゲルダにそう言った。    

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