用語・設定集②(第四章~第六章)
「聴死」
死の危険を察知する霊的な感覚。こうした感覚は、優れた戦士が身につける事もある。
「女帝エイシュラ」
魔神ラウヴァレアシュとベルニエゥロの会話で登場した古代の女帝の名前。今後、この人物に関する情報がたびたび登場する。
「異端の魔導師ブレラ」
レギが最も手本とした魔導師。彼は『魔導の黎明』という書物を書いた事で、レファルタ教を中心に弾圧され「異端者」として王宮からも追放された。
ブレラは、その存在の根源的な部分を転生によって復活した魔導師であり、その元々の存在である魔術師が死霊の王として復活し、それと対峙したブレラは姿を消した。
「魔導人形・魔法生命体」
魔導の力(魔術や魔法を使う技術)で作り上げられた人形。
魔法生命体は錬金術によって生み出される、魔力などを使って創られた存在。技術的には後者の方が難しい。
「死王の魔剣」
レギの持っていた魔剣は、死霊の力を奪う事で力を得る魔剣だった。「死霊の王」の力を取り込んだ事で、青紫色の刃を持つ、強力な魔剣へと変化した。
この魔剣の力で、殺害した者を一時的に不死者として操る事も可能。
「死の魔導書」
冥界に関わる秘技が書かれた魔導書と言われているが、死に関係する危険な魔術や魔法に通じる為、現世での行使は危険。
冥界神の娘が持っているのは「写本」であり、本物の在処は不明。
「へギアの魔」
不死者の魔神ヴァルギルディムトとなる前の存在は、そう呼称される者だった。
(ヘギアの魔についての情報は、八章で開示される)
「黒蜘蛛の守護者」
冥界神の娘がレギに与えた古代の魔術によって作り出されたもの。無意識の防衛本能の具現化であり、魔術師の精神的な世界を守る霊的な存在。
魔術師によりその形態は、さまざまな形をもって生み出される。
「幻霊都市ソルムス」
冥府の上空に逆さになって存在する都市で、冥界神の娘たちが造り上げた街。冥府の上空にはほぼ噴煙のような雲に覆われているが、まれに晴れる時があり、そうした状態の時にソルムスの街を歩いていると、冥界に引きずり込まれてしまう。
この街には非業の死を遂げた魔術師や魔女が多く住み、死後も魔術の研究をしたりするのだとか。
「魔神オグマギゲイア」
シン国にある「禁忌の地」を彷徨く魔神。日の光の中では活動ができず、夜になると現世に現れ、日が昇ると幽世に帰る。
大地の力の暗部を司る神。闇夜と死の古き魔神。この魔神の力を使って「闇の精霊」といった存在が創られた(レギはこの魔神から結晶を入手していたので、それを使って闇の精霊と契約を結んだ)。
「硬貨」
各国のお金の単位について。(まだ出てない地名、お金も書かれています)
ピアネス=ピラル。
ベグレザ=ジュエラ。
フィエジア=オラス。
エンシア=マカー。
ジギンネイス=スフォラ。
ウーラ=シフォン。
シン=ガイン。
アントワ=エナス。
シャルディム=レザリア。
ルシュタール=ルートベリア。
ウルド=シルマ。
ゼーア=ジオ。
ディブライエ=プロマー。
ブラウギール=テジン。
キオロス島=なし?(ジギンネイスの属領。物々交換が主流。一部ではスフォラが使われている)
「攻魔斬・業魔斬」
攻魔斬は体外に放たれる気を陰性質に変換し、外部にある魔素を武器に引き寄せ、攻撃に魔素による攻撃効果を加えるので、魔法に近い攻撃が可能になる(体内の気をも変化させる事になるので、危険が伴う)。
業魔斬は、武器に引き寄せられた魔素に陽気を打ち込み、反発力を発生させて敵に爆発力として撃ち出す剣技。──爆発力と斬撃を放つ強力な攻撃だが、攻魔斬よりも繊細な気の制御が必要。
「大陸南方の宗教観『シャーディア教団』『モルギア』」
自然信仰や精霊信仰といった、素朴な信仰形態が多い南方の宗教観で、古き神は土地や地域を司る神が多く、根強く残る風習などにも、それらの神の名が登場する。
こうした古い神々、土着神などへの信仰の事を、北側の学者は一神教と比較して「モルギア」(古く、数多くの神々を持つ信仰形態<多神教>を指す言葉)と呼んだ。
(しかし、しだいにモルギアとは、古い宗教観を容認する者を蔑視する言葉として、使用されるようになった)
北側から広まりつつあるレファルタ教に対抗する形で、「シャーディア教団」というものが形成され始めた。そもそもシャーディアという言葉は「精霊信仰・呪術継承」といった意味を表す言葉で、本質は、呪術継承を目的としている組織。
「蛮族領・蛮族大陸アディルジャ」
ノーアダリス大陸の南東にある大陸。文明的に劣る人の暮らす地で、北方の人々は船で南下し、蛮人と呼ぶ彼らを奴隷として自国へ送っている。
