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第2次魔術革命編

各節の題名をあとで変更したい。

みんなの希望があればその名前に変えたい。


誤字多いので、申し訳ない。

違和感ありましたらコメントください。

0 プロローグ

(案)「これは異世界への転生とういうべきなのか。何もできん。」


異世界にいけないかなぁ。

そんなことを子供の頃はよく考えていた。

 俺は城崎涼。高校2年だ。まあ、平凡な学生のつもりだが、昔は魔法の世界に憧れている夢見る少年だった。ゲームが好きで、冒険できる世界に憧れていた。当然だけど、異世界に行くなど無理なことなど、とうの昔に知っている。自分の短所はよく物をなくすこと。長所は大事な物はなくさないこと。でも、本当によくなくすのだ。

「あ、やべ。」

さっそく、化学の教科書をなくした。おそらく、ロッカーか家のどこかに置いてあるだろう。それに、化学先生、ときどきしか教科書使わないし。そういえば、あんまり教科書を大事に思ってなかったもんな。

 高校生活は楽しく送っている。友人も多くもないけど、少なくはない。文化祭は割と盛り上がったし、修学旅行も楽しかった。3年生は受験まっさかり。その煽りをうけて、先生たちは早めの受験準備を進めるよう誘導してくる。

そこはまあ、悩んでいる。もちろん、受験勉強を始めたやつもいる。ただ、早めに受験勉強をやって、途中で失速するのも困るしなと思う自分もいる。まあ、まだ早い気がする。でも、来年はもっと早くから勉強しておけばよかったとか思うんだろうなとも感じてもいる。

1月のからっ風が窓をガタガタと鳴らしている。化学の授業がチャイムと共に終わった。今日の内容は酸化還元反応というやつだ。文系志望の俺にはよくわからなかった。


 食べ物降ってこないかなぁ。

 そんなことを毎日考えていた。

 俺はドルネア・ノーベル。17歳だ。まあ、金欠な魔術師見習いではあるが、昔は魔法の世界に憧れている夢見る少年だった。自分には才能があると信じ、一生懸命勉強した。当然だけど、英才教育の受けた貴族にはかなわないことなど、とうの昔に知っている。自分の短所は欲しいものが手に入らないこと。長所はよくわからないものが手に入ること。

「あ、いて。けっこういたっ。」

さっそく、空から何かふってきた。おそらく、食べ物ではないだろう。今、俺が欲しいものだからな。そういえば、何が降ってきたのだろう。屋上で目をつむっていたからわからなかったけど、結構固かったもんな。

 学院生活は貧窮であえいでいる。友人は少なくはないけど、多いとは絶対言えない。学術祭は底辺の扱いを受けて悲惨だったし、遠征授業は実力の差を見せつけられたけど、それはそれでそこそこ楽しかった。卒業間近の先輩たちは気が立っている。今後の人生のステータスがかかっているからしょうがない。その煽りをうけて、とばっちりを受けないためにも、屋上に避難していた。

 そこはまあ、悩んでいた。もちろん、この寒い冬に屋上に避難すべきかどうかということだ。ただ、今日は日もでているので大丈夫だと思っていたのだ。まあ、まだ早い気がする。でも、教室にいたらどんな実験に付き合わされていたかと思うと寒くてもよかったと感じてもいる。

 先輩たちの恐怖にガタガタと怯えている。お昼を告げる鐘が鳴った。今日は何とか逃げ切ったというやつだ。俺は空から降ってきた物体を見つけた。屋上の端まで転がっていた。

「・・・?」

それはそこそこ厚手の本で、見慣れない文字だった。読めない。魔術師志望の俺にはよくわからなかった。

「古代文字かな。エトに聞くか。」

エトは俺の数少ない友人だ。同じ平民出身ってこともあり、仲良くなった。学院に入って同じように挫折も味わった。ただ、エトは俺と違い、魔術師以外の自分の道を見つけてくれた(・・・)。

考古学。古代魔法などの解読を行い魔術の歴史を調べている。古代魔法といっても、現代の魔法に比べたら役に立たない。謎の用語や儀式めいたものが多く,非効率な魔法が多い。所詮は古代の魔法なので、現代魔法の効率には勝てない。ただ、現代の魔法の成り立ちがわかり、歴史としての面白さはある。言い換えれば、金にならない人気のない分野だ。

