俺の可愛い妹が見当たらない件
「アイリはどこなの...!?」
おかしいと思ったんだ。
ついさっき。
コンビニのバイトから帰宅したら
玄関先にド派手な色したパンプスやらハイヒールやら脱ぎ捨ててあって。
「?」
と訝しながら階段を昇って俺の部屋に来たらこの様だよ。
俺の問いかけに、
ベッドに寝てる奴はいまだ寝てて。
二人が俺の方をガン見した。
勉強してる奴は。
俺の声など聞こえなかったみたいに、
やたら集中してるのか、参考書と睨めっこしたまんまだった。メイク道具、多分、
ビューラーって名前のやつをカタンと小さな音を立ててテーブルの上に置き、
四人の中で一際露出がひどくて、
髪の毛は金色の目でか女が、俺に言った。
「ああ...!あなたの妹のアイリ?買い出しに行ったよ。
アイスとかお菓子とか買ってくるって」
続けて、ベッドのへりに腰掛けてる、
髪の毛赤毛のショートカット女が、
少し冷たく俺に言った。
「もうそろそろ帰ってくるんじゃない?
駅前のスーパーに行ったから」
「.....あ、そう...」
「それにしてもさ、随分と綺麗にしてんのね。
男の部屋なのにさ。ベッドの下にエロ本の一冊も見当たらなかったよ...!」
と金髪ギャル。
「おい、おまえら、いいか、人の部屋を勝手に
我が物顔で使ってだな、更にベッドの下まで覗くとか、やめてくれよ...」
「物色したのはハルだけよ。
あ、その派手な金髪の子の名前がハルね。
で、赤毛の私はアキって
言うの」
「そんで、ベッドですーすー寝息を立ててかわいい寝顔して寝てる茶髪のボブの子が
ナツで...」
「今、机でめちゃくちゃ集中して勉強してんのが、ブルーアッシュのロングヘアでさ、冬の子と書いてトウコよ」
「春夏秋冬....」
俺はそう呟き、頭が痛くなった。
何だって俺の部屋を女子会の会場?
にしちゃってんの、アイリときたら。
くそっ。帰ってきたら
問い詰めてやる...!
幸いにも。
大人向け雑誌は、昨日の資源ゴミに纏めて出してしまっていたから、俺の部屋にはなかった。
それだけはまぁ、救いだった。