ルシュタールは一部の土地を占有し、属領的な扱いにおき、表面上は友好的な関係を築いている。
「精霊交信」
魔術の一つ。精霊魔術と言われる技術で、それぞれの属性を通じて、術者と術者の間で交信をする技術。
自らの使役する精霊を送って、直接会話をするというのは、相当な技術が必要。たいていは精霊に文字を書かせたり、なんらかの手段で意思疎通をする事が多い。
「霊獣の楽園」
魔術異界、疑似異界と呼ばれる領域。魔獣や霊獣(鳥、虫なども)が存在する、魔術によって創り出された空間。
霊的な肉体を持ってこの領域に来る。精神世界にある半物質的な領域で、ここを探り当てた者なら入る事は可能だが、多くは魔術師や魔女によって導かれ、霊獣の楽園に来るのが通例。
「○○の闘鬼」
人間と獣を組み合わせたような見た目をした化け物。その多くは巨体で、三メートル前後はある。一説には邪神が創造しているらしいが、事実かは不明。
猪豚、牛、犬、狼、豹、犀──様々な姿形のものが存在する。武器や防具を装備しているものもおり、個体によっては高い知性を持っている場合も。
「古代魔術・魔法」
古代魔術言語の習得により、レギは霊、肉の両方に影響する魔力回路が変質(調整)し、変化を促された。これからも分かるように、古代と現代の魔術や魔法は、著しい隔たりがある。
古代魔法には召喚魔法に近いものが多く、魔法を習得するにも、膨大な魔力以外に、精緻な魔法陣や術式、儀式を必要とする。その反面、凄まじい威力を持つ魔法が多い。
「光体<アウゴエイデス>」
神の躯を構成する霊質。この霊体には「天上の防壁」とでもいう防御能力を持っている。それは波動(波長)を形成し、魔法などの外部からの攻撃の威力を弱めたり、無効化する。
「虚兵<ゴーレム>」
魔法によって動き出す「魔導人形」の一種だが、主に戦う目的で造られた物を言う。鎧を身に着けた物や、石、樹木、骨などを元に造られた物が存在する。
「魔神アーブラゥム」
水と植物に関する力を持つ神の使いだった存在。水との関わりを通じて、ツェルエルヴァールムとも親交がある。
人間との関わりの中で「徒労」を感じたアーブラゥムは、隠居生活を送っていた。
また、魔神ベルニエゥロに力を奪われた過去があるものの、その事を気にする様子もない──大らかな(無気力な)魔神。
「ミラスアセレト」
魔神アーブラゥムの口から出た上位存在のものと思われる名前。このミラスアセレトの暴走から多くの上位存在の失墜が始まったと語られた。
「エィマアニュス神霊」
エィマアニュスとは「人と大地に関わりを持つ存在」を意味し、アントワ国などの南方にある宗教観の中にある、複数の神々を指し示す。
南方人にとって身近な神々を祀る場所が「神霊の家」であり、こうした古い、無秩序な状態にあった複数の神々を取り纏めたのが、戦いを司る神であり、そうした宗教的な教義や、考え方を造り出したのが「シャーディア教団」になる。
「マハラ山脈南東にある禁忌の地」
マハラ山脈はアントワ国とシャルディム国の間にある、北から東に向かって延びる山脈。その南西には広野が広がり、そこに足を踏み入れると、帰って来れないと言われている。
そこには足を踏み入れた者の認識を狂わし、迷わせるような魔法の領域がいくつも仕掛けられ、その土地の中央付近に、魔法で隠された街があった。
この街は「第零章」の舞台となった「黒曜石の館」があった古代都市から、貴族たちが逃げ出して造り上げた街。
天使と考えられている上位存在と接点があり、魔法や魔術に優位性をもった人々が多かったと考えられる。
「復讐者の神」
レギを追い詰めるほどの技量を持つ戦士ディオダルキスを、魔人へと変えた魔神。
魔神ベルニエゥロの配下であり、力としては中級くらいの上位存在。呪いや霊魂に関する魔術を扱う魔神で、謀略を巡らす邪悪で危険な存在。
人間に対する残虐さは、神への復讐心を焦がすあまりにおこなわれる代償行為のよう。
ベルニエゥロによって粛正されているはずだが──
「神霊領域」
レギが天使から奪った次元領域。幽世と現世の狭間を浮遊する領域で、地上のみならず天上の存在からも隠されている。上位存在といっても、この神霊領域を探すのは困難。
魔術の庭とは違い、物質的な要素もあり、ここに入るには現世の肉体が必要。──つまり、身体ごと転移して入らないといけない。
この領域は物質界と神霊──つまり、上位存在の領域にも近いという不均衡な場所で、その事により、レギはさらに他の魔導師とは一線を画する存在になる。




