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腕輪に転生したよ

 うっ、動けない。


 動けないどころか、何も見えない。


 暗い。


 真っ暗だ。


 どうなってるんだ。


 ここは何処なんだ。


 OK。状況をいったん整理しよう。


 受験勉強を死ぬほど頑張り大学に入学した俺は、たまりにたまったストレスを発散しようと新入生歓迎コンパに参加した。調子に乗って大量に酒を飲んだ俺は……。


 そこから先が思い出せない。


 酒を飲んだ後、どうなったんだ?


 意識は覚醒している。


 でも、体は動かない。


 四肢麻痺になって、そのうえ視覚障害になったのか?


 うわ……泣けてくる。でも、何故か涙は出ない。


 ん? 光が見える。


 よかった。目は見えるみたいだ。


 辺りが真っ暗だから、光が余計に眩しく見える。


 光が徐々に大きくなっていく。


 違う。光が近づいてきているのか。


 この光、身長170cmの俺より大きいぐらいのサイズだな。


 うわっ、眩しっ。


 なんというか、神々しい感じがする。


「よう」


 フランクな声が聞こえて来た。友達かよ。


 光が俺に話しかけているのか?


「そうだYO。ちなみに神だYO」


 チャラいな、自称・神。


「お前死んだから」


 ああ、死んだのか。って、マジかよ。


「マジで、出島、マジ出島」


 それで、ウザ神様、何の用?


「死んだタイミングが素晴らしかったから、お前、腕輪に転生できるよ」


 嬉しくも何ともないな。腕輪て。


「強いよぉ。チートだよぉ」


 強くても腕輪だろ? 何も見えず、誰とも喋れないのは辛い。


「ダイジョブよー。装備者とおしゃべりし放題よー」


 ウザ神様、さてはキャラ固まってないな。


 装備者が気にくわなかったら、どうするんだ? むさい親父とか、いけすかないチャラ男とかに装備されたくないぞ。


「わがまま坊やめ。お前が気に入りそうな人が装備するように、テキトウに調整するかねぇ」


 お、マジか。


 そしたら、可愛い女の子でお願いします。


「それが人にモノを頼む態度かね」


 急に偉そうな態度になったな。でも、確かに、そうだよな。


 すみませんでした。神様、お願いします。可愛い女の子が装備する腕輪に転生させてください。


「その願い、叶えてしんぜよう」


 フッと光が消えた。



****************************



 雨の音が聞こえる。


 周りはどうなっている?


 床は天然の石、上は天然の石壁、右も天然の石壁、左も天然の石壁、後ろも天然の石壁、前は光。


 どうやら洞窟の最奥のようだ。


 時間は分からないが、光が見えるから夜ではないな。


 というか、聴覚も視覚もあるのか。


 自分の姿は見えるのか?


 見えた。しかも俯瞰的に。


 俺は、禍々しい深紅の腕輪のようだ。


 禍々しいが、どう見てもレアリティが高そうだ。


 ゲームやラノベが好きだったから、なんとなくワクワクする見た目だ。受験勉強の間はゲームをすることもラノベを読むこともできなかったなぁ……って、それはいいか。


 これぐらい豪華な腕輪だと、ゲームでいうと、ラスボスのステージの宝箱から出そうな感じだな。


 成人男性の手首が覆えそうな程の大きさで、意匠は精緻だ。しかも、腕輪全体が赤色に薄く発光している。


 と、こうして俯瞰的に自分の姿を見ている訳だが、なんで見えるんだ? 人生、不思議がいっぱいね。人じゃないけど。


 転生ものでありがちな、自分のステータスって見れるのかな?


――――――――――

名称:なし

種族:悪魔の腕輪

スキル:炎装 Lv.1

――――――――――


 見れたよ。


 自分の姿を俯瞰的に見れるのは、スキルじゃないんだな。じゃあ、種族の特性か?


 いやいや、腕輪が種族って、おかしくないか。


 ウザ神に、もっと細かく聞いておけばよかったな。


 それより、可愛い女の子はまだかな?


 俺を装備してくれる可愛い女の子、はやくカモーン。


 童貞の俺を装備してくれる優しい女の子、プリーズ。


 女の子と喋る機会がほとんどなかった哀れな俺に慈悲を与えてくれる女の子、来てくださいお願いします。


 なんか泣けてきた。


 こんな内面がキモい腕輪、可愛い女の子が装備する訳ないよな。


 やっぱり今世もモテないか。


 はぁ……


 しょげてても仕方ないな。


 ここでじっとしているのも何だし、動いてみるか。


 って、自分で動けるのか?


 コロコロ……


 動けたわ。


 自分の意思で転がれるのね。


 万能不思議腕輪かよ。ウザ神の言う通り、確かにチートだわ。強さはまだ分からんけど。


 さて、とりあえず洞窟の入り口の方まで行って見るかなぁ。


 コロコロ……


 凸凹していて転がりにくいな。苔でたまに滑るし。


 コロコロ……


 移動遅いな。赤ちゃんのハイハイよりは速いぐらいかな。


 シクシク…….


 コロコ……あれ? 誰かが泣いてる?


 ボロボロの革鎧を着た中学生ぐらいの少女が、体育座りで泣いている。髪は黒く、ボサボサのボブカット。俯いているので、顔は見えない。


 可愛い女の子来たー! とは、ならないな。


 1人で洞窟で泣いているなんて、どう見ても訳アリだ。


 そんな様子を見て下心が出る程、俺の心は腐っていない。


 ここがどこか、分からない。腕輪の俺が力になれるか、分からない。


 でも、泣いてる子を放っておくことなんてできない。


 俺は、コロコロ転がりながら女の子に近づいていった。


初投稿&見切り発車です。

文章力は低いですし内容も拙いですが、完結させることを目標に頑張ります。

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