四天王達じゃない?
翌朝は適当に四天王会議を済ませると、四天王達と一緒に行動をする運びとなった。
「お前たちにまで迷惑をかけてしまって、本当にすまないな」
四天王達に頭を下げる。
『水臭いですよ、魔王様。お風呂だって一緒に入った仲じゃないですか』
「それは何千年前の話しだよ」
『昨日のような話です。今はそれよりも……』
四天王達は前傾して顔を寄せて、神妙な口ぶりで囁きかけて来た。
『ストーカーに心当たりはないのですか?』
「女の子に好かれる心当たりなんてない」
『あの髪、根本から染めたものではないようですが』
「金髪の女の子なんてますます縁がない」
ちらりと四天王達が髪を見ているのだと気づいて、少し考えを改める。
「俺みたいに生まれつき金髪の者も居るだろうが、知り合いに居ただろうか?」
魔王の髪は生まれつき金髪で、半分は人間の血が混じっているから幼い頃は人間のようだと言われた事はあったが、所詮は過去の話だ。
「……ダメだ心当たりなんてない」
『そうですか、そういうものですね』
「今日は料理を捨てられないように、直接私が届けに行きますね」
「そこまでしてもらうのは……」
でも、四天王達の顔が笑みに緩んでいるのを見ていると些末なことなどどうでも良くなった。
今日一日、四天王達の笑顔を抱いて乗り越えようと思った。
昨日と打って変わって、城は平穏な空気に満たされていた。
新しくした机は傷一つなく、中にはラブレターも詰まってない。
「平和だ……これが日常なんだ」
ニコニコの笑顔で四天王会議までの時間を過ごそうと、そう思っていたのだが
「魔王様、かわいいお客さんがお呼びだぞ」
ヘルフレイムの険悪な声が出入り口の方から飛んでくる。
「かわいいお客さん?」
ヘルフレイム以外に他に思い当たるのはハーデスとマリアとガイアくらいだ。四天王達の端麗な造作は人間魔物から人気が高く、噂では隠し撮り写真が万ゴールド単位で取引されているとか。
「えっと、お前たち?」