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デカメロン同人  作者: 権兵衛(管理人)
36/201

第十八夜|無題

aithor:もっ

「ねぇ、やっぱり100日目が今でも納得行かないと思わない?」

「……それまだ言うの?」

 とろりとした乳白色の液体が下腹部に伝う感覚に小さく身震いしながら私が言うと、彼女はうんざりとした感情を隠しもしない呆れ声でそう返した。

 細い指先が○○の上を這い回って、ひやりと心地よい冷たさがそこに拡がっていく。同時に○○の奥にじんわりとした熱が拡がってゆくのを感じながら、私は彼女の返事を無視して言葉を続ける。

「あの作品てさ、誰も日頃は意識してないけど死はどこにでも転がっていて、それがいつやって来るかなんて考えながら生きている人なんて誰も居ないって話じゃない。作者もほら、メメント・モリがテーマって言ってたし」

 赤ちゃんの体を優しく撫でるような手付き。先日、美容院でシャンプーをしてもらっている際、こうしてもらっているときのことを思い出して少しいたたまれない気分になったっけ。

「本人の何気ない日常、成功や失敗、周りの人たちとの関係性、けどその先には死が待っている。読者はそれを知った上で見るからそこに特別な感慨を抱くことが出来る作りじゃない?」

 丹念に、丹念に。じんわりと燻り続ける熱の源には手を付けぬままに動き続ける指先には、微塵のいやらしさも感じない。

 そんな手付きに対して熱の籠もった吐息をこぼしてしまうのは負けた気がするので、私は努めて普段どおりの口調を意識しながら話し続ける。

「それがほら、最終話だけ4コマの体裁を崩して“これから死にますよ? 泣く準備をしててくださいね?”て演出されてるのが、すごくモヤモヤしてさ。今まではずっと死が他のすべてを演出してたのに、最後だけ死の方が演出される側になってしまったみたいで……っ」

 心地よすぎて、少し眠くなってきてしまう。それなのに○○○がじぃんと痺れて、疼いて、肌は紅潮し汗ばんでゆく。胸の谷間が蒸れてきたのが気になって、私は小さく背伸びをしながら言葉を止めた。

 毎晩3セットの腹筋をするときのように、柔らかなベッドから少しだけ上半身を浮かせると、ティーシャツをたくし上げブラジャーを外す。これで少しは涼しくなった。

 拘束から開放された○○は天井を仰ぎ、その先端の○○○はすでに○○している。どさりと再びベッドに背中を預けながら小さく息を吐いていると、銀縁の丸メガネ越しにこちらを見ている彼女と視線が重なった。

「かーわいい」

「抜かしおるわ」

 僅かに頬を紅潮させて熱っぽい視線を私へと向けながら放たれる言葉に、肩を竦めつつそう返した。こうして裸体を晒したのも一度や二度のことではないのによく飽きないものだ。

 シェービングクリームを纏った人差し指が○○を離れていって、いたずらっぽい仕草で内股をこそばゆくなぞられる。

「私は最後まで、何にも演出されることなく、死を死としてただ唐突に終わりを告げて欲しかったの。その死をどう受け取るかは読者に任せて欲しかったっていうか……」

 私は、彼女が化粧ポーチの中から使い捨てのT字カミソリを取り出す様子を眺めていた。ちゃんとムダ毛処理用のものを買えばいいのに彼女はそういうところに無頓着で、出てきたのは青いビニール袋に包まれた男性向けの髭剃りだった。

 クリームまみれの指がぺりぺりと音を立てて袋を開ける様子を見守る。カミソリの刃にシェービングクリームが垂らされ、4枚が重なった刃の奥まで届くように、手に持ったそれを傾けていた。カミソリの取っ手を伝うクリームが、私のへその上にぽたぽた滴ってくる。

「なんかねー、この死でこう感じてくださいって押し付けられるとガン萎えにならない? 死は突然やって来るし、予測もできないし、意味もない。少なくとも直前まではそういう作品として描かれていたと思うの」

 彼女の手が再び○○○へと伸びてくる。しっとりと濡れたカミソリの刃を、ウェーブした体毛がまばらに伸び始めているそこへとあてがわれて、しょりっと小気味良い感覚が伝わってきた。

「前も言ったけど、それってあくまであなたにとっての捉え方じゃない?」

「えー……?」

 冷たい刃がそこを撫で付けてゆく。一回、二回と繰り返されていくたびに地肌の露出が増えていって、デリケートな場所をスースーと空気に撫でられる心地よさが拡がっていった。

「そういう風に感じるのは、あなたが元々持っている死生観に対して作品の結末が沿わなかった。……ていうだけのって分かる?」

 体毛の流れに沿うようにされながら、刃が肌の上を滑っていく。一通り繰り返すと重ねられた刃の間にはぎっしりと毛が挟まっていて、彼女は使い物にならなくなったそれをゴミ箱へと投げ入れる。

「……ん」

 色白の手が、地肌を晒したそこへと乗せられた。ちくちくと剃り残しの残るそこを、指の腹でそっと撫でられる。

「じょりじょりー」

「きっも。……きっっも」

 再びそこから離れていった手が、二本目のカミソリを袋から取り出す。また私のお腹の上で、刃にシェービングクリームをまとわせる作業が始まっていた。

「そもそも天の邪鬼じゃないあなたって? 作者の伝えようとしてる事があってその演出を選んだのよ。自分の望む展開にならないことを考える前に、そうなった理由とか思い浮かべない?」

「……予想外反響があったから日和ったとか?」

「メタ視点持ち込むのは見苦しいからやめなさい」

 上から下へと撫でられていたさっきまでとは逆に、○○の真上からへその方へと向かってカミソリが動いてゆく。

 しょりしょりと小気味の良い音がまた伝わってきた。むらなく剃り終えたそこを、彼女の指先が再びなぞりあげてくるが、さっきのように剃り残しが抵抗になることはなかった。

 彼女はそれを確認すると、ハンドタオルでクリームまみれの部分を綺礼に拭き取り、最後に自分の両手を拭うと、右手を顔へと持っていって眼鏡を取り去った。

「んー……っ」

 仰向けの私へと覆いかぶさるようにしながら、ベッド脇の学習机に向かって手をのばす。

 ――コトン

 たたまれた眼鏡が机の上に置かれる。下半身はこちらと同様で、上半身にシャツを着ただけの状態で、細い体が私の胴体へと馬乗りになった。

 同世代の子らより一回り大きな胸を見せつけるようにしながら、彼女はそこでシャツをたくし上げ、裏返しながら脱ぎ去ってみせた。

 顔がぐっと近づいてきて、眼鏡がないとラインも読めない焦げ茶色の瞳の中に、紅潮した私の顔が映っている。

 甘いリップクリームで艶をだした唇を重ねれられる。タオルで拭いたばかりのさらさらの手が、手汗で湿った私の手のひらの上に乗せられる。

 望み通りに指を絡めてやりながら、私は目を閉じた。



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