sea side
冷たい波が足をくすぐる。
僕が今立っているのは、どうやら砂の上のようだ。
目を強く開いてみて、そこに黒以外の何も見えないけれど、潮の香りは確かに感じられる。
それならば、と、今度は目を閉じてみようか。
上空には星たちがいた。
数え切れないほどの流星が走り、そして消えていく。
その中にひと際大きな流星があった、もしかしたら彗星だろうか。
水平線からスペースシャトルみたいに勢いよく空を登って、僕の頭上を通り過ぎていく。
僕はそれを眺めていた。
そのとき、両方の手で空色の石を包んでいたことを思い出した。
これを使えばもしかしたら、同じ速度で飛んでいけるだけの力が得られるのかもしれない。
とはいってみても、僕は高いところが苦手。
水の中に手を差し込んで解き、石は手放すことに決めた。
時間はゆっくり、流れている。
空にいる彼らは、僕より何億倍も輝いて、速度を上げて、見えなくなってからもきっと、ずっと先へ行ってしまう。
あの彗星も、じきに水平線に沈むことだろう。
僕はそれを見送るまで、砂の上に立ったままいるはずだ。
いいや、また地球の反対側から上ってくるまで、か。
それまでは星の砂でも集めておこうか。
両手いっぱいに集められたら、また空色の石になるかもしれない。
あれ?
そうだ。
僕がさっき手放したものは、そのためのものだったんだ。
僕は飛びたかったみたいだ、また、飛べなかったみたいだ。
だったらいっそのこともうやめてしまおうか。
そうだね、うん。
それでやめてしまえる僕ではなかったね。
次こそは、君がいるところにまで、飛んでいけるように。
またひとつから、落っこちた星を探そうか。
寂しいことを、忘れるためにもさ。




