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sea side

作者: 羽宮悠夜
掲載日:2019/11/29

冷たい波が足をくすぐる。

僕が今立っているのは、どうやら砂の上のようだ。

目を強く開いてみて、そこに黒以外の何も見えないけれど、潮の香りは確かに感じられる。

それならば、と、今度は目を閉じてみようか。

上空には星たちがいた。

数え切れないほどの流星が走り、そして消えていく。

その中にひと際大きな流星があった、もしかしたら彗星だろうか。

水平線からスペースシャトルみたいに勢いよく空を登って、僕の頭上を通り過ぎていく。

僕はそれを眺めていた。

そのとき、両方の手で空色の石を包んでいたことを思い出した。

これを使えばもしかしたら、同じ速度で飛んでいけるだけの力が得られるのかもしれない。

とはいってみても、僕は高いところが苦手。

水の中に手を差し込んで解き、石は手放すことに決めた。

時間はゆっくり、流れている。

空にいる彼らは、僕より何億倍も輝いて、速度を上げて、見えなくなってからもきっと、ずっと先へ行ってしまう。

あの彗星も、じきに水平線に沈むことだろう。

僕はそれを見送るまで、砂の上に立ったままいるはずだ。

いいや、また地球の反対側から上ってくるまで、か。

それまでは星の砂でも集めておこうか。

両手いっぱいに集められたら、また空色の石になるかもしれない。


あれ?


そうだ。

僕がさっき手放したものは、そのためのものだったんだ。

僕は飛びたかったみたいだ、また、飛べなかったみたいだ。

だったらいっそのこともうやめてしまおうか。

そうだね、うん。

それでやめてしまえる僕ではなかったね。

次こそは、君がいるところにまで、飛んでいけるように。

またひとつから、落っこちた星を探そうか。

寂しいことを、忘れるためにもさ。

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