幼馴染との思い出は消しゴムで消したい
ああ。
思い出したくもない過去。
俺は幼稚園時代からの美少女幼馴染で、
尚且つすぐ隣の家に住み、窓から窓へと伝って、お長いの部屋をよく行き来した仲である
林ユーコに中学の卒業式の日に告白して
学ランの第二ボタンを受け取ってもらおうとしていた。
だがしかし。
俺がユーコのために、ユーコのためだけに差し
出した、第二ボタンは、
「俺、おまえのことが小さい頃から大好きで...」と渡そうとした瞬間に、バシン!と力強くユーコの右手によって振り払われた。
「要らないよ!あんたの第二ボタンなんて。
私ね、ほら、見てよ。これから同じトップ校に通う、
藤島くんからもう貰ったの!」
「シンジさ、推薦入試落ちちゃったじゃん!
内申点が足りなくて、それだけじゃなくて、面接でもその、ときどき緊張すると吃る癖がでちゃってさ、不合格になっちゃったじゃん!」
「併願で、あんまりレベルの高くない高校に行く羽目になっちゃってさ...!
そんな高校じゃ、いい大学だっていけないし、
いい就職口だってあるわけないから...!
悪いけどー、藤島くんは将来的に、医者になる
予定だからさ。私、小さい頃から旦那は医者が
いいなって思ってて!」
「つまりね!将来の見通しが暗いあんたとは
付き合えないからさ...!」
俺の第二ボタンは。
せっかく、ユーコに受け取ってもらおうと
思っていたが。
コロコロと転がり、
きったない、水が溜まっている側溝に
無惨にも落ちたのだった。