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第16話 義賊

大変お待たせしました!

連載再開です!




前回のあらすじ

冒険者登録をした

 

 僕とノインは冒険者ギルドの建物を後にして、町中に繰り出す。

 ついさっき受けたクエストに載っていた件の義賊本人か、それに関係する手掛かりを見つけるためだ。


 アクアマリンの町は港町故か町全体が活気付いている。

 当然その分人通りも多く、僕はノインとはぐれないようにするために彼女と手を繋ぐ。

 すると彼女は、頬を微かに赤く染めて僕に尋ねてくる。


「あ、あの……ロミオ。なんで手を繋ぐの?」

「ジュリエットとはぐれないようにするためさ」


 人が多いので、僕らはお互いを偽名で呼び合う。


「ふ〜ん。そっか……」


 僕の答えに納得したらしく、ノインは僕の手に指を絡めてくる。所謂恋人繋ぎだ。

 そしてその状態で、僕達は町中をうろつき始めた―――。




 ◇◇◇◇◇




 義賊に関する情報を聞き込みしたり、僕達と同じくこのクエストを受けている他の冒険者に出会って情報を共有するけど、義賊の行方は依然として掴めなかった。


「はぁ〜……」

「見つからないねぇ……」


 人通りがほぼない通りを歩きながら僕は溜め息を吐き、ノインもやや疲れを滲ませながらそう言う。


 義賊の目撃情報は錯綜していて、確実な情報と言えるのは義賊の髪が水色ということくらいだった。

 だけどその髪色は別段珍しい色じゃないから、義賊を捕まえる手掛かりとしてはとても弱い。


 そのまま物思いに耽りながら歩いていると、僕達の左手側に大きな屋敷が建っているのに気付いた。

 屋敷の周りを背の高い柵が囲っている。


 何とはなしに屋敷に目を向けると、屋敷の三階部分の窓が割れ、そこから人が飛び降りてくる。

 その人は上手く受け身を取って地面に着地すると、僕達の近くの柵まで一瞬で移動してくる。


 その人物の髪は―水色だった。


「そこのリア充! どいて!」


 その人物はマフラーで口を覆っていたから声がくぐもっていたけど、その声音から女性だと判断する。

 その判断は間違っていないようで、彼女の胸元は微かだが膨らんでいた。


 僕もノインも突然のことに驚いてその場から動かないでいると、彼女は舌打ちをする。


「チッ、仕方ない! 空かして、【空間接壊レヴィアタン】!」


 すると彼女の姿が掻き消え―柵を越えて僕達の前に現れる。

 すぐ近くまで来たから詳しく見ることが出来るけど、年の頃は僕達より下のように見受けられる。


 だけど今の言葉は……。


「魔術……!?」


 ノインは驚きを隠すことなくそう言う。

 すると水色髪の少女は顔を歪め、再び魔術を発動させて僕達の前から姿を消す。


 僕は慌てて周囲を見渡す。

 すると先程の少女は近くの民家の屋根の上にいて、屋根伝いにいずこかへと走り去って行く。


「追い掛けるよ!」

「え……あ、うん!」


 ノインの返事を聞くよりも早く僕は駆け出し、少女の後を追った―――。




 ◇◇◇◇◇




 ノインが発動してくれた探査魔法と、僕の持つ魔剣の刀身を鞘から僅かに覗かせて密かに発動させた【潜隠見索ハイドアンドシーク】を併用して、少女の行方を追う。


 そのまま行方を追って行くと、路地裏の奥の奥のそのまた奥の行き止まりまでたどり着いた。

 少女はそこで、戦利品の確認をしていた。


「くふふ……これを売り飛ばせば、少しは……」


 僕達に背中を向けて一人言を呟いている少女に声を掛けようと、足を踏み出す。

 その時にジャリ……と砂を食む音が路地裏に響く。


 その音に反応して、少女がバッ! と後ろを振り返る。


「……あ! アンタ達はさっきのリア充! もしかしなくても、アタシを追い掛けてきたの……?」

「そうだ」

「なんで?」

「冒険者ギルドから義賊を捕まえるようにクエストが出てたからね。一応尋ねるけど……キミが巷を騒がせてる義賊で間違いない?」

「そうだ……って言ったらどうするの?」

「キミを捕まえ……」

「そう思い通りになんかさせないんだから!」


 僕が言い終わるよりも早く、少女がそう言う。

 そして彼女はさっきみたいに魔術を発動させようとしていた。


「空かして、【空間レヴィ……】」

「――奪い去れ、【魔導封殺サタン】!」


 だけど少女が魔術を発動させるより早く僕は魔術を発動して、少女の魔術を無効化させる。

 自分の魔術が不発に終わった少女は、目を白黒させて驚きを隠せないでいた。


「え!? なんで!?」

「キミの魔術は、僕の魔術で無効化させてもらった」

「無効化……? それに今、魔術って……」

「僕も、そして僕の隣にいる彼女も……キミと同じ魔女だ。その誼と言ってはなんだけど、僕達はキミに手荒な真似をするつもりはない。その代わり……」

「その代わり? ……はっ!? まさか、アタシにエッチなこと要求するつもり!?」


 少女はそう言うと、両腕で自らの身体を守るように掻き抱く。

 彼女のあまりにもあまりな物言いに、僕は思わず声を荒げて反論する。


「誰がするかっ!! ……コホン。そうじゃなくて、キミが義賊をしてる理由を知りたいんだ。その理由次第では、キミのことは見逃す。どう? 悪くはないと思うんだけど」


 少女は真剣な顔付きをして、僕の言葉を吟味している。

 しばらくして少女は考えが纏まったようで、両手を挙げる。


「分かった、分かりました。アタシが義賊をしてる理由をアンタ達に話すわよ。だけどここじゃ話しづらいわ。アタシについてきて」

「分かった」


 少女の言葉に僕はそう返事をして頷く。ノインも無言で頷いている。


 そして僕とノインは少女の後をついていく形で、路地裏から立ち去って行った―――。






新ヒロイン(?)登場です!


それと次回から、毎週日曜日18時の定期更新となります。

あくまでも予定なので、更新されない時もあると思いますがその点はご了承ください。




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