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捨てら令嬢。はずれギフト『キノコ』を理由に家族から追放されましたが、菌の力とおばあちゃん力で快適生活始めます  作者: 渡里あずま


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17/21

衝突

サブタイトルを変更しました。

 王族や領主が、森へ行って狩りをするのはその領地にとっての誉れだった――だった。そう、過去形だ。

 異世界の住人達に認識はないが、菌を失ったことで森は枯れ、食べるものが無くなったことで獣達は姿を消した。それ故、狩りは出来なくなり、森に王族や領主が足を運ぶこともなくなった。


「第三王子は現在、婚約者がいないのもだが……お前達と同じ『美』の加護を得ているのだ。妾腹とは言え、王族なので遠慮していたが……寂れた森にわざわざ来ると言うのは、クリスティアと会う為の口実だろう」

「まぁ……」


 馬車の中で、父親の言葉に嬉しそうに笑うクリスティアは、自慢のピンクゴールドの髪がもつれて膨らんでしまうのに癇癪を起こし、誤魔化す為に侍女達に熱したコテを使わせて縦ロールにしている。更に、肌荒れやにきびを誤魔化す為にしっかり化粧もしている。

 それ故、ドレスやコートも髪型や化粧に合わせて、レースやフリルがふんだんにあしらわれたものを着ていた。可憐であるし令嬢なので肉体労働をする訳ではないが、森に行くには少々場違いな格好である。


(まあ、ゲルダがいないのが解れば自分都合だとしても、涙の一つは流すでしょうし……それを王子に慰めさせれば、多少の派手さは誤魔化せるわ)


 身一つで放り出したのだから、生きている筈がない。死体が転がっていたら大変なので、王子達が着く前にと急いで馬車を走らせたのだが――枯れ果てたと思っていた森が青々と生い茂っているのに、エレノア達は唖然とした。そして、その驚愕は森の中に入り森番小屋へと向かう間、更に大きくなった。


「えっ……枯れ木がない……?」

「……鳥の声だと?」

「畑……?」


 以上、エレノア、ジェロム、クリスティアの声である。

 到着し、三人が慌てて馬車から降りると、その音を聞きつけたのか森番小屋のドアが開いた。


「……何の用だ?」

「「「っ!?」」」


 白銀の髪と瞳をした美青年の登場と、睨まれ低い声で威嚇されるのに、思わず怯んでしまう。しかし平民と思われる簡素な服装に、最初に我に返ったのはジェロムだった。


「この小屋も森も、我が領地だ! 貴様こそ、勝手に住み着きおって……今すぐ立ち去れっ」

「お父様、いきなり追い出すのは可哀想よ……我が家の下働きとして、雇いましょう? ねぇ、お母様? いいでしょう?」

「そうねぇ……」


 クリスティアとしては恋愛相手にする気は全くないが、目の保養になりそうな美青年をこのまま逃すのは勿体無いと思い、優しさを装って言った。一方、エレノアも同意見だったので、反対ではなく恩を着せる為に勿体つけた。

 しかし、美青年――クロムは、三人は知らないがそもそも人間ではない。更に、ゲルダを虐げていたことを知っているので、従う気など全くなかった。


「ふざけるな。俺にはすでに、守るべき相手がいる。お前らこそ今更、ノコノコなんだ?  あぁ、ゲルダの恩恵が無くなって惜しくなったか? 捨てたのはお前らだから、諦めろ。とっとと帰れ」

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