用語・設定集③(第八章~第十二章)
「南の文明国ルシュタール」
ラニ油を使った料理や牛酪を使用した料理が多く、食文化の発展もめざましい(美食家パーサッシャの誕生した国でもある)。
芸術や学芸においても大きな発展をした国だが、なによりも軍事的な支配力が大きな国だった(現在は落ち着いている)。
国を挙げて「借り馬屋」や「両替屋」などの施設もある。
「魔神ネブロム」
魔神ネブロムは元神の使いで、<摂理の執行者>と呼ばれる存在。物質界に適応するには力が足りず、消失の瀬戸際まできていた。
「ヘギアの魔(追記)」
ヘギアの魔とは神々の使いが使役する代行者とも言える存在。多くは人に有益であるが、同時に人間にとって危険なものでもある。この代行者が担うのは、神の悪の側面でもある。
善性のみではない神の別の側面を請け負う存在である。
「ルシュタールの勇者」
魔物の襲撃が増えたルシュタールで選ばれた勇者の少年シュバールト・マルカン。彼は「勇者託宣」によって選ばれたとして、国の中で特別な存在として扱われている。
だがその勇者託宣とは、魔導儀式によって神の力を取り込んだ存在として造られた、人工的な勇者である。
この勇者の少年は神気を使っての攻撃ができ、強力な破壊力を持った攻撃をおこなえる。
「ハイレンシア・ティエルアネス・ベスターギュント」
魔神ベルニエゥロの配下である多頭蛇の下半身を持つ女魔神が、魔神となる前の人間だった頃の名前。彼女はルシュタールの女王であった。
強大な魔力を持って生まれ、高い知性と己の望みのままに行動する性格を持ち、かなり周囲の権力者たちから疎まれていたらしい。
ティエルアネスという名前は彼女の魔法使いとしての名前。
「邪神パーサッシャ・グルティマ・アピポス」
パーサッシャ・ベレトゥアリが邪神の力によって邪神化した存在。パーサッシャ=アピポスは、魔物や人間を喰らい、腹の中にある「卵」を孵化させる為に利用されていたと思われる。
アピポスとは古いルシュタール語で「暗闇の虚」や「暗闇の渦」を意味する神話上の蛇(竜)の名。
どうやら邪神に協力した魔術師がパーサッシャを陥れたらしい。
「反面教師の冒険者スカラス」
スカラス以外にもスクアロス、スクロェスなどと伝わっている。──地方によって発音が異なる。
話の内容も様々で、とのかくこの男がやらかした無様な顛末について、いくつもの失敗談が伝えられている。──おそらく複数人の話がこの男のものとして語り継がれているのだろう。
「傭兵団『雷鉄狼』」
過去にレギが行動を共にした傭兵団。団長はすでに引退しているが、傭兵団を抜けたラゥフという男が「紫電の旗」という傭兵団を立ち上げ、ルシュタールで活動をしている。
団長だったケディンはベグレザで領主となっており、都市から離れた場所で隠居生活を送っているらしい。
「魔精霊」
精霊が負の力の影響を受け、敵対的な精霊となる現象。邪精霊などとも呼ばれる。物質界に留まる者が多く、物質界にあるなんらかの要因で精霊がこのような状態になると考えられる。
もともと精霊は人間に友好とは限らないが、魔精霊は人間を完全に敵として認識している。
「破壊天使」
八枚の翼と強大な力を持つ天の使い。
魔神アウスバージスから語られた神の使いの名。
どうやら神々も魔神の存在を危険視し、こうした天使の軍勢を送り込んで来る事があるらしい。
「星霊界」
魔術用語。主に上位存在に近い領域の事を指し示す言葉だが、詳しい事は分かっていない。だが精霊もその言葉を使用する事からも、魔術師と共有するそうした霊的な世界は実在するようである。
魔術師にはこの星霊界は魔法の媒体となるような、象徴的な力に満ちた領域と考えられている。
「精霊の主」
精霊たちの王──または女王。
その名は誰も知らない。
