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 5話 記者会見

この話は、高橋 光結 視点の話です。

予めご了承ください。



「ツッカーに会いたい」



私が話を聞いたとき、最初に思ったのはそれだった。

私が目を覚ましたとき、私が覚えていたのはトラックに轢かれる直前までだったので、今がどんな状況なのか知りたかった。お父さんとお母さんは、泣きじゃくっていて話をできる状態ではなかったので、親戚の叔母さんに話を聞いた。



叔母さんの話によると、どうやら私は3日間生死の境を彷徨った後死んでしまったらしい。ところが、お通夜を行なっている最中、参列していた男の子が私の入っている柩に手をかざした瞬間、柩が青く光って私が生き返ったそうだ。その後、入れ替わるように今度は男の子が倒れてしまったらしく、救急搬送されたらしい。


(男の子ってもしかして・・・・)



辺りを見渡してもツッカーの姿はなかった。私は叔母さんにどこの病院に搬送されたのかを聞き出すと、白装束のまま式場の出口に向かって駆け出した。



「ちょっと!あなた、そんな格好で、およしなさい。

それに、あなたはまだ危険な状態かも知れないのですよ。あなたも病院にいって検査を受けるべきではないのかしら?」



「いやぁ!私の代わりにツッカーが死んじゃうかもしれない!」



なんだかツッカーが自分の命と引き換えに私を生き返らせてしまったように思えてならない私は、必死になって叫んだ。するとようやく落ち着きを取り戻したお父さんが私を押さえて、



「司君のことは心配だが、やはりそれよりも私達はお前のことの方が心配だよ。一緒に検査を受けに行こう」



と言った。私はそれでも食い下がったけど、他にも人が集まってきて無理やり病院に連れて行かれてしまった。



検査はまる1日かかった。私の心は焦燥と恐怖が募るばかりだったけど、お医者さんの方は終始驚いていた。

陥没したはずの頭蓋骨は完治していて、複雑骨折していた骨も接合、と言うより元に戻っている、といった方が正しい状態らしい。でもそんなことは心底どうでもよかった。



(ツッカーに会いたい。ツッカーツッカーツッカー)



私の頭はツッカーのことで一杯だった。



結局私は、完治はしているが大事をとって入院することになった。ツッカーとは同じ病院だったので、ツッカーの病室と容態を聞くと、ツッカーは栄養失調と衰弱状態で点滴を投与しつつ病室に安置されていることがわかった。私もしばらくは、安静にするようにと言われたけどもう我慢できなかった。



「ツッカー今行くよ・・・」



私達は病室を飛び出し、持てる力の全てを持ってして

ツッカーの病室へ急いだ。その間の1分1秒が永遠に感じた。



「ツッカー!!!!!!!」



病室に到着し、扉をあけるとそこきは痩せこけた見るに耐えない姿のツッカーがベッドに横たえていた。



「つっっツッカーぁぁぁ・・・」



私が思わずツッカーの頬に触れようとしたときだった。



「パシッ」



私の手は誰かに叩かれてしまった。必死すぎて目に入らなかったけど、ツッカーの家族だろうか私はすぐに謝ろうとしたけど



「ご、ごめんなさい!・・・・ってえ?佐山さん?」



「司くんに触らないで!!」



怒りが込められた叫びと睨みつける様な目つきはさながら親の仇と対峙している様だった。けど、今は誰でもいいからツッカーについて詳しいことを教えて欲しかった。



「どうしてツッカーはこんなに・・・・・」



「はぁ?そんなのアンタのせいに決まってるじゃない!司くんがあなたを蘇らせたからよ!」



「じゃあ、ツッカーはこのまま死んじゃうの!?」



「それはないと思うわよ。彼の能力、制約系の能力じゃなかったと思うし」



私はそれを聞きひとまず安堵した。命さえあれば、私が一生面倒を見ればいいから。でも、佐山さんは違うみたいだった。



「よかったぁ」



「はぁ?よかった? あなた本気でいってるの?司くんはね、あなたのために人生を捨てたのよ」



「え?それってどう言う・・・・?」



「分からないのならちょうど時間だし、これを見るといいわ」



佐山さんは呆れ顔で立ち上がると病室のテレビをつけた。



「え?なにこれ? " 都内某所より中継、異能管理局より記者会見 " ?」



すると、画面の端から女性が登場し、記者達がここぞと言わんばかりにフラッシュを焚く。



(なんだろうこの女の人誰かに似てる気がする)



入室して来た人々が全て着席すると司会進行役の男性が記者会見の始まりを告げるべく発言した。



「えー、皆さま本日は、異能管理局局長 佐山 蘭(さやまらん) の記者会見にお集まりいただきありがとうございます」



(やっぱり、この人もしかして)



「ねぇ佐山さん。この人って・・・・?」



「ええ、私の母よ」



確かに佐山さんと同じく美人でなにより一人の女子高校生の母であるのにも関わらず、彼女はとても若々しかった。 けど、次の瞬間 そんな情報は些細なことであると思い知らされる。



「ーー1社につき質問は1つでお願いします。守っていただきたいお願いは以上です。それではこれより、高橋 光結様の蘇生の件及び異能保持者 重命 司についての記者会見を始めます」



私はテレビに釘付けになった。



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