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魔導の探索者レギの冒険譚  作者: 荒野ヒロ
第十六章 迫い縋る死の腕

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用語・設定集④

第十三章から第十四章までに出てきた言葉や世界観について。

ちょっとした裏話なども。

「至聖所と老神の存在」


 ピアネス西部に位置するコーグ山の中腹に遺跡があり、その場所には精霊と深く関わりのある力に満ちていた。

 石碑には「白き法衣の神」によって「山の中腹に精霊を祀るやしろを建てる」よう言われたとあった。

 レギは白い法衣をまとった老神は「魔神アーブラゥム」のかつての姿だと直感していた。



「ヴラトリアの炎の守り手」


 精霊界で遭遇した精霊騎士にレギが発した言葉。「ガングリウの炎槍」の呪文に登場する精霊の肩書きと考えられえいるもの。

 ヴラトリアが実際なんなのかは不明で、魔法を行使する人物によって解釈が異なる。

 ヴラトリアは「塔の名前」だとする説(あるいは塔の中にある精霊の炎の名であるとも)や、火を司る精霊竜の名前だとする説が濃厚。

「ガングリウの炎槍」は中級に属する魔法の中でも高度な攻撃魔法であり、術者の技量によって槍の形が変化するといった特徴がある。



双神教アーギュレミドラム


 双神教は男女の二柱ふたはしらの神を崇める古代宗教。

「ラトゥヴァレーウ」「ヴァハルアゥレス」といった名前の男神。

「マーリサセレティ」「ミナルディアセルス」などと呼ばれる女神の二柱が信仰の対象であると伝えられているが、名前も統一されておらず、国や地域が違うとその神格の共通点も多様で、多くは形骸化した儀礼の名残りが残されているだけである。



「グリアクサスの子」


 ジギンネイスの神話の中に登場する戦の神グリアクサスの子供。その神の子は巨人であり、圧倒的な力で敵国から国を守ったと神話の中で語られている。

 ただ、このジギンネイスの神話には不備が多くあり、おそらくは複数の吟遊詩人が創作した作り話だろう、というのが現代の学者たちの結論である。



「魔女と妖人アガン=ハーグの関係」


 魔神ツェルエルヴァールムの魔女と、魔神ベルニエゥロの妖人アガン=ハーグは対立関係にあるが、それは主(魔神)たちが対立しているからという訳ではなく、魔女と妖人たちが勝手に対立意識を持っているのが原因。

 本質的な魔術の道の方向性の違いからくる対立構造が原因とも言える。



「レファルタ教の宗派」


 レファルタ教は大きく三つの宗派に分かれている。


 ネシス派。

 これは古くからある教理に従うもので、魔術や魔法にはある程度の制限を設けている。

 魔術師や魔女にもある程度寛容だが、不正をした魔女などに対する処罰は重くなる傾向にある。


 マギビス派。

 魔術師や魔女の存在も認め、共に生活する事もいとわない寛容な宗派。


 アドン派。

 最も危険な思想を持つ宗派で、魔術師や魔女を邪悪な神の使いとみなしている。

 ジギンネイスの東部を支配しており、他の土地への拡大も進行中。



「世界の呼称」


 ゼネス、もしくはゼヌファスなどと呼ばれる大地(星)。

 古代世界の記録の中に次のような言葉がある。


「この世界は指輪に付いた丸い宝石の様な物。指輪が回転し、この星もまた巡る。回転する(ゼーヌ)軌跡(ファェス)それが世界の形なのだ」


 ここから世界は丸く、空に浮かぶ月と同じく大地は丸いのだと知識人は理解している。

 しかしそれはあくまで知識階級と呼ばれる貴族などの、教育を受けた人たちの間での事であって、ゼネスやゼヌファスという呼び名が一般的である訳ではない。



「神が送り込む神獣」


 石化した樹木からレギが読み取った影像の中に現れた、巨大な両生類の怪物。それは頭の上に光輪を乗せ、神の使いである事を示していた。

 その獣がなぜ蜥蜴とかげ亜人を攻撃したのかは不明。

 この獣が吐き出す煙を浴びると、生命体は石に変えられてしまう。



幽顕の園(ベルベダレーゾン)


 死者の魂を浄化し、新たな命を授かって生まれ変わるか、あるいは冥府に落とされるかする、その選定をする場所。

 死者の魂だけがあるのではなく、生きている者の魂が樹木の形を取って植えられている。

 あらゆる世界の狭間にある領域で、物質的な世界でもあり、霊的な世界でもある。

 この「庭園」を管理する存在自体も曖昧で、冥府のことわりに準じてはいるが、個人的な意識も持っているかのように振る舞う。



「暦」


 暦は国によって違うものもある。

 レギが使っているのは星の海(宇宙)の星々を月日に割り当てたもの。

 星の多くは金属や宝石などの名称が当てられている。


 一月「初月冠」


 十二月「氷星末」



「謎の男」


 アウスバージスの居城にある玉座に座っていた大柄な男。

 それは「ただの肉体」であるらしい。その男の魂は冥府に囚われているのだとか。

 いずれにしても尋常でない存在であるのは間違いない。



秩序の兵団(レイザース・レグリア)


 冒険者が言う「秩序団」の正式名称。

魔狩り(ペイルダー)」とは南方で生まれた言葉で、どちらかというと侮辱的な意味合いが含まれた響きのある言葉に近い。狩りで一匹も獲れなかった者が「空狩り(ペイリーン)」と呼ばれるのと同じ語感からきている(「空でも狩ろうとしていたのか?」程度の意味)。

 神聖騎士団パラセラークとは秩序の兵団麾下(きか)の部隊であり、魔物の討伐から異端者の捕縛まで、レファルタ教の守護者としての活動をおこなっている。



巨人の剛腕(ルガント・ガディス)


 地属性の攻撃魔法「巨人の腕」とは異なる、レギが創り出した魔法。

 あくまで神話上(空想上)の巨人の腕を現出させるという魔法だが、その腕力は地属性魔法の巨人の腕よりも遥かに高く、術者の意のままに操る事ができる。



「業魔神斬り」


 業魔斬に魔神の力を乗せた斬撃と魔力の爆発を起こす攻撃方法。

 業魔斬と違い、周囲の魔素を利用せずとも放つ事が可能。



「十三章から十六章に出た古代語(古代魔術言語)」


 苛烈なる(レイン)神の(デグライ)

 列柱の王(ギヴルスージァ)

 魔導(ルェヴァフェルドゥォ)

 魔道ムァゥルグァーフ

 天兵パルシャーティ

 灰より立ち(フィエナヴ)上がったもの(ディァティス)

 光輝の影(アゥシュファーズ)

 星界虚空アゥティスアヴェァータ

 神の影(ディグラース)


 古代語は"神の言葉"を模したものであり、古代魔術言語はその古代語よりもさらに深く、神の言葉を再現しようと迫って生まれた。

 それゆえにこの言葉を使う者は、霊的な変容を起こす可能性がある。

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