精霊は世界の(植物を中心にした)生命の原理を司るが、その本質は精霊界にあり、現世に直接力を振るう事はないと考えられている。
「精霊界」
精霊の存在する世界。
幽世との接点を持つ事もあるが別次元の世界。しかし物質界とも繋がりを持つ世界である為、魔術的には物質界に面した──影のように近い領域とも考えられている。
多くの属性魔法はこの精霊界の力を利用しておこなわれる(直接この精霊界から力を引き出すという意味ではない)。
「海の神『ペルラト』と『セドゥマー』」
ペルラトは男性。セドゥマーは女性。つまり男性型の海神と海の女神の違い。ペルラトの方はいかにも民間伝承程度の(作り話的な)要素を持つ神。男性のペルラトは主に漁師の信仰対象としての側面が強い。
セドゥマーは海の恵みを齎す女神という役割を持つ。
セドゥマーについては文献に「実在」をほのめかす事が書かれており、それをレギは目にした事がある。──この海の女神は大きな女性の上半身と、大蛇の下半身を持っているとされる──
「転移の扉」
転移魔法の魔法名。
レギは魔神ラウヴァレアシュが作製した次元転移魔法も覚えているが、「転移の扉」は空間を跳躍する魔法で、次元層を移行するよりも高い技術が必要な魔法である。
空間を越えるというのは高度な技術が必要(魔法では特に)。場所と場所を繋ぐ経路を予め設定していても、術者に重い反動がのしかかる事も。だから転移門は、大がかりな術式を設定した建造物に役割の大半を担ってもらうやり方のほうが安全。
「古代神」
異端の魔導師ブレラの口から出た言葉。
魔術の古い体系に関わる神の総称と考えられるが、ブレラは独自見解として、別の世界の神などもその中に含まれると考えているようだ。
魔術の儀式で干渉(召喚)すると、その中で儀式的な言葉のやりとりはおこなえるが、古い神の多くは人格にあたるものが無く、象徴的な存在(影)のように振る舞う者が多い。(機械的反応しか返せない)
「ゼスロア」
古代の支配者の一人。
ある国の王であったらしく、強大な力を持っていたが、女帝エイシュラに敗北したとされる。
謎の多い古代の情報の中で、エイシュラと共に現代にも名前が伝わった数少ない人物(ただし、ゼスロアに関する文はある石版にしか残されていない為、この王に関する情報はほとんどない)。
「魔術師結社」
魔術師の集団。魔術師の多くは個人主義だが、希に集団を形成し、ある目的を掲げて活動する者が現れる。
どれくらいの規模か、あるいは複数あるのかも不明。なぜなら彼らは世間から隠れて活動するものだから。
「上位世界(高次領域)」
神々が存在する領域。高次元にあり、霊的な、存在の根幹を持たぬ者は侵入する事もできない領域。
ここには光と闇という単純な対立的構造(のように見えるもの)があり、広大な闇の中に一際光り輝くものとが激しく反発し、入り乱れる混沌が存在する。
低次元の物質界には幽世や冥界といった領域が近いが、冥界などは物質的でありながら霊的な場所でもある。そうした曖昧な質量と霊質の混合が混ざり込む場所とは、上位世界は構造的に異なる。
「魔法の心像集中」
魔法の集中をおこなうのは現世の肉体ではない。厳密に言えば脳で想像する事柄を、上位の魔力を有する霊的体に(魔力の経路を使って)変換し、そこで魔力を使用する集中をおこなっている。
魔法への集中とは、次元の異なる霊的体(魔力体)が魔法を制御、掌握する事で、初めて効力を物質界に発現させられる。
──人間の体は複数の霊的な体が重なり合っている。魔力の体はその内の一つ。
最後の魔法については、感想でいただいたのでおまけ。
よくなろう小説などで「魔法は想像力で強くなる」ってあるけど、いくら肉体(脳)で想像力を正確にしても、魔法は強くなったりしないのが私の考えですね。原理的に物質界と微妙に異なる力を使うので。