「あ、いたいた。ドルネ。」

「おお、丁度いいところに。」

噂をすればエトだ。相変わらず男子にしては背が低い。女子と同じくらいだ。

「さっきの授業いなかったけど、大丈夫なの?先輩たち探してたよ。」

「あれは、実験台にしたいだけだろ。」

「そうかもしれないけど、来年研究手伝ってくれる後輩がいなくなるよ。魔術科の伝統でしょ。」

「いいんだよ。そもそも、平民の俺の研究に付き合ってくれる貴族様がどこにいるんだ。」

「・・・」

エトは無言だった。つまり、自分の発言が正しいと認めた証拠でもある。

「まあ、いいさ。今日はこれで帰る。エト、一緒に帰るだろ。」

「うん、予定はないからね。」

「よし。じゃあ、ちょっとお茶に付き合えよ。おごるから。」

「めずらしいなぁ。ドルネがおごるなんて。金欠でしょ。」

「まあ、ちょっと、見てもらいたいものがあるんだよ。」

俺はさっき手に入れた本を胸にしまい、校舎内に入らず、エトを抱え浮遊魔法で店まで向かった。


「ご注文はどうされますか。」

ちょび髭の似合わない店長ではなく、若い女性だった。

「エトは紅茶で、俺は水で。どっちも普通で。」

「かしこまりました。」

レンガと木造のこじんまりとした観葉植物の多い喫茶店で、なにより安いのがいい。加えて、今日は客がいない。

「予想はしてたけど、品質の普通はいいとして、君は水なんだね。」

「おうよ。いつもは雨水を浄化して飲んでいるから、本当は店で飲む気にもならないんだけどさ。」

「はいはい、わかったよ。君の辛さが染みるよ。」

「別に辛くはないぞ。」

「たまには辛がれ、まったく、久々に来たと思ったら喫茶店に水だけ飲みに来るとは。」

「おおオヤジ。ひさしぶり。」

子供の頃からの付き合いで、親のように面倒を見てくれるいい人だ。昔は、お茶やコーヒーの行商人をしていたそうだが、足を怪我してからは店を構えるようになったそうだ。

「まあ、いいさ。エト君。こいつ悪い奴じゃないけど、ほどほどでいいからな。ゆっくりしていきな。これはサービスだ。あとで感想を聞かせてくれ。」

去り際、オヤジは5枚ずつクッキーを置いた。おそらく店で出せるのかの確認だろう。

「さて、クッキーは置いといて。本題だ。」

二人がエッとした顔している。まあ、オヤジの顔は見ていないけどね。

「わかった。わかった。食べながらでいい。甘いもの好きだもんな。」

「ありがとう。」

「まあ、まずはこれを見てくれ。」

先ほど、降ってきた読めない本を渡した。

「また、謎のもの。今度は本のようだね。」

クッキーのサクサクといい音が聞こえた。

「ああ、だが全く読めないんだ。おそらく、文字だとは思う。」

「本当だ。でも魔導書(グリモア)ではないね。」

さすがエト。魔力感知の高さだけはなみの貴族以上。

「そうか、じゃあただカラフルな本なのか。でも、紙の質はいいな。」

「ふうん、本当だ。にしても見慣れない字だね。古代文字でも見たことないよ。」

いま、エトの発した言葉は自分の命をかける決心がすぐにつくほどの衝撃があった。

「エト、俺に翻訳魔法をかけてほしい。」

おそらく、エトはまだこの本の異常に気付いていない。この光沢をもった上品な紙、色の繊細さ、俺たちの国で見たことがあるだろうか。少なくとも,貴族の通う魔術学院の高品質な本や魔導書ですら見たことはない。それは少なくともこの紙を生み出すほどの高度な魔法技術をもった文明が作ったことになる。その根拠の一つとして、エトが見たことのない古代文字ということはいままで見つけたハズレの古文書ではないことではないことがわかる。

だが、俺の思いめぐらせた考えとは別に、エトはクッキーに乗っていた皿を悲しそうに見て、こちらの皿の上の様子をうかがっている。

「ん~まあ、たぶん魔導書(グリモア)じゃないからいいけど。変なことになっても知らないよ。」

うん、エト君。それ結構大事な一言だよね。クッキーじゃなくて俺を見ていってくれ。

「ああ、大丈夫。そのへんはわきまえている。」

魔道書(グリモア)とか魔術師の手記や暗号文には、たいがい簡単に読めないよう精神汚染の魔法がかけられていることが多い。一方で、翻訳魔法はその書かれいている内容を自分の理解可能な情報に書き換え脳に叩き込む。つまり、精神汚染の魔法のかけられた本に翻訳魔法を使うと精神汚染の魔術も一緒に取り込むことになるのでラリラリの人生を歩むことになる。

一応、エトが心配してくれたように、ラリルレロにならないためにも、翻訳魔法は慎重に使わないといけない。

「わかった。だけど、ちょっとの時間しかできないから、あせらずたくさん解読してね。しっているとおもうけど、僕は1日に一回しか使えないから。」

「おいおい、けっこう難しいこというなぁ。」

「本当は、訓練をした人にしか使っちゃダメなんだよ。」

「そうなのか・・・悪いな。ありがとう。」

エトもエトなりに悩むことがあるようだ。

「よし、じゃあ俺のクッキーも食べてくれ。しっかりたのむよ。」

俺が手を付けていないクッキーをあげた。

「わあ、いいの。これ、おいしいよ。紅茶の茶葉の入っためずらしいクッキーだよ。」

「いい。いい。ただし、これを食べる前にやってくれるのが条件な。」

本を前後に振って、アピールした。がっつく獣を操っているみたいだ。

「うんうん。断然やる気でてきたよ。準備いい?」

エトはローブの内側から羽ペンを出した。

「ああ、頼む。」

「じゃあいくよ。」

自分の魔法障壁を外し、精神干渉を開放する。

「そのままリラックスして。」

自分の体が少し光る。世界の見方が変わる。自分の知っている簡略化された情報に変換され、言葉や文字のように入ってくる。周りは暗くなり「光、昼」となり、窓にかかっていたの植物は「つたの草」,水は「水,飲み物」といった感じである。

