簡単なプロローグ。
反応がよければ続けるしなければ続けません!
よろしくお願いします!
☆プロローグ
「うーん、男の子かぁ。かわいい女の子がよかったなぁ。二〇連ガチャ絶対確率絞ってるわ。そうに違いないわ」
聞き覚えのない女の子の声が聞こえて、俺は目を覚ました。
何だろう、ふわふわした雲みたいなところで寝てたみたいだ。
ここはどこだ? 俺は確かに家のベッドで寝たはずなんだけど。それともまだ夢を見てるんだろうか。
「ま、非レアキャラを使いこなしてこそ玄人みたいなとこあるし? 要は腕の見せ所な訳よね。かわいい女の子がよかったけど」
声は聞こえるが女の子の姿は見えない。どこから声が響いているのかも分からない。
見渡せば辺り一面にどこまでも雲が広がっていた。
「さーて、スキルは何を振ろうかな。男の子だしやっぱり剣術? いやいやここはあえての弓兵?」
「あのー、ちょっとお聞きしたいんですけど」
「ひゃわっ!? 魂が喋った!?」
そう言われて、俺は自分の手を見た。普通だ。いつもと同じ自分の手だ。
「あちゃー、前世の記憶が残っちゃってるタイプかぁ。きみ、名前は?」
「夏野翔馬です。あなたは?」
「私? 私は天使みたいなものよ。そんな事よりえーっと、翔馬くんだっけ。翔馬くんは何か特別なスキル持ってたりする?」
「スキルっていうと、技術的な何かですか」
「そーそー。剣が使えるとか、弓が撃てるとか。あ、でも銃はだめよ? あの世界にないから」
「あの世界」
何だろう、夢にしてもツッコミどころが多過ぎる。俺はこんなに中二心を燻ぶらせていたんだろうか?
あいかわらず自称天使の姿はどこにも見えない。姿の見えない相手と話していると自問自答をしているような気分になる。
「武器なんて使えないですよ。あ、革包丁なら使えます。あと裁ちばさみとか」
「へー、じゃあ翔馬くんは魔物相手に裁ちばさみで挑めるタイプなんだ」
「そんなの無理ですよ! え、俺は魔物と戦うんですか!?」
「そういう訳じゃないけどー? でも裁ちばさみを武器扱いしてたしいけるのかなーって」
「…………」
何となく分かった。この自称天使は嫌なやつだ。
「うん、今調べた。要するに翔馬くんは生前クラフト系のたまごだった訳ね。あ、でもデビューしてるしたまごでもない? ひよこ?」
「……何でもいい。おやすみ」
「前世の記憶引き継いでると面倒なのよねー。自制心が働いちゃって人間っぽい魔物殺せなかったりするし。無難にクラフト系のスキルでも振っとくかぁ。よし! ではれっつスキルガチャ!」
夢の中で眠らないと現実で目覚められないと相場は決まっているのに、自称天使がうるさい。
だけど雲みたいなこの絨毯はとても寝心地がいい。すんなり眠って起きられそうだ。
「うん? スキル『合成』? こんなのあったっけ? うわ説明文なっが」
「ぐーぐーぐー」
「わお! レア度SSSだって!! ちょっと翔馬くん聞いてる!?」
「ぐーぐーぐー」
「ちょっと天使が話してやってんのよ!? 寝たふりしてんじゃないわよ!」
「ぐーぐーぐー!」
「……ふーん、そういう態度取っちゃうんだ。別にいいわよ? 要らないスキルも一緒に付けちゃうんだから! それじゃあ元気に! いってらっしゃーい!」
こうして俺はようやく目を覚ました。
ただしそこは見慣れた俺の部屋ではなく――
見覚えのない、森の中だった。