「僕はどうみえる。」

エトを見ると,「人,固有名『エト』」となっていた。

「ああ、たとえるならエトが文字だな。」

「よし、じゃあ成功だ。本をゆっくり見て。」

本をみると,圧縮した文字が渦巻いているようになっている。

「本当にゆっくりだよ。みつめすぎるとと,膨大な情報が流れ込むから。」

「わかった。」

そっと、見た。「化学」と書かれた模様は「かがく」と読むことがわかった。意味は錬金術(アルケミー)に似たものらしい。

「どうやら錬金術に似た学術書らしい。」

「錬金術とはまた古風だね。物質研究より魔素研究のほうが有益だと証明されたのに。」

「あと、『ジパング』という国の言葉らしい。」

「知らないなぁ。僕の知っている文献の中にそういった古代文明の名はなかったと思う。」

なるほど、予想が当たった。エトの知る古代の文明とは異なる存在ということだ。

しかし、興味深さが仇となった。無意識のうちにのぞき込んでしまった。

「ぐあ、」

頭が悲鳴を上げた。信じられない情報量である。世界が白い文字でおおわれて気持ち悪い。

でも理解が進んでいる。

「ああ、ダメ。のぞきこみすぎ。まずい。まずいよ。」

エトが何か言っているのか、よくわからなかった。

「魔力を絶つよ。いいね。痛いよ。」

言葉にならぬ悲鳴を上げた後,あたりの文字が消え、明るくなり、「光」が光にかわった。

「あぉあぉ、きつい。」

「あせりすぎだよ。ゆっくりっていったのに。」

「ああ、すまない。」

まだ、気持ち悪さが残っていた。与えられた情報を整理するため、思考をとめられない。

「オーバーブレインに、なってない。」

「かなり、なってる。・・・正直、まだ気持ち悪い。」

オーバーブレインは過度な魔法操作で脳に負荷を与えたときに起きる。ひどいときにはマインドダウンとなり、死ぬこともある。

「だが、深くはない。これなら、何もしなくても大丈夫。」

「そう、そういうならいいけど。」

少なくとも、最初の状態に比べればマシだ。それに、得た情報量もこの本の3割くらいだ。後、1時間もすれば違和感がある程度ですむだろう。

「何かいい情報は入ってた?」

「そっちの方がやっかいだ。専門用語が多すぎて理解に時間がかかっている。この国に存在しない言葉だらけで。脳みその中で定義しろとうるさい。」

「えっ、なにそれ。ほんとう。」

「ああ。あとは役に立つかの課題はあるけどね。」

異国の地から転生された本、化学。錬金術アルケミーの亜流技術。俺は、「化学」を向こうの言葉に似せて「ケミスト」と定義した。

「エト、今日から『化学』を『ケミスト』とよぶことにする。いずれ、俺のグリモアにし、生を与えるつもりだ。」

エトは最後のクッキーを食べ切った。

「ドルネ。本気なんだね。」

エトがにっこりと笑った。

「ああ、今までありがとう。俺のために。本当に苦労をかけた。」

実は、エトが考古学を選ぶようになったのには訳がある。ともに魔術師目指し、挫折し、それでも貴族に勝つために考えた。貴族にはない能力。それは俺の生まれつきもったよくわからないものを呼び出す力だけだった。その中に、いまだ確立されていない技術があるのではないかと。それを知るためには過去を詳しくならなければならい。最初は俺がなるつもりだったが、魔力感知の高いエトの方に適正があったのだ。俺たちは人生をかけた。俺は希望のある魔術師として残り、エトは俺を信じて別の人生を歩んでくれた。

「気にしなくていいよ。よかった。本当によかったよ。」

エトも俺と同じくらいとても喜んでくれた。エトはエトで思うところがあったのだ。

 選ばれなかった魔術師には仕事がない。底辺におちる。自分はそれを結果的に免れた。学科変更という彼の提案はなにか歯車が合うように自分の未来を明るくした。そして考古学の才が自分にはあった。気質もあった。なにより楽しいと思った。言うタイミングがなかったけど、僕は考古学の博物館の職員になることが決まっていた。苦難の多くなるドルネを残したようで悪かった。そんな話を後に聞いた。

「マスター。ここにおいていくよ。俺はやることができた。エト、また明日。」

丁度ではなく。おつりがくる銀貨1枚を置いた。景気づけだ。

「おお、急だな。クッキーの味は。」

「ドルネが食べ切った。間違いなくうまい。」

「そうか。」

「あいつ、町中の甘味食べてるから舌は信用できるぞ。」

「え、」

俺は急ぐように扉へ向かう。

この高揚は止められない。頭痛が止まらない限り、俺の鼓動は加速する一方だった